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「入試問題投稿問題(上)~カンニングごときで騒ぎすぎでは?」(2011/03/05 23:59)の続きです。



1.京都大などの入試問題が試験時間中にインターネット上の掲示板に投稿された問題で、京都大は3月3日午前、京都府警に被害届を提出しています。早大では2月12日にあった英語の試験中、掲示板のヤフー知恵袋に「aicezuki」のハンドルネームで問題文が投稿され、警視庁は3月4日、早稲田大から提出された被害届を受理し、同11日の立教大の英語でも同様の投稿があり、警視庁は立大からの被害届を既に受理しています。これら大学側は、被害届を出している以上、カンニングは犯罪に当たるという意図であることが明らかです。

しかし、他方で、今回のカンニングは古典的な手法(股の下に隠して不正行為を行う)にすぎず、試験監督の不手際があったと言わざるを得なかった実態が明らかになりました。そのため、今回のカンニングを業務妨害と評価してよいのか、疑問も生じます。

 「府警内部でも京大の対応に違和感を覚えるという声が出ている。監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした形になったためだ。
 事件発覚から6日目の3日、初めて記者会見した松本紘学長は「監督はちゃんとやっている」と時に声を荒らげて強調。「(京大の監督の)範囲の外で起こるようなネット犯罪であれば、対策を取らなければいけない」とまで述べた。
 ところが、予備校生は府警の調べに、試験会場の自席に着き「机の下で携帯電話を操作した」と説明。会場の隅の席は試験監督から死角になるので何回もやったとも話し、一夜にして「監督は万全」との大学側主張に疑問符がついた。
 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」。府警幹部の一人はこうつぶやいた。【広瀬登、太田裕之、林哲平】」(毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊


では、カンニングは犯罪になるのでしょうか? 幾つかの記事を紹介しておきます。


(1) 毎日新聞 2011年3月4日 東京朝刊

質問なるほドリ:カンニングって罪になるの?=回答・山本太一
 <NEWS NAVIGATOR>

 ◆カンニングって罪になるの?


 ◇行為を罰する法はない 今回は「入試業務を妨害」容疑

 なるほドリ 京都大などの入試問題投稿事件で、男子予備校生が逮捕されたけど、カンニングって罪になるの?

 記者 試験が失格になる例はありますが、逮捕は極めてまれです。カンニングそのものを罰する法律はありません。今回の容疑は偽計業務妨害です。

 Q 聞き慣れない言葉だけど、どんな罪なの?

 A 業務妨害罪には偽計業務妨害(刑法233条)と威力業務妨害(同234条)があります。偽計業務妨害は根拠のない風説を流したり、偽計を用いて、人や会社の普段の仕事などを妨害する行為です。

 Q 偽計ってどういう意味?

 A 策略を講じて相手をだますという意味ですが、法律上は厳密でなく悪意を伴った行為という程度に解釈しています。威力は脅迫など直接的、有形的な方法で、偽計は間接的、無形的な方法で妨害します。偽計は会社に嫌がらせ電話を多数回かけて逮捕されるケースが多いです。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

 Q 今回の事件ではどんな妨害をしたということになるの?

 A 京大では2月25日(数学)、26日(英語)の試験時間中、ネットの「ヤフー知恵袋」に計8回、問題への解答を求める投稿があり、実際に回答がありました。事件が発覚した試験終了直後から、職員が投稿した受験生を特定するためにネット上の回答と答案用紙の解答を照合したり、不審な人物がいなかったかなどを確認しています。本来は不必要な業務をさせ、公明正大であるべき入試そのものを妨害したとされています。また、京大は今月10日に合格発表予定で影響は大きかったのです。

 Q 他の大学3校に対しても同じ容疑が掛けられるの?

 A これからの捜査ですが、早稲田、立教、同志社大でも、京大と同じように投稿された回答と実際の解答との照合作業や不審者の洗い出しをしています。警察は妨害の程度が大きい京大を優先して立件しました。

 Q 今回のような事件で逮捕するのは厳しいとも感じるけど。

 A 一部の専門家からは、大学の内部調査で投稿者を特定して合格を取り消せば十分ではないかという意見も出ています。既に大きな騒ぎとなって社会的制裁を受けたという見方もあります。警察も入試の不正行為にこの容疑を適用するのは初めてで、慎重に捜査しています。(社会部)

==============

 ◇最近の主な偽計業務妨害事件◇

09年 3月 日本テレビ系列の報道番組で岐阜県が裏金作りをしているなどと虚偽の証言をしたとして、岐阜県警が元会社役員を逮捕

09年 9月 元女優の酒井法子さんを「保釈しなければ警察署が火の海になる」とテレビ局にメールを送った無職の男を警視庁が逮捕

10年12月 国際テロに関する資料がネットに流出した事件で警視庁の業務を妨害したとして捜査

11年2月 ネット掲示板に「新大阪駅で無差別通り魔事件を起こす」と書き込んだ高校3年の少年を大阪府警が逮捕

==============

 質問をお寄せください。〒100-8051毎日新聞「質問なるほドリ」係 naruhodori@mainichi.co.jp

毎日新聞 2011年3月4日 東京朝刊」



(2) 毎日新聞 2011年3月4日 東京朝刊

入試問題ネット投稿:予備校生逮捕 逮捕の是非巡って両論 不起訴の可能性も

 今回の事件は「カンニング」行為を偽計業務妨害容疑で逮捕する初めてのケースとなった。逮捕の是非を巡っては、行為の悪質性から「必要だ」とする声がある一方、「保護の意味からやむを得なかった」という意見も聞かれた。

 ネット犯罪に詳しい園田寿・甲南大法科大学院教授(情報犯罪)は「隣席の答案をのぞき見るカンニング行為とは性質が違う。公平に学力を競う試験制度の根幹を揺るがすネット犯罪と見るべきだ」と悪質性を指摘。「投稿の手口など、京都府警は逮捕して事情を聴く必要があったのだろう」と述べた。

 ネット問題が専門の岡村久道弁護士(大阪弁護士会)は「少年は行方が分からなくなり、家族から捜索願も出ている。自殺という最悪の展開を想定すれば、逮捕はやむを得なかったのでは」と語った。

 こうした経緯から、起訴の可能性については疑問の声も出ている。岡村弁護士は「入試が混乱するのを少年がどこまで予測していたかが問われる」とした上で、「合格取り消しなど社会的制裁を受け、身にしみて懲りたと判断されれば、不起訴になる可能性もある」と見通しを語った。

 一方、一橋大の葛野尋之教授(刑事法)は共同通信の取材に対し、「(偽計業務妨害罪に)該当するとは思うが、騒ぎが大きくなったために逮捕したとしたら問題。社会が納得するようなストーリーで供述調書が作られる可能性がある」と懸念する。【村松洋】

毎日新聞 2011年3月4日 東京朝刊」



(3) 東京新聞平成23年3月4日付超過【核心】

刑事罰適用、賛否分かれる

▼カンニング

 多くの法曹関係者は、予備校生の行為に偽計業務妨害罪を適用することは可能との見方で一致するが、刑事罰を適用すべきかどうかをめぐっては意見が分かれる。

 刑法は偽計業務妨害を、人をだましたり、策略を講じたりする不正行為で業務を妨害する罪と規定しているが、大学入試での「カンニング」が刑事事件として摘発された例は、過去にもないとみられる。

 ある検察幹部は「隣の席の答案を見るようなカンニングは犯罪に当たらない」と指摘。予備校生の行為については問題を流出させた点に注目し、「抽象的な意味での公正な入試の実施だけではなく、流出の発覚が合格発表前の採点作業に支障を与えたのは明らかだ」として、偽計業務妨害罪が成立するとみる。

 その場合、カンニングに刑事処分で対処する必要があるのか。園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法)は「大学の情報管理の隙を突いた犯罪。今後の入試試験の運営に大きな影響を及ぼすもので、起訴に相当する」と厳しい。

 一方、検察幹部は「予備校生には今後、合格取り消しなどの社会的制裁が考えられ、刑事罰まで科す必要はない」と話す。」



(4) NHKニュース(3月3日 19時38分)

“逮捕はやむをえない”
3月3日 19時38分

 19歳の男子予備校生が偽計業務妨害の疑いで逮捕されたことについて、元検事でインターネットを使った犯罪に詳しい落合洋司弁護士は「今回の事件は大学側の入試という業務を妨害したうえに、本来の業務ではない調査を行わせていることから、偽計業務妨害の罪にあたる」と指摘しました。

 また、少年を逮捕したことについては、「単純なカンニングと違って、インターネットを使って多くの人を巻き込んでおり、社会に与えた影響は大きい。投稿した手口や共犯者がいるかどうかなどの真相を明らかにするためには、逮捕はやむをえない」と述べました。

 さらに、今後の見通しについては、「少年なので、家庭裁判所で審判を受けることになる。重大な事件の場合、起訴されて通常の刑事裁判を受けることになるが、今回のケースはそれほど重大とまでは言えないのではないか」と話していました。」




2.カンニング行為については、業務妨害罪に当たるのかどうかが問題となっています。

(信用毀損及び業務妨害)
刑法第二百三十三条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(威力業務妨害)
刑法第二百三十四条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。


