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小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、強制起訴すべきと議決された民主党の小沢一郎元代表側が、「議決内容に欠陥があり無効だ」として、行政事件訴訟法に基づく無効確認、強制起訴を行う弁護士の指定の差し止めなどを求める訴訟を、国を相手取って平成22年10月15日に東京地裁に起こすとのことです。

この問題については、色々と論じられているようですが、とりあえず、次の朝日新聞の記事を紹介しておきます。一言でいえば、色々調べて記事にしたものの、問題点をよく理解できないまま、ダラダラと無意味な内容をこねくり回して書いたものになっていますので、これで読者が正しい理解をすることはできません。どうしようもないとはいえ、新聞記者は、法律問題について理解できずに書いているという証拠を示すために、引用しておきます。



1.朝日新聞平成22年10月15日付朝刊37面「もっと知りたい!」

検察審議決ひっくり返せるの?

 強制起訴されることになった小沢一郎・民主党元代表が15日、手続きを止めるため行政訴訟を起こす。検察審査会の議決の有効性が裁判に持ち込まれたことはあるが、強制起訴を決めた議決が法廷で争われるのは初めて。起訴前に市民の判断を覆すことはできるのか。(延与光貞)

 「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えられるのか――。東京第五審査会が4日に公表した起訴議決について、弁護団は「審査の範囲を超えており、違法だ」と主張している。

 小沢氏は、資金管理団体「陸山会」の政治資金収支報告書にうその記載をしたとする容疑で告発された。「告発事実」は、陸山会が土地を約3億5千万円で購入したのに、2004年分ではなく05年分の収支報告書に支出を記載した容疑だった。しかし、議決では土地購入の原資となった「小沢氏からの借入金4億円」を04年分の報告書に記載しなかったとする容疑まで「犯罪事実」に含めた。

 ただ、「追加分」は、小沢氏の元秘書らの起訴内容には含まれている。刑事訴訟法には「同一の事実なら、起訴内容の追加・変更ができる」という規定があることから、法務・検察の中では「同じ年の虚偽記載なら同一性があり、追加してもかまわないのでは」という見方が強い。

 別の論点もある。慎重を期すために強制起訴には2度の議決が必要だ。その趣旨を踏まえれば、「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えることは許されるのか。「この点は議論の余地がある」とみるベテラン裁判官もいる。

   ●   ●   ●

 「起訴は違法だ」と主張する場合、ふつうは刑事裁判の中で訴える。だが、刑事訴訟法ではその判断は判決で示すことになっており、起訴自体を止める効果はない。

 そこで、刑事手続き以外の方法として小沢氏の弁護団が考えたのは、国の行為の違法性を争う行政訴訟だった。

 今後は、検察官役として小沢氏を起訴し、公判に立ち会う「指定弁護士」を東京地裁が選ぶ。弁護団は、それを「行政処分」ととらえて、差し止めを求めるとみられる。手続きを止めるには「重大な損害が生ずるおそれがある」ことが要件とされる。

 ただ、行政訴訟に詳しい裁判官は「議決がおかしいというなら、選任を問題にするのは違和感がある」という。

 行政訴訟にはほかに、処分の無効確認や取り消しを求める方法がある。この裁判官は「審査会の議決を行政処分ととらえ、有効性を争うほうが自然だ」とみる。小沢氏の弁護団も検討はしたようだ。

 これらの方法にも、「重大な損害を避けるため、緊急の必要がある場合」には、判決前に処分の効力を止められる規定がある。審査会の議決が行政処分にあたることが前提だが、起訴を止めることも理屈上はできる。

 指定弁護士の選任を問題にするなら、刑事手続きの中で争う余地もありそうだ。選任が刑事訴訟法にいう判決前の「決定」にあたるなら、「抗告」という手段で不服を申し立てられるからだ。

 いずれにせよ、「強制起訴」の仕組みができてからは初めての事態となる。

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 行政訴訟が起こされた場合の大きな争点は、「選任や議決が行政処分と言えるかどうか」だ。具体的には「小沢氏の法的権利に直接の影響を与えたといえるか」が問題になる。審査会の議決が行政訴訟で争われた例は過去にいくつかあるが、いずれも議決を覆すことには否定的な判断が出ている=表

 判決内容をみると、検察審査会法に異議申し立ての仕組みがないことに加え、刑事裁判で審査する前に、起訴・不起訴の妥当性に踏み込めば「干渉」になると消極的になっていることがうかがえる。

 無効確認訴訟では最高裁まで争われた例もあるが、1966年の判決は「具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない」として門前払いにした。