偽計業務妨害罪が成立ための要件は、<1>偽計を使用して、<2>その業務を、<3>妨害することが必要です。

業務とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業をいいます(大判大正10・10・24)。大学入試は、大学で学ぶ者を選抜する制度ですので、「業務」に当たることには異論がないでしょう。



(1) 多少検討を要するのは、<1>の要件です。

3 偽計の使用

1 意義
 偽計を用いるとは、人を欺罔し、または人の不知、錯誤を利用することをいう。詐欺罪における「人を欺く」より広い。直接被害者に向けられていることは必要ない。人の意思に直接働きかけるのではなく、物に向けて非公然になされる行為、たとえば、有線放送会社が放送送信に使用している電線を密かに切断して、顧客への送信を不能にすること(大阪高判昭和49・2・14判例時報752号111頁)、電話の応答信号の送出を妨害するマジックホンとうい機械を取り付けて、電話料金の課金装置の作動を不能にすること(最決昭和59・4・27刑集35巻6号2584頁)も偽計を用いたものとされている。」(佐久間ほか「刑法基本講義 総論・各論」(有斐閣、2009年)329頁)


カンニング[cunning]とは、「試験のとき、他人の答案や隠し持った本・メモなどを見るなどの不正行為をすること 」を言います(三省堂「大辞林 第二版」より)。この事件での予備校生は、インタ-ネットに問題を投稿し、不特定多数の者による回答を見たという行為をしたのですから、いわゆるカンニングに当たる行為です。

この予備校生が行ったカンニング行為は、インターネットという公の場所への投稿によるカンニングであったことから、「人の不知」を利用したとは言えない面はあるため、「偽計」に当たるのか若干疑問はあろます。しかし、少なくとも試験会場においては、試験監督に見つからないように行ったものですから、「人の不知、錯誤を利用」して行ったと判断できます。



(2) 問題になるのは、<3>の要件です。すなわち、カンニング行為が業務を「妨害」したと言えるのかです。この点については2つほど文献を引用しておきます。

5 妨害

 業務妨害罪の成立には、業務を妨害したことが必要である(未遂犯を処罰する規定はない)。判例は、危険犯であるとする(大判昭和11・5・7刑集15巻573頁、最判昭和28・1・30刑集7巻1号128頁)。しかし、名誉毀損罪や信用毀損罪における毀損と比べて、業務の妨害はより具体的に認定することができるから、侵害犯であるとする見解が有力である。業務に支障を生じさせることが必要である。

発展学習:外形的支障

 業務を妨害したというためには、業務に外形的混乱・支障を生じさせることが必要であり、替え玉受験やカンニングのように、個別的な業務における判断の誤りを生じさせ、業務内容を実質的に不適切なものにしたにすぎない場合は除外されるとする見解が有力である。このような見解によれば、3(→329頁)に挙げたマジックホンの事例は、料金の計算を誤らせたものにすぎず、業務妨害にあたらないとの理解が可能であろうが、最高裁(前掲最決昭和59・4・27)は、「課金装置の作動を不能にした」としており、この点に着目すれば、外形的な支障が生じたとおいうことも不可能ではないであろう。」(佐久間ほか「刑法基本講義 総論・各論」(有斐閣、2009年)330頁)


4 妨害の意義

 「妨害した」の意義について、判例は信用毀損罪との均衡から、妨害の危険を生ずれば足りるとして本罪を危険犯とする(大判昭和11・5・7刑集15巻573頁、同旨、団藤520頁、大塚159頁・160頁)。しかし、文言どおり侵害犯と解すべきであろう(平野188頁、大谷144頁、曽根80頁、中森70頁)。したがって、業務遂行に多少とも外形的混乱・支障を生じたことを必要とし、たとえば替え玉受験やカンニングのように、単に個別的な業務における判断の誤りを生ぜしめたにすぎない場合は除外される。業務の外形的妨害があればよく、その具体的な被害額等を明らかにする必要はない。」(西田典之「刑法各論(第4版)」(弘文堂、平成19年)121頁)


これらの文献にあるように、業務を妨害したというためには、業務に外形的混乱・支障を生じさせることが必要であるとして、単に個別的な業務における判断の誤りを生ぜしめたにすぎない「カンニング」行為は、「妨害」に当たらないとするのが、一般的と思われます。

確かに、偽計業務妨害罪について、妨害の危険を生ずれば足りるとして危険犯とする考えもあります。しかし、「危険を生ずれば足りる」という点を強調すればあらゆる行為が「妨害」に該当してしまうため、このように「危険性」を拡大して過度に処罰を広げることは、「謙抑性の原則」から許されません。

裁判例としても、承諾を得た他人の名前で私立大学の入試答案を作成する行為(東京高判平成5・4・5判例タイムズ828号275頁。最決平成6・11・29刑集48巻7号453頁参照)(いわゆる替え玉入試)は、入学選抜試験の答案は「事実証明に関する文書に当たる」として私文書偽造罪(159条1項)に該当するとしてはいるものの、偽計業務妨害罪で起訴さえしてないのです。

試験におけるカンニングは、昔からたびたびなされる行為ですから、試験ではカンニングがあることは当然に予測しているものです。ですから、、試験を実施する側はカンニング防止対策(試験監督による監視など)を行うことも試験業務の内容となっており、他方で、カンニングをした受験生の対応は、最高でも合格取り消しのみでそれ以上の制裁をしないのが一般的です。また、大学での学部の定期試験においては、建前上は、停学、受験していた試験は無効となり、それ以降の試験を受けることができない(受験資格喪失)にするのが一般的です。

ですから、カンニングをした者がいたとしても、それは通常の(予測された)業務の範囲内であり、カンニングが業務妨害にならないのです。単に個別的な業務における判断の誤りを生ぜしめたにすぎないからという説明も可能でしょうが、どう説明しようとも、法律上、「カンニング」行為は、「(業務)妨害」に当たらないとするのが、一般的なのです。

もっとも、大学の定期試験・入学試験での実情は、カンニングに対する対応は、厳重注意かあるいは「見逃し」が一般的でしょう。それは、大学では、学生や受験生は「お客様」だからです。このように、大学側が、カンニング防止対策を怠っている場合は、大学側が通常行うべき業務を身勝手に怠っただけなのですから、その結果、カンニングが横行したとしても、それは大学側の自己責任であって、カンニングを行った者が処罰されるのは不合理です。やはり通常の業務を前提として、カンニングの妨害該当性を判断するべきです。



(3) このように、学説・裁判例はもちろん、現実の運用としてもカンニング行為は(不合格などの内部的な制裁はあるとしても)法律上は不可罰とされてきました。

 イ:ところが、今回、カンニングは偽計業務妨害罪に該当するという記事が並んでいるのです。
 

「多くの法曹関係者は、予備校生の行為に偽計業務妨害罪を適用することは可能との見方で一致するが、刑事罰を適用すべきかどうかをめぐっては意見が分かれる。(中略)
 ある検察幹部は「隣の席の答案を見るようなカンニングは犯罪に当たらない」と指摘。予備校生の行為については問題を流出させた点に注目し、「抽象的な意味での公正な入試の実施だけではなく、流出の発覚が合格発表前の採点作業に支障を与えたのは明らかだ」として、偽計業務妨害罪が成立するとみる。」(東京新聞)

 「19歳の男子予備校生が偽計業務妨害の疑いで逮捕されたことについて、元検事でインターネットを使った犯罪に詳しい落合洋司弁護士は「今回の事件は大学側の入試という業務を妨害したうえに、本来の業務ではない調査を行わせていることから、偽計業務妨害の罪にあたる」と指摘しました。」(NHK)


すでに述べたようにカンニングについては、カンニング防止策を行うのが通常の業務であり、試験会場はもちろん、試験後も発覚すればそれへの対応をするのが通常の業務の範囲内です。ですから、「流出の発覚が合格発表前の採点作業に支障を与えた」というのは、通常の業務にすぎない行為を「妨害」と評価するものであって、妥当ではありません。

検察幹部は「予備校生の行為については問題を流出させた点に注目し、『抽象的な意味での公正な入試の実施』」を妨害した」とも述べているようです。しかし、これは過度に妨害への危険性して処罰するものであって、妥当ではありません。

また、ある弁護士は、「本来の業務ではない調査を行わせていることから、偽計業務『妨害』の罪にあたる」としています。しかし、すでに述べたようにカンニング防止策を行うことも通常の業務であるのですから、それを「本来の業務ではない調査」と間違った事実認識で判断している以上、妥当ではありません。

この検察幹部や落合洋司弁護士は、一体、学説・裁判例はもちろん、現実の運用をきちんと調べた上で発言しているのでしょうか。学説・裁判例はもちろん、現実の運用とも一致していないのに、過度の処罰を肯定することは極めて疑問です。


 ロ:処罰に値しないのが従来の一般的な評価である以上、起訴はあり得ないのが論理的な帰結です。ところが、ある学者は処罰を当然視するのです。
 

「ネット犯罪に詳しい園田寿・甲南大法科大学院教授(情報犯罪)は「隣席の答案をのぞき見るカンニング行為とは性質が違う。公平に学力を競う試験制度の根幹を揺るがすネット犯罪と見るべきだ」と悪質性を指摘。「投稿の手口など、京都府警は逮捕して事情を聴く必要があったのだろう」と述べた。
 ネット問題が専門の岡村久道弁護士(大阪弁護士会)は「少年は行方が分からなくなり、家族から捜索願も出ている。自殺という最悪の展開を想定すれば、逮捕はやむを得なかったのでは」と語った。
 こうした経緯から、起訴の可能性については疑問の声も出ている。岡村弁護士は「入試が混乱するのを少年がどこまで予測していたかが問われる」とした上で、「合格取り消しなど社会的制裁を受け、身にしみて懲りたと判断されれば、不起訴になる可能性もある」と見通しを語った。」(毎日新聞)

 「その場合、カンニングに刑事処分で対処する必要があるのか。園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法)は「大学の情報管理の隙を突いた犯罪。今後の入試試験の運営に大きな影響を及ぼすもので、起訴に相当する」と厳しい。
 一方、検察幹部は「予備校生には今後、合格取り消しなどの社会的制裁が考えられ、刑事罰まで科す必要はない」と話す。」(東京新聞)

 「今後の見通しについては、「少年なので、家庭裁判所で審判を受けることになる。重大な事件の場合、起訴されて通常の刑事裁判を受けることになるが、今回のケースはそれほど重大とまでは言えないのではないか」と話していました。」(NHK)

 「府警内部でも京大の対応に違和感を覚えるという声が出ている。監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした形になったためだ。
 事件発覚から6日目の3日、初めて記者会見した松本紘学長は「監督はちゃんとやっている」と時に声を荒らげて強調。「(京大の監督の)範囲の外で起こるようなネット犯罪であれば、対策を取らなければいけない」とまで述べた。
 ところが、予備校生は府警の調べに、試験会場の自席に着き「机の下で携帯電話を操作した」と説明。会場の隅の席は試験監督から死角になるので何回もやったとも話し、一夜にして「監督は万全」との大学側主張に疑問符がついた。
 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」。府警幹部の一人はこうつぶやいた。」(毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊)



こうして引用すると、現実の運用を知っている捜査機関や弁護士は、「予備校生には今後、合格取り消しなどの社会的制裁が考えられ、刑事罰まで科す必要はない」「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけ」「今回のケースはそれほど重大とまでは言えない」と判断して、不起訴処分となるとの見通しを述べています。

ところが、園田寿・甲南大法科大学院教授(刑法)だけは、「大学の情報管理の隙を突いた犯罪。今後の入試試験の運営に大きな影響を及ぼすもので、起訴に相当する」と指摘しています。

しかし、今回の事件では、インターネットを利用した点で目新しいとはいえ、「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」のですから、<1>試験監督の死角を狙って行うという極めて古典的なカンニング方法であり、<2>股下・机の下にカンニング-ペーパー(カンニング用に隠し持つ紙片)を隠して答えを写したのと殆ど変わりがなく、これまた、古典的なカンニング方法にすぎないのです。

それなのに、園田教授は、「大学の情報管理の隙を突いた犯罪」などと大層な言い回しをしてしまうのです。dせうが、それは現実離れしたものであって、妥当ではありません。古典的なカンニング方法を摘発できないほどのお粗末な試験監督を行っている大学側こそが問題なのです。したがって、園田教授の見解は妥当ではありません。園田教授はもっと現実を知るべきでしょう。




3.今回の問題は、たかがカンニングであり、しかも古典的なカンニングの方法にすぎません。

(1) それなのに、全国紙(朝日、読売、毎日)は、重大犯罪のごとく大騒ぎしてしまいました。世論もそうした報道に影響され、熱狂させられた面があります。特に、朝日新聞は、連日大きく報道して国家の一大事のごとく散々煽って大問題にしておきながら、今になって平然と次のように言い放つのです。

 「予備校生逮捕―若者の失敗、どうみる 

 京都大などの入試問題が試験中にネットに投稿された問題で、仙台市の男子予備校生が逮捕された。偽計業務妨害容疑である。
 カンニングは、一緒に勉強してきた多くの仲間を裏切る行いだ。社会的影響も大きかった。ただ、日本ではカンニング行為そのものを罰する法律もない。まだ19歳。処分は慎重に判断すべきだろう
 予備校生は「携帯を股の間に隠して操作した」と話しているという。捕まってみれば、器用だが幼い手口にも思える。世間の大騒動との落差に、ネット社会の今が浮かびあがるようだ。(中略)
 大学が最初にこの問題をつかんだ段階で、「不心得者よ、名乗り出よ」と呼びかけるような手立てはなかったか。今思うと、ネットの進化についてゆけない大人社会が、過剰に反応した面はないだろうか
 冷静に考えよう。ネットや携帯のなかった昔から、若者はときにとんでもない失敗をしでかすものだから。」(朝日新聞平成23年3月5日付「社説」)


カンニングは犯罪でもないのですから、大騒ぎする必要はなく、最初から「冷静に考え」ればよかったのです。「今思うと、ネットの進化についてゆけない大人社会が、過剰に反応した面はないだろうか」などという部分は、自己批判のつもりなのでしょうが、だったら、素直に「騒ぎすぎました。謝罪します。」と紙面に謝罪文を掲載するべきでしょう。

戦前からの問題となっていることですが、日本のマスコミは、やたらと感情的すぎて、冷静に判断できないのです。戦前は、それが世論を熱狂させ、第2次世界大戦の開戦へつながり、当時の政府も破滅の道と分かっていながら戦争へと突き進んでしまったのです。

特に、マスコミはインターネットが絡むとすぐに大騒ぎすることも、こうした感情的な報道を助長してしまっています。そのため、園田教授も含めて、いまだに日本の世論が感情的な報道に左右され、気がふれたように「処罰、処罰」と喚き立ててしまうのです。


(2) 他方、被害者を装っている大学側も、すぐに警察に頼ってしまいました。警察の介入を避けようとする気概ともいえる「大学の自治」の精神(憲法23条)は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。

3 大学の自治

 学問研究の自主性の要請は、とくに大学について、「大学の自治」を認めることになる。大学の自治の観念は、ヨーロッパ中世以来の伝統に由来し、大学における研究教育の自由を十分に保障するために、大学の内部行政に関しては大学の自主的な決定に任せ、大学内の問題に外部勢力が干渉することを排除しようとするものである。それは、学問の自由の保障の中に当然のコロラリーとして含まれており、いわゆる「制度的保障」の一つと言うこともできる。

 大学の自治の内容としてとくに重要なものは、学長・教授その他の研究者の人事の自治と、施設・学生の管理の自由の二つである。ほかに、近時、予算管理の自治(財政自治権)をも自治の内容として重視する説が有力である。(中略)

 (二) 施設・学生の管理の自由 

 大学の施設および学生の管理もまた、大学の自主的判断に基づいてなされなければならない。この点に関してとくに問題となるのが、大学の自治と警察権との関係である。

 警察権が大学内部の問題に関与する場合はさまざまである。まず、犯罪捜査のために大学構内に立ち入る場合がある。大学といえども治外法権の場ではないので、正規の令状に基づく捜査を大学が拒否できないこと、むしろ必要と事情に応じて積極的に協力することは、言うまでもない。しかし、捜査に名をかりて警備公安活動が行われるおそれなしとしないので、捜査は大学関係者の立ち会いの下で行われるべきである。次に、大学構内で予想外の不法行為が発生し、そのためにやむを得ず大学が警察力の援助を求める場合がある。この場合には、原則として、警察力を学内に出勤させるかどうかの判断は大学側の責任ある決断によるべきである。したがって、警察が独自の判断に基づいて大学内へ入構することは、大学の自治の保障の趣旨に反するとみるべきであろう。」(芦部信喜「憲法(第4版)」(岩波書店、2007年)162頁以下)

 
明治憲法下において、学問の自由が直接的に国家権力によって侵害された歴史を踏まえて、あえて諸外国と異なり、学問の自由が憲法の明文で規定され、大学の自治が憲法の保障の下に認められているのです。それなのに、なぜ、入学試験という学問研究の場に参加する者を選択する行為を、自ら調査・検証することなく、安易に警察に委ねてしまったのでしょうか。

こうした安易に捜査機関に協力を求める行為は、京都大学に限ったことではありません。例えば、早稲田大学で中国の江沢民国家主席の講演会が開催された際に、警備に当たった警察の要請に応えて大学は、参加希望学生が氏名・学籍番号・住所・電話番号を記入した名簿の写しを学生に無断で警察に提出したため、学生が大学に対しプライバシー侵害を理由に損害賠償を求めた事件がありました(江沢民講演会参加者名簿提出事件)。最高裁は、本件の個人情報につき、「本人が、自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されなくないと考えることは自然なことであり、そのことへの期待は保護されるべきものであるから、本件個人情報は、上告人らのプライバシーに係る情報として法的保護の対象となる」と述べ、本件においては学生の承認を求めることも容易であったと認定してプライバシー侵害を認めています(最判平成15・9・12民集57巻8号973頁)(芦部信喜「憲法(第4版)」(岩波書店、2007年)120頁)。こうした事件も、大学側が「大学の自治」を遵守していれば、およそ名簿の写しを学生に無断で警察に提出することはなかったはずなのです。

このように、安易に捜査機関に委ねてしまう今回の大学側の態度をみると、大学側が自ら大学の自治を学問の自由を放棄したに等しく、過去の歴史的経緯を踏まえて制定された日本国権憲法の趣旨が損なわれてしまったのです。東大ポポロ事件(最大判昭和38・5・22刑集17巻4号370頁)において、大学構内において行っていた警備公安活動に対して、大学側が行った抵抗は、昔を懐かしむだけの遠い過去の出来事になってしまったようです。

いまや大学にとっては、学生は単に金を出してくれる顧客にすぎず、邪魔と思えばあっさり警察に情報を提供し介入を認めるだけの存在であって、大学の意義は、就職活動の便宜や就職前の「遊び場」でしかないことを自ら認めてしまったように思えるのです。



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【2011/03/07 19:09】 | 刑法
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京都大など4大学の入試問題が試験中にインターネットの質問サイト「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、京都府警察本部は平成23年3月3日、仙台市の19歳の男子予備校生を、京都大学の入学試験で業務を妨害した偽計業務妨害罪の疑いで逮捕しました。調べに対して予備校生は「自分1人で携帯電話で投稿した。合格したかった」と供述しているということで、警察は単独で投稿したものとみて、調べを進めることにしています。



1.報道記事を幾つか。

(1) 時事通信(2011/03/03-22:11)

19歳予備校生逮捕=「1人でやった」、偽計業務妨害容疑-入試問題投稿・京都府警

 京都大など4大学の入試問題が試験中にインターネットの掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、京都府警は3日午後、投稿に使われた携帯電話の契約者の息子で、仙台市の予備校生(19)を偽計業務妨害容疑で逮捕した。
 府警によると、予備校生は「間違いありません」と逮捕容疑を認めた上で、動機を「合格したかった」と説明。掲示板には「aicezuki」のハンドルネームで書き込み、投稿は「1人でやった」と供述しているという。
 逮捕容疑は、先月26日に行われた京大入試の英語の試験中に、携帯電話でヤフー知恵袋に試験問題を投稿。閲覧者から解答を得るなどし、入試の公正さを害して混乱させ、同大の業務を妨害した疑い。
 府警によると、京大の調査の結果、予備校生の答案用紙の英語の解答と、掲示板に記載された問題への回答内容は似ていたという。投稿方法について、府警は「トイレも含めた試験会場から送信した」としている。
 予備校生は一時所在不明になっていたが、府警などの捜査員が3日午前、仙台市内の路上にいるところを発見、同市内の警察署に任意同行した。この際、携帯電話1台を所持しており、府警が押収した。スマートフォンではないという。(2011/03/03-22:11)」



(2) NHKニュース(3月4日 18時22分)

“机の下で携帯操作”と供述
3月4日 18時22分

 大学入試の問題が試験中にインターネットの質問サイトに投稿された事件で、京都大学の業務を妨害した疑いで逮捕された男子予備校生は「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」と供述していることが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。

 仙台市に住む19歳の男子予備校生は、先月26日に行われた京都大学の入学試験で携帯電話を使ってインターネットの質問サイトに英語の問題の一部を投稿し、大学の業務を妨害したとして3日、偽計業務妨害の疑いで京都府警察本部に逮捕されました。警察は、4日から予備校生の本格的な取り調べを始めています。

 調べに対して予備校生は「受験した座席は教室の前方の左隅で、試験監督からは見えにくい場所だった。机の下で股の間に隠し持った携帯電話を操作して質問サイトに投稿した」と供述していることが捜査関係者への取材で新たに分かりました。

 予備校生の携帯電話からは、京都大学の英語の試験の際、開始から7分後と15分後に日本語の文章の英訳問題が1問ずつ投稿されています。また、前日に行われた文系の数学の試験の際には5分から10分ほどの間隔で質問サイトにあわせて6回の投稿があり、記号なども含めてほぼ正確に問題が打ち込まれていました。

 警察は、具体的な投稿方法について解明を進めるとともに、大学側からも話を聞いて予備校生がいた教室の監督態勢についても調べることにしています。」



カンニング[cunning]とは、「試験のとき、他人の答案や隠し持った本・メモなどを見るなどの不正行為をすること 」を言います(三省堂「大辞林 第二版」より)。この事件での予備校生は、インタ-ネットに問題を投稿し、不特定多数の者による回答を見たという行為をしたのですから、いわゆるカンニングに当たる行為です。

インターネットを利用した点で目新しいとはいえ、「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」のですから、<1>試験監督の死角を狙って行うという極めて古典的なカンニング方法であり、<2>股下・机の下にカンニング-ペーパー(カンニング用に隠し持つ紙片)を隠して答えを写したのと殆ど変わりがなく、これまた、古典的なカンニング方法にすぎないのです。

カンニングは昔からある行為であり、「万引き」よりも多くの人が行っており、身近な人にも必ずいるものです。何年か真面目に試験監督をしてみれば、カンニングをする者が多数いることはよく分かるはずです。

それなのに、全国紙(朝日、読売、毎日)は、国家の一大事かのように連日一面に掲載するなど大騒ぎでした。しかも、今回の事件は、単なる古典的なカンニング方法にすぎないのです。ですから、これほどまでに大々的に騒ぐ必要はなかったのです。マスコミはインターネットが絡むとすぐに大騒ぎしますが、それは「ネットが苦手なおっさんがオロオロして喚き立てている醜態を晒している」だけのことです。

たかがカンニングなのですから、インターネットが絡んだくらいで一々騒ぐのは、いい加減に止めにしてほしいものです。全くマスコミはなんて馬鹿なのだろうかと呆れてしまいます。(これだけ馬鹿騒ぎをしているマスコミを見ると、カンニングをしていた記者様、官僚様、弁護士様、検察官様、裁判官様の実名を暴露したくなります。)



2.このように余りにもよくあるカンニング行為、しかも古典的なカンニング方法にすぎなかったのですから、試験監督は当然に発見すべきでした。こうしたお粗末な試験監督の有り様であったゆえに批判が生じています。

(1) スポーツ報知:2011年3月5日10時57分

京大に「大騒ぎするな」批判殺到149件…入試投稿問題

 京大には批判電話が相次いだ。予備校生が逮捕された3日以降、「被害届を取り下げて予備校生を釈放すべき」「たかがカンニングで大騒ぎするな。本人を不合格にすればいいだけ」など大学の対応を批判する電話やメールが、4日夕までに計149件あった。

 大学側を非難する意見は全体の約9割。中には「あんな問題だからカンニングする。もっと、自分で考えるような問題を作るべき」と設問方式自体への批判もあった。予備校生が出身の東北地方からの電話も多いという。

 京大広報課は「対応は万全だった」と強調。「基本的に受験生を信頼している。机の下をのぞき込むなど、プレッシャーを与える行動はしていない」と説明したが、ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると、(試験監督官が)寝ていたと言われても仕方ない」と指摘する。京大は、投稿が確認された英語の試験で、受験者約8000人に対し、監督官約400、数学は約2500人に対し、約120人を配置していた。

(2011年3月5日10時57分 スポーツ報知)」



(2) 日経新聞平成23年3月4日付朝刊39面

“古典的”手口に関係者戸惑いも 「普通気付くと思うが…」

 携帯電話を股の間に隠して手で打った――。入試問題の投稿問題で逮捕された予備校生(19)が京都府警に供述したとされる手口は“古典的”だった。試験官の目を盗んだとみられるが京都大は「対応は万全だった」と強調。他大学の入試担当者からは「普通は気付くと思うのだが……」と戸惑いの声も上がった。

 トイレから送信説、外部に中継役がいたとする説、眼鏡型などの小型カメラ説。発覚後さまざまな方法が取りざたされたが、ある大学の入試担当者は「ふたを開ければカンニングペーパーを持ち込むこれまでの手口と何も変わらない」と話す。

 京大の数学では6問が投稿された。ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると(試験官が)寝ていたと言われても仕方ない」と手厳しい。

 大阪大の入試担当者は「携帯電話を使えば、行動が不自然になり受験生の中ではかなり目立つのではないか」と指摘する。大阪市立大の担当者は「少なくとも周りの受験生は気付いていたのでは」。

 一方、学内の試験で「カンニングをした」と後に卒業生から告白されたことがある中国地方の大学の准教授は「見破る自信はあったが……。試験官は難しい」と打ち明けた。」



(3) 東京新聞平成23年3月5日付朝刊31面

未来ある子どもに逃げ道を 

 「夜回り先生」元定時制高校教諭 水谷修さん

 京都大が今回のカンニングで、業務妨害を受けたと警察に届けたのはあまりにも感情的だった。受験生が関与していると考えれば、悪人扱いはできない。子どもには逃げ道をつくってあげてほしい。

 一呼吸置いて、「やった人は名乗り出てください。警察には言いません」と呼び掛けるべきだった。名乗り出ないなら、一人多く合格させればいい。カンニングで合格した少年が自分の不正行為に苦しむだけだから。

 大学側は被害届を取り下げてほしい。カンニングは許せない行為だが、少年は反省している。子どもは不完全な存在だから、「君にも未来はある」と諭すことが教育者の態度。愛こそが必要だ。

 携帯電話を使ったカンニングは韓国でもあったし、日本の大学でも試験中に起きているが、警察に訴えることはしていない。京都大の対応は「名門で社会的影響が大きい」からだろうし、警察の逮捕は少年の命を守るためだったと思う。起訴はされないでほしい。

 カンニングをされたのは試験官のミス。大学側が不正を誘発しない環境をつくれなかった非を認めず、少年に全ての責任を押しつけるのはあまりにも自己保身。少年を犯罪者にしたのは私たち大人で、少年を社会から追放するような仕打ちは絶対に避けるべきだ。」



 イ:試験監督の任務は、<1>試験のスムーズな運営(試験問題と解答用紙の速やかな配布・回収)とともに、<2>試験の公平性を図るために、不正行為を未然に防ぎ、不正行為を摘発することにもあります。

 「トイレから送信説、外部に中継役がいたとする説、眼鏡型などの小型カメラ説。発覚後さまざまな方法が取りざたされたが、ある大学の入試担当者は「ふたを開ければカンニングペーパーを持ち込むこれまでの手口と何も変わらない」と話す。
 京大の数学では6問が投稿された。ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると(試験官が)寝ていたと言われても仕方ない」と手厳しい。」(日経新聞)


カンニングの方法には、色々ありますが、特に、カンニングペーパーや類似の行為だけは阻止するよう、気を配るのが、一般的な試験監督でしょう。カンニングペーパーは、不正行為であることが証拠上明らかであり、また、正解であることが可能性が高いことから、参考書の持ち込みに等しいからです。

特に、試験監督からみて死角にあると思われる受験生に対しては、その受験生がカンニングの誘惑にかられやすいことから、特に気を配り、カンニングを刺せないように注意をするが「試験監督の鉄則」といえます。

ところが、今回の事件では、、「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」のであり、しかも何度も投稿していたのですから、試験監督は明らかに任務を怠っていたと言わざるを得ず、試験監督の責任は重く、試験監督もまた大学内部において厳しい処分に値するといえます。

不正を行ったという受験生が一番悪いことは確かですが、大学側の試験監督の無責任さにも問題があったのです。それなのに、大学側はすぐに警察に被害届を出すなど被害者を装うのは、まったく無責任だと呆れます。


 ロ:「夜回り先生」と言われる水谷さんは、次のように述べています。

「カンニングをされたのは試験官のミス。大学側が不正を誘発しない環境をつくれなかった非を認めず、少年に全ての責任を押しつけるのはあまりにも自己保身。少年を犯罪者にしたのは私たち大人で、少年を社会から追放するような仕打ちは絶対に避けるべきだ。」(東京新聞)


カンニングをした受験生の対応は、合格取り消しのみでそれ以上の行為をしないのが一般的です。また、大学での学部の定期試験においては、建前上は、停学、受験していた試験は無効となり、それ以降の試験を受けることができない(受験資格喪失)にするのが一般的です。

ただし、大学の定期試験での実情は、カンニングに対する対応は、厳重注意かあるいは「見逃し」が一般的でしょう。それは、大学では、学生や受験生は「お客様」だからなのです。ですから、暗に、カンニングの摘発はしないようにしているのです。

何年も試験監督をしていれば分かることですが、カンニングの摘発も、それなりの技術を必要とします。ですから、真剣に取り組むという意欲とともに技術がなければ、カンニングの摘発はできません。しかし、大学側は、カンニングを摘発する気がないので、カンニング摘発の技術を磨くことをせず、(経費節減のため)多数の受験生に対して少人数の試験監督で対応してしまうのです。

そうしただらしない対応をしている大学が、なぜか、今回の事件については、警察に被害届を出し、「万全を対応委をしていた」などと言うのですから、呆れてしまいます。「あまりにも自己保身」だと言わざるを得ないのです。(マスコミが、大学でのこうしたカンニングへの対応の実情を知らないことも、馬鹿騒ぎの一因でしょうが。) (カンニングをした受験生の対応は、合格取り消しのみでそれ以上の行為をしないのが一般的なのに、逮捕にまで至ったのも驚きです。まさか起訴はしないでしょうが。)



<3月7日付追記>

2つの記事を追記します。2つとも、「業務妨害」だと声高に叫んでいる大学自体を批判している記事です。

(1) 読売新聞:2011年3月4日15時02分

居眠り・私語・「雑用」公言…試験監督に問題も

 京都大や早稲田大など4大学の入試問題がインターネット掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、入試会場での監督態勢の甘さを問う声が出ている。

 逮捕された男子予備校生(19)は「一人でやった」と供述しており、試験会場で断続的に携帯電話を操作していたとみられるが、試験監督らがこうした不審な動きを見逃していた可能性があるからだ。大学側は「不正防止に万全の態勢をとってきた」とするが、試験監督態勢の不十分さや、先端電子機器への対応の遅れを指摘する声もある。

 京都府警の調べでは、予備校生は2月26日、京都大の英語の試験中に携帯電話で掲示板に投稿した上、寄せられた回答も閲覧していた疑いが持たれている。

 京大によると当時、受験生約8000人に対し、監督約400人を配置。受験生も椅子を一つずつ空けて座らせるなどしており、京大幹部は不正発覚直後の会見で「十分な数の監督を置いていた」としていた。

 しかし、長年、センター試験の大学責任者を務めていた60歳代の国立大学の元教授は、「監督の数が多ければいいというわけではない。試験監督を『雑用』と呼んではばからず、いいかげんにやる教員も多い」と証言する。

 センター試験では会場に2人以上の教授を試験監督として配置。しかし、元教授によると、試験中に自分の講義のテスト採点を行ったり、いびきをかいて眠ったりする教授もおり、試験後、「試験監督のおしゃべりがうるさかった」と、苦情を寄せられたこともあった、という。

(2011年3月4日15時02分 読売新聞)」



(2) 毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊

入試問題ネット投稿:京大対応、強まる批判 抗議殺到、「監督は万全」に疑問符

 入試問題投稿事件で逮捕された仙台市の予備校生(19)の“幼稚”ともいえるカンニングの手口が明らかになるにつれ、京都大への批判が強まっている。不正行為を防げなかったばかりか、声高に「被害者」の立場を強調したとの見方からだ。

 事件に関し、京大へ4日までに寄せられた電話は170件を超え、ほとんどが苦情や抗議。捜査を進める京都府警内部にも大学の対応を疑問視する声がある。京大広報課によると、電話は3日夕までに約30件、4日は午後5時半までに144件に上った。

 うち十数本は激励だったが、その他は「監視が甘かったのではないか」「被害届を出して逮捕させたのは間違い」「カンニングで逮捕はやりすぎ」といった意見。「予備校生がかわいそう」という同情の声もあった。

 一方、府警内部でも京大の対応に違和感を覚えるという声が出ている。監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした形になったためだ。

 事件発覚から6日目の3日、初めて記者会見した松本紘学長は「監督はちゃんとやっている」と時に声を荒らげて強調。「(京大の監督の)範囲の外で起こるようなネット犯罪であれば、対策を取らなければいけない」とまで述べた。

 ところが、予備校生は府警の調べに、試験会場の自席に着き「机の下で携帯電話を操作した」と説明。会場の隅の席は試験監督から死角になるので何回もやったとも話し、一夜にして「監督は万全」との大学側主張に疑問符がついた。

 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」。府警幹部の一人はこうつぶやいた。【広瀬登、太田裕之、林哲平】

毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊」



読売新聞の記事は、「業務妨害」だと声高に叫んでいる大学教員自体が、カンニングを防止すべき試験監督の任務をさぼっている実態がはびこっていることを指摘しています。ある元教授は、「試験監督を『雑用』と呼んではばからず、いいかげんにやる教員も多い」とか、「試験中に自分の講義のテスト採点を行ったり、いびきをかいて眠ったりする教授もおり、試験後、『試験監督のおしゃべりがうるさかった』と、苦情を寄せられたこともあった」と証言しています。試験監督を長年行っていれば、誰でも知っている内容でしょう。

毎日新聞の記事は、警察による京大への批判的な評価を内容としています。 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」と府警幹部は述べているようです。「監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした」点からすれば、大学自ら試験監督業務を怠っていた以上、業務「妨害」に値しないのではないか、と言えるわけです。

試験監督業務をいい加減にやっている教員の存在があり、京大の場合も試験監督としての不手際が明白です。このように自ら業務を怠っている以上、業務の妨害を受けたと批判する資格はないと評価できることから、捜査機関側、警察の方としては、業務妨害罪で起訴する行為には値しないと評価できそうです。




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【2011/03/05 23:59】 | 刑法
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大阪市内で青信号の交差点を乗用車で走行中、赤信号なのに横断歩道を自転車で渡ってきた男性(64)をはねて死亡させたとして自動車運転過失致死罪に問われた事件について、大阪地裁(水島和男裁判長)は平成23年2月15日、過失を否定し無罪(求刑懲役1年8月)を言い渡しています。

この事件は、自動車運転過失致死容疑についてはいったん不起訴となったのですが、遺族の検察審査会への申し立てを受けた大阪地検は、再捜査を行い、自動車運転過失致死罪で起訴したという経緯であったという点に特徴があります。

元々、不起訴であったのに、検察審査会の申立てがあったことが契機となって起訴されたという経緯があった事件ですから、いわゆる「小沢問題」と同様と共通する点があるので、紹介したいと思います。



1.報道記事を幾つか。

(1) スポニチ[ 2011年2月15日 16:45 ]

交差点の死亡事故で無罪 青信号で衝突「過失ない」

 大阪市内で青信号の交差点を乗用車で走行中、横断歩道を自転車で渡ってきた男性=当時(64)=をはねて死亡させたとして自動車運転過失致死罪に問われた無職の男性被告(43)に、大阪地裁は15日、「運転の注意義務を怠ったとは言えず過失はない」として無罪判決を言い渡した。求刑は懲役1年8月だった。

 検察側は、被告が法定速度を約20キロ超える時速約80キロで走行し安全確認を怠ったと主張したが、水島和男裁判長は判決理由で「法定速度を守ったとしても信号無視をした被害者を予測できたわけではなく、事故を回避できたとは言えない」と述べた。

 被告は2008年11月17日午前0時25分ごろ、大阪市東住吉区の青信号の交差点を速度超過で走行中、赤信号を守らず横断してきた男性をはねて死亡させたとして自動車運転過失致死と道交法違反の疑いで逮捕された。

 検察側は同過失致死罪についていったん不起訴としたが、男性の遺族が検察審査会へ申し立てをしたことを受け再捜査し略式起訴。だが大阪簡裁が「略式不相当」と判断し、地裁で審理された。

 被告はすでに道交法違反罪については懲役1年2月の実刑判決が確定している。[ 2011年2月15日 16:45 ]」



(2) asahi.com:関西ニュース(2011年2月16日)

事故の被告に無罪判決 実況見分の不備指摘 大阪地裁
2011年2月16日

 自転車の男性をはねて死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた兵庫県の男性(43)の判決が15日、大阪地裁であった。水島和男裁判長は、事故後の実況見分では過失を認定できず、男性が過失を認めたとされる検事作成の供述調書の信用性も低いと判断し、無罪(求刑懲役1年8カ月)を言い渡した。

 事故は2008年11月17日未明に発生。大阪市東住吉区の交差点で、赤信号の横断歩道を自転車で渡っていた被害者が乗用車にはねられて死亡した。

 男性は自動車運転過失致死容疑などで逮捕されたが、大阪地検は同容疑について不起訴処分(嫌疑不十分)。男性は道路交通法違反(ひき逃げ)などの罪で懲役1年2カ月の実刑判決が確定した。その後、遺族による検察審査会への申し立てを受けて再捜査した地検が自動車運転過失致死罪で男性を略式起訴し、大阪簡裁が「地裁での正式裁判が相当だ」と判断する異例の経過をたどった。

 15日の地裁判決は、事故後の警察官の実況見分について「停止した車から自転車の見える位置を確認しており、走行中の状況を再現したとはいえない」と指摘した。再捜査段階の供述調書についても、検事から「罰金刑で終わる略式起訴の余地もある」と言われたとする男性が「罰金で済むならそれでいい」と考えて過失を認めたと判断。公判段階で、「交差点は見通しが悪かった」などとして無罪を求めた男性側の主張をほぼ認めた。

 男性は「裁判所が公平に判断してくれた。被害者が亡くなったことは申し訳ないと思う」と語った。(岡本玄)」



(3) 読売新聞(2011年2月15日23時28分)

ひき逃げ不起訴・再捜査で起訴、男性に無罪判決

 3年前に大阪市内で起きたひき逃げ事件を巡り、いったん不起訴となった後、大阪地検の再捜査で自動車運転過失致死罪に問われた兵庫県内の男性被告(43)の判決が15日、大阪地裁であった。

 水島和男裁判長は「被告の過失を認めるだけの証拠はない」として、無罪(求刑・懲役1年8月)を言い渡した。

 被告は2008年11月、大阪市東住吉区の交差点で、自転車で横断中の男性(当時64歳)を車ではね、逃げたとして同月、逮捕された。道交法違反(ひき逃げ)などで実刑判決が確定したが、自動車運転過失致死罪は一度不起訴となった。

 大阪地検は遺族が検察審査会に審査を申し立てたことを受け、再捜査。09年11月に略式起訴したが、大阪簡裁が略式起訴は不相当と判断したため、正式裁判が開かれていた。

 公判で被告は無罪を主張。水島裁判長は判決で、被告が捜査段階で過失を認めた検察官調書について、「『略式起訴か公判請求かを決めるのは自分』と検事に言われ、罰金で済めばと思い、調書に署名したという被告の公判供述には迫真性がある」として、信用性は低いと判断。さらに、事故の約10か月後に行われた実況見分結果も疑問視し、「被告が事故を避けられる地点で、被害者に気づいていたと認めるには疑いが残る」と述べた。

 判決後、被告は「裁判所が公平に判断してくれた」と話した。男性の妹(54)は「無念さが残る」と語った。

(2011年2月15日23時28分 読売新聞)」



(4) 毎日新聞 2011年2月16日 大阪朝刊

ひき逃げ:男に有罪判決 過失致死は無罪--大阪地裁

 自動車運転過失致死罪に問われた兵庫県の男性(43)に対し、大阪地裁は15日、無罪(求刑・懲役1年8月)を言い渡した。同じ事件で男性は道交法違反(ひき逃げ)の罪で起訴され、懲役1年2月の実刑判決(確定)を受けたが、自動車運転過失致死罪は当初、容疑不十分で不起訴処分だった。遺族が検察審査会に審査を申し立て、大阪地検は再捜査して略式起訴したが、大阪簡裁が略式不相当と判断して大阪地裁で審理されていた。

 起訴状などによると、男性は08年11月、大阪市内の交差点で、自転車に乗って赤信号で横断歩道を渡っていた男性(当時64歳)を車ではねて死亡させた、とされた。弁護側は「衝突は避けられず過失がない」と無罪主張していた。

 検察側は男性が法定速度を超えていたと主張したが、水島和男裁判長は「法定速度を守っても衝突を回避できたとは言えず、過失を認めるに足る証拠はない」と無罪の理由を述べた。死亡した男性の妹の西森淳子さん(54)は「過失を認めてほしかった」と話した。【苅田伸宏】

毎日新聞 2011年2月16日 大阪朝刊」



2.事件内容については、スポニチの記事が一番分かり易くなっています。

すなわち、交差点においての自動車と自転車との交通事故ですが、

<1>自動車は、交差点で青信号であったためそのまま走行した。
<2>他方、自転車は、横断歩道を渡ってはいるものの、赤信号であるにもかかわらず、その赤信号を無視して渡ってきた。
<3>そのため、自動車は、まさか赤信号を無視して通行してくるとは予想できず、自転車をひいて死亡させてしまった。


というわけです。こう分かり易く書くと、なぜ、起訴されたのだろうと、疑問に思うはずです。「え、自転車は、赤信号を無視して通行したの? なんでそんな危ないことをしたのだろう? ひかれても仕方がないんじゃないの……」と。


(1) まず、今回の裁判で問題となった規定は、自動車運転過失致死罪(刑法211条2項)です。この自動車運転過失致死罪(刑法211条2項)は、「必要な注意を怠」った場合のみを処罰するので過失犯です。

(業務上過失致死傷等)
刑法第二百十一条
 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
2  自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」


過失犯として処罰するには、注意義務違反が必要であり、注意義務を認めるためには結果回避可能性が必要です。さらには、「信頼の原則」の適用がない場合である必要があります。

(6) 結果回避可能性

 ……過失責任は、精神を緊張させていれば結果の予見が可能であり、予見に応じた適切な結果回避行為をとれば結果を生じなかったであろうという場合に認められる。したがって、結果を予見し適切な回避行為を行ったが、その時点では、結果回避可能性がなかったという場合には、当然に過失は否定されることになる。(中略)

 問題となるのは、道交法などの定める義務には違反しているが、その具体的義務を遵守していたとしても結果回避可能性はなかった場合の処理である……。判例には、……<3>黄色点滅信号なのに徐行義務を怠り交差点に進入したところ、赤色点滅信号を無視し一時停止を行わず、制限時速を40キロもオーバーした時速70キロメートルで、しかも、床に落ちた携帯電話を拾おうとして下を向いたまま交差点に進入した車両と衝突し、同乗者を死亡させたという事案に関し、徐行義務違反は非難に値するとしつつも、たとえ徐行義務を遵守していたとしても結果回避可能性があったとは認められないとして無罪とした事例(最判平成15・1・24判時1806号157頁=黄色点滅信号)などがある。……<3>についても、たとえ自分の方に道交法違反があったとしても、赤色点滅信号を無視し猛スピードで侵入してくる自動車があることについては具体的予見可能性がない(大塚裕史「過失犯における結果回避可能性と予見可能性」神戸法学雑誌54巻4号27頁)として過失犯の成立を否定するべきだと思われる。それは後述する信頼の原則が適用されるからである。もっとも、<3>事件の場合も、赤色点滅信号を無視して進入してくる車両の存在を予見できる特別の事情がある場合は別である。その場合には、道交法の定める徐行義務を超えて停止義務まで認めるべき場合もあるといわねばならない。(中略)

(7) 信頼の原則

 信頼の原則とは、「行為者がある行為をなすにあたって、被害者あるいは第三者が適切な行動をすることを信頼するのが相当な場合には、たとい被害者あるいは第三者の不適切な行動によって結果が発生したとしても、それに対して責任を負わない」として過失犯の成立を否定する原則をいう(西原春夫・交通事故と信頼の原則〔1969〕14頁)。主に交通事故に関して発展してきた理論である……。交通事件においては、<1>駅員が、酔っ払いの乗客が駅に降りたことを認識しつつ放置したところ、酔客が線路に落ちてやってきた電車に挟まれ死亡した事案につき「転落などの危険を惹起するものと認められるような特段の状況があるときは格別、さもないときは、一応その者が安全維持のために必要な行動をとるものと信頼して客扱いをすれば足りるものと解するのが相当である」として過失を否定した事例(最判昭和41・6・14刑集20巻5号449頁)。……がその代表例である。

 さらに、判例は、自分の方にも交通法規の違反があったという場合でも、なお、信頼の原則が適用し得ることを認めている。たとえば、……<4>黄色点滅信号で徐行義務を怠り交差点に進入したところ、赤色点滅信号なのに一時停止せずに交差点に進入した車両と衝突し1名を死亡、4名を負傷させたという事案に関し、特段の事情がない限り相手方運転者が「右信号に従い一時停止およびこれに伴う事故回避のために適切な行動をするものとして信頼して運転すれば足り、それ以上に、……あえて法規に違反して、一時停止をすることなく高速度で交差点を突破しようとする車両のありうることまで予想した周到な安全確認をすべき業務上の注意義務を負うものではな」いとした事例(最判昭和48・5・22刑集27巻5号1077頁)などがその例である。 」(西田典之・刑法各論〔第2版〕270~273頁(弘文堂、平成22年)


要するに、交差点が赤信号の場合、車両や歩行者は交差点に侵入してこないと信頼しているので、赤信号で侵入してきた車両や歩行者によって死亡事故が生じたとしても、信頼の原則が適用され、過失犯が否定されるのです。

文献に引用されている判例は、すべて「赤信号」ではなく「赤色点滅信号」の場合ですが、赤色点滅信号では一時停止義務がある以上、その一時停止義務を無視した通行者にこそ事故の責任があるのであって、相手方運転者には、過失が否定されているのです。今回の事例のような赤信号の場合には、通行者には停止義務があり、青信号で通行する相手方運転者にとっては、本来、安心して交差点を直進できる以上、過失が否定されるのは当然なのです。

分かり易く言えば、交差点において赤信号を無視する通行者・車両は、まさに自殺そのものです。自殺をするために道路に飛び出してきた者・車両とぶつかり、死傷させたからといって、死傷に対する刑事責任を問われるはずがないのです。交差点における交通ルールには、社会全体でそれだけ「重い信頼」があるのです。これが現代の社会で暮らしていく市民のルールです。



(2) そうだとすると、今回の事例では、自動車と自転車との間の事故ですが、死亡した自転車運転者の方は、赤信号で交差点に進入してきた事例ですから、まさにこの信頼の原則が適用される場面であり、法解釈上、自動車運転者は、過失犯が否定されるというのが通常の結論です。

法定速度違反があったようですが、そうた道交法違反があっても問題はありません。「判例は、自分の方にも交通法規の違反があったという場合でも、なお、信頼の原則が適用し得ることを認めている」のです。ですから、今回の事件でも、「法定速度を守っても衝突を回避できたとは言え」ないとして過失を否定するのも、法解釈上、通常の結論でしょう。

ですから、この事件において、当初、大阪地検が不起訴にしたのは妥当だったのであり、大阪地裁が無罪としたのも当然の結論でしょう。

もっとも、「赤色点滅信号を無視して進入してくる車両の存在を予見できる特別の事情がある場合は別」ですが、この事案では「交差点は見通しが悪かった」ようですので、「特別の事情」があるして過失犯を肯定することは無理だったようです。

これに対して、読売新聞の記事では、「ひき逃げ不起訴・再捜査で起訴、男性に無罪判決」、「『被告の過失を認めるだけの証拠はない』として、無罪(求刑・懲役1年8月)を言い渡した」という文面にしています。これでは、「本来は有罪となったはずなのに、捜査の不備で証拠が不十分だったので残念ながら無罪となってしまった」と言いたいかのようです。

しかし、前述のように、この事案は、信頼の原則が適用される典型例といえるような事案です。ですから、証拠のいかんを問わず、法解釈上、過失(注意義務違反)を認めるのは、あまりにも困難な事案だったのですから、単に証拠が不十分だったから無罪になった事案ではないのです。その意味で、証拠が足りなかったから無罪となったというような読売新聞の記事は、間違いというべきです。



(3) この事件の問題性は、検察審査会の申立てがあったために、その申立てに引きずられ、無理な捜査を行い、偽りの実況見分調書・虚偽の供述調書を作成した点です。

 「水島和男裁判長は、事故後の実況見分では過失を認定できず、男性が過失を認めたとされる検事作成の供述調書の信用性も低いと判断し、無罪(求刑懲役1年8カ月)を言い渡した。(中略)
 その後、遺族による検察審査会への申し立てを受けて再捜査した地検が自動車運転過失致死罪で男性を略式起訴し、大阪簡裁が「地裁での正式裁判が相当だ」と判断する異例の経過をたどった。
 15日の地裁判決は、事故後の警察官の実況見分について「停止した車から自転車の見える位置を確認しており、走行中の状況を再現したとはいえない」と指摘した。再捜査段階の供述調書についても、検事から「罰金刑で終わる略式起訴の余地もある」と言われたとする男性が「罰金で済むならそれでいい」と考えて過失を認めたと判断。」


はっきりいえば、<1>実況見分調書は、正確に記載せずに、過失を認める意図の下に恣意的な記載になっているため、使い物にならない証拠である、<2>被告人の供述調書は、検察官が「罰金で済むから」というような利益誘導がなされた挙句にとられたものであるので、(本来、任意性がないとして証拠にならないといいたいところだが)信用性がないので証拠にならない、というわけです。

いわゆる「被害者遺族」は、不起訴に不満が生じる気持ちはやむを得ないものがあります。死亡しているのですから、その怒りをぶつけたいという思いも生じるでしょう。しかし、そうした被害者感情を検察審査会に申し立てをすると、法解釈上、有罪は無理であろうとも、いくら証拠がなくても、市民感情次第で、強制起訴になり得るのです。(小沢一郎・元民主党代表の事件も、法解釈上有罪が無理なのに、しかも証拠がないのに強制起訴に至っており、全く同じです。)

過去には、検察審査会が不起訴相当の議決を出したため、再捜査して起訴したものの、結果的に無罪判決が確定した事件は「甲山(かぶとやま)事件」「岡山遊技場放火事件」など、数多くあります。検察審査会の議決には強制力のない時代ですら、こうした冤罪事件が発生していたのですから、議決に強制力が付与された現在の制度の下では、冤罪が生まれる可能性はかなり高まってしまうのです(「強制起訴可能となった検察審査会法は妥当か?~疑問を呈した小沢発言を契機として」(2010/09/05 [Sun] 16:56:01)参照)。

今回の事件もまた、検察審査会への申立てが起訴の契機となりました。この事件もまた、自動車運転過失致死罪についてですが、検察審査会による冤罪事件の一つといえるのです。




3.最後に。

(1) 今回の“被害者”は、当時64歳の男性であり、赤信号で渡っていれば自動車にひかれてしまうという“常識”は、いままでの人生経験から十分に分かっていたはずです。この“被害者”も親であれば、自分の子どもに対して、「赤信号では絶対に渡ってはいけない。車にひかれてしまうよ。」と、厳しく教えていたはずです。

そうだとすれば、法律論がどうであろうとも、正直なところ、誰でも、交差点で赤信号を無視して通行すれば、自動車にひかれてしまっても仕方がないと思うはずでしょう。“被害者”当人さえも

赤信号なのに通行すれば、ひかれてしまうことをうすうす分かっていながら、安易に赤信号を無視して通行し、その結果、自動車にひかれてしまった――。これは、「赤信号で渡ってはいけない」という大事な交通法規を遵守しなかった本人が一番悪いのだというしかないのです。

なお、この事件は大阪で起きた事件です。大阪では、関東と異なり、赤信号でも通行するという歩行者が多いようです。そうした大阪市民に蔓延する悪癖が遠因となって、安易な判断で赤信号を無視してしまい、交通事故に至ったのかもしれません。

イラち大阪人、青信号待てない?…死亡事故多発

 大阪府内で歩行者や自転車に乗る人が信号無視し、死亡する事故の割合が全国平均の2倍に達していることが、府警の調べでわかった。
 昨年の死亡事故では、両者の信号無視が占める割合は全国平均の3・7%(173件)に対し、府内は8・1%(16件)。府警は歩行者らだけでなく、ドライバーにも注意を呼びかけている。
 府警によると、同様の死亡事故は、2006~09年の4年間に81件発生し、東京に次いで全国ワースト2位だった。交通量や信号が多い幹線道路で多発しているという。」((2011年2月14日11時00分 読売新聞)



(2) 法律論として色々論じてきましたが、そんなことを知らなくても、通常の常識的な感覚でもって判断しても無罪という結論に至る事件であったと思われるのです。(もしかしたら、大阪では、赤信号で通行し始めたら、青信号でも停止義務があり結果責任的に過失責任を負うべきという、特殊な意識があるのでしょうか。大阪での検察審査会では、そういう――法理論としては認められない――特殊な意識、特殊な感情論で有罪判断をしてしまうのかもしれません。)



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【2011/02/17 04:22】 | 刑法
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大相撲の野球賭博事件に絡み、警視庁が家宅捜索で押収した現役十両力士数人の携帯電話に、数十万円で勝ち星の売買が日常的に行われていたことをうかがわせるメールの記録が残っていたことが平成23年2月2日、明らかになりました。


1.「今日はまっすぐぶつかっていく」などと、取組内容を打ち合わせたような記録もあったことから、勝負事で、真剣に争っているように見せながら、前もって示し合わせたとおりに勝負をつけている可能性があります。だとすれば、いわゆる「八百長」という行為に当たりそうです。

この「八百長疑惑」については、衆院予算委員会で2月3日、大相撲八百長疑惑について自民党の斎藤健氏の質問に対して、菅直人首相は、「相撲は国技だ。八百長があったとすれば、大変重大な国民に対する背信行為だ」などと述べて息巻いています。枝野幸男官房長官や高木文部科学相もまた2月3日、八百長疑惑に関連し、日本相撲協会の公益法人認可取り消しもあり得るなどと、勇ましく吠えています。

では、これら首相や閣僚がやたら息巻いたり、勇ましく吠えて批判するほど、大相撲の「八百長」は重大な犯罪なのでしょうか。この点について触れた記事を紹介します。 



2.東京新聞平成23年2月4日付夕刊9面

八百長問題 逮捕は?直接の法規定なし
2011年2月4日 夕刊

 大相撲の八百長は罪に問われることはないの? 結論から言うと可能性はかなり低い。

 競馬や競輪、Jリーグなど合法的な賭け事の対象となる競技にはそれぞれ対象の法律で八百長が禁じられている。競馬法では「競走について財産上の利益を得、または他人に得させるため競走において馬の全能力を発揮させなかった騎手」は三年以下の懲役または三百万円以下の罰金に処する-と規定している。

 警察庁によれば相撲の八百長の場合、直接取り締まる法律はないものの、懸賞金がかかっている一番であれば詐欺の疑いが、相撲が業務であれば偽計業務妨害容疑の適用も考えられるという。

 ただ、同庁幹部は「捜査した警視庁はあらゆる法的な考察を加えた上で、立件の可能性をうかがわせる証拠はないと判断した」としている。

 同庁は、問題の力士間で交わされたメール情報を文部科学省に提供した。これは立件のためではなく、公益性があるとし、行政機関が一体となって機能することを義務付けている国家行政組織法に基づいて提供した。

 では、勝ち星の売買に伴い金銭の授受があったとすれば、課税上の問題はどうか。

 単純に現金のやりとりだけなら、受け取った側に贈与税の納付義務が生じる。何らかの対価を伴う役務の提供と認定されれば、雑所得の対象になる可能性が出てくる。しかし、それぞれの力士にどれだけの現金が蓄積されているか判断するのは容易でなく、対価性の認定にも困難が予想され、ハードルは高そうだ。」



「相撲の八百長の場合、直接取り締まる法律はない」のです。この八百長疑惑が出た当初から、「八百長は犯罪行為にあたらない」と指摘されてきたことではありますが、大事なポイントです。

仮に、「懸賞金がかかっている一番であれば詐欺の疑い」が出てきますが、十両力士数人のであれば、懸賞金がかかっていることはまずありませんので、詐欺罪になりません。その他にも、「相撲が業務であれば偽計業務妨害容疑の適用も考えられる」わけですが、「相撲の業務性」、八百長が「偽計」にあたるのか、幾つかの取り組みだけの八百長に過ぎないのに「業務妨害」とまでいえるのかどうか、なかなか業務妨害罪の成立を肯定することは難しいでしょう。

要するに、大相撲の八百長は、何等犯罪行為にはならず、いうなれば、いうなれば、大相撲の八百長は適法行為なのです。そうだとすれば、菅直人はやたら息巻いて批判をし、高木文部科学相は勇ましく吠えて批判していましたが、大相撲の「八百長」は何等犯罪ではない以上、そうした批判は過剰反応し過ぎたものであって、単なる感情論にすぎないのです。騒ぎ過ぎは禁物なのです。



3.大相撲の八百長は、適法行為であると官僚から指摘されたためでしょうか、なぜか政府は2月4日、一転して、慎重姿勢に変わりました。

(1) 朝日新聞平成23年2月4日付夕刊1面

相撲協会の公益法人取り消し、官房長官が一転慎重姿勢
2011年2月4日11時53分

 枝野幸男官房長官は4日の記者会見で、日本相撲協会が受けている公益法人(財団法人)の認可の取り消しについて「民法には取り消しという制度もあるが、そこに向けて幾つもの手続きがあり、解散には至らないという手続きも定められている。一足飛びにいく話ではない」と語り、慎重な姿勢を示した。

 枝野氏は3日の会見で、公益法人の認可取り消しについて「可能性としてはあり得る」と述べていた。高木義明文部科学相も4日の会見で「取り消しに至るまでは手続きを踏まないといけない。まずは速やかに報告を受け、その後に検討されるべきと思っている」と指摘。これに関連し、蓮舫行政刷新相も4日の閣僚懇談会で「公益法人取り消しがメディアで取りざたされているが、ハードルは高い」などと語った。」



(2) 公益法人の解散をさせるとなれば、その公益法人はもちろん、公益法人の関係者は多大な損害を受けるのですから、公益法人が解散に当たるほどの重大な行為を(組織的に)犯した場合でなければなりません。もし、犯罪行為でもないのに、単に「スポーツはフェアーであるべき」(朝日新聞の西村欣也・編集委員)といった抽象論で公益法人の解散をさせててしまうと、当然ながら、裁判において、比例原則(憲法13条)違反として、解散は否定されることになることは必至です。

ですから、枝野幸男官房長官が、公益法人(財団法人)の認可の取り消しについて「民法には取り消しという制度もあるが、そこに向けて幾つもの手続きがあり、解散には至らないという手続きも定められている。一足飛びにいく話ではない」と語り、慎重な姿勢を示すのは、あまりにも当然なのです。

むしろ、枝野氏は、通常の弁護士としての能力はないとしても、少なくとも弁護士資格はあるのですから、当初から「公益法人(財団法人)の認可の取り消しはできない」と言うべきだったのです。高木義明文部科学相も、法律論が分からないのですから、軽々に公益法人の取り消しなどと言うべきではなかったのです。

公益法人の取り消しがほとんどあり得ない事例において、軽々に「公益法人の取り消しがあり得る」などと言うことは、それは政府による脅迫・強要行為であって、それこそ不法行為(民法709条)に当たり得ます。




4.「ガチンコ勝負」という言葉があります。この「がちんこ」とは、「(相撲界で)真剣勝負。また真剣勝負の稽古をすること。」を意味します。要するに、相撲には、「ガチンコ勝負」とそうでない「勝負」――すなわち八百長勝負――があることを、「語句」が図らずも示しているわけです。

相撲には、元々八百長があったわけで、今でも八百長のことを「注射」というなどと、八百長の伝統を今でも引き継いでいる可能性は十分にあるわけです。相撲に深く関わっているメディア関係者であれば、八百長の話は、分かっていたはずです。

「八百長疑惑」については、やたらと興奮して批判しているメディア(朝日新聞など)が目につきます。しかし、メディアは、八百長疑惑があることをうすうす知っていながら、批判を繰り広げるのは、滑稽でなりません。今回の事例のように十両力士たちが八百長に及ぶような大相撲の構造を知っていながら、八百長を批判をするのは実に無責任です。

「大相撲の八百長を処罰する規定はない」というように、今回の東京新聞のように冷静な記事を掲載するべきです。いくらメディアが日本相撲協会に対して、やたらと興奮して激しく批判を繰り広げようとも、市民の側は、よく考え、冷静な判断をするべきです。



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【2011/02/04 21:27】 | 刑法
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rice_shower
これ警察-山口組問題、なんですよね。
昨年、唐突に発覚した(とされている)維持員席、野球賭博問題のターゲットは名古屋の弘道会、現在収監中の司忍山口組六代目の出身母体。
同組長が今年春には出所予定なので、警察がこれに備え、山口組の中枢に手を突っ込んで揺さ振りを掛けた、ということで、これは昨年後半No.2(若頭)、No.3(本部長)が相次いで逮捕される、という、かつてなら有り得ない展開に続いています。
警察が正義に目覚めて頑張っているのなら良いのですが、“利権に目覚めて”気合が入っている、それにメディアが利害を共有して、バカ騒ぎをしている、としか感じられないのは、私だけでしょうか?

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