 ただし、当時は「起訴相当」の議決が出ても検察官が最終的に起訴、不起訴を決める仕組みだった。新たに市民の判断による「強制起訴」が導入されたことで、前提は変わった。「権利や法律関係に影響を与える」とみる余地があり、ベテラン民事裁判官は「この点をつく訴訟は可能かもしれない」と話す。

 とはいえ、「準司法機関」とも言われる検察審査会の議決や指定弁護士の選任が「行政処分」にあたるとみる法曹関係者は少ない。検察審査会制度に詳しい神洋明弁護士は「市民の判断を行政処分とみるのは無理があるのではないか。起訴が問題だと考えるなら、刑事裁判の中で争うのが筋だ」と指摘する。」



■検察審査会の議決の効力が争われた過去の裁判例

判決年月――裁判所――審査会――訴えは適法?――判断内容

1952年11月――福岡地裁――福岡――×――裁判所と検察庁を区別した刑事訴訟制度の原則に照らすと、議決に対して行政訴訟で救済を求めることはできない

1966年1月――最高裁――鳥取――当時は×――(当時の検察審査審査会法の制度では)議決が具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない

1966年4月――横浜地裁(1審)――横浜――△――審査せずに放置するなど明らかな違法があれば取り消し請求は許されるが、内容の誤りを理由に取り消しは求められない

1967年11月――東京高裁(2審)――横浜――×――議決の取り消し請求を認めれば、裁判所が間接的に検察の処分の当否の審査をすることになり、裁判所の権限に属しない」


2.この事件についての問題点は、大きく2点あります。

(1) 1つ目は、東京第五審査会が、<1>「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えたこと、さらに、<2>「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えています。このように議決に瑕疵があることで、その審議会の議決は違法となるのかどうか、という点です。

 イ:検察審査会制度は、検察官のした不起訴処分に不服のある場合に、告発をした者等が、その処分の当否の審査を申し立てることができるというものです(検察審査会法30条。なお、同法2条3項)。告発があって審査をしているのに、告発内容と無関係に判断するのであれば、それは告発者の意思に反するものであって、許されないというべきです。

したがって、<1>「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えたことは、違法な議決であるというのが筋といえます。


 ロ:また、検察審査会が、第1段階の審査において、起訴相当の議決(同法39条の5第1項1号)をしたのに対し、検察官が当該議決に係る事件について、再度不起訴処分をしたときは、当該検察審査会は、改めて審査(第2段階の審査)を行わなければなりません(同法41条の2)。そして、その審査で改めて起訴を相当としたときは、起訴議決をします(同法41条の6第1項)。第2段階の審査では、審査の補助をするための弁護士が必ず付くことになっているのです(同法41条の4)(光藤・刑事訴訟法1(成文堂、2007年)205頁以下)。

このように、強制起訴が認められるには、【1】検察審査会が2度、起訴相当の議決を行い、検察庁が2度不起訴処分をすることと、【2】不当な議決にならないように、法律の専門家である弁護士が審査の補助をするようになっているのです。

もし、「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目の議決で加えることは、2度目の審査会の議決は、2度の審査を経ないで「強制議決」したことになりますし、また、検察庁の不起訴処分は、1度目と2度目と異なったものとなります。これでは、法が【1】検察審査会が2度、起訴相当の議決を行い、検察庁が2度不起訴処分をすることとを要求し、慎重な議決を要求した趣旨に反するものであって、妥当ではありません。

また、こうした瑕疵ある議決も許されるとするのであれば、【2】不当な議決にならないように、法律の専門家である弁護士が審査の補助を求めた法の趣旨にも反するといえます。

したがって、<2>「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えたことは、違法な議決であるというのが筋といえます。



(2) 2つ目は、違法な審査会の議決に対して、行政訴訟を提起することができるかどうか、です。

 イ:検察審査会は、検察官による不当な不起訴処分を審査するものであり、行政機関である検察庁(検察官)が有する公訴権(起訴する権限)をも有するのですから、行政機関の1つといえます。となると、行政機関の行った強制起訴という「処分」ですから、行政訴訟の対象となりうるわけです。

他方で、検察官が行う起訴などの処分は、形式的には行政庁の処分とはいえ、刑事手続の一環ですから、刑事訴訟で解決するべきものといえます。例えば、検察官などによる、弁護人と被疑者との接見交通に対する処分は、それに対する不服は準抗告によるとして、刑事訴訟法は行政法の適用を排除しています(刑訴法430条)。

このように、行政機関の行為であるがゆえに、刑事訴訟で判断するべきなのか、それとも行政訴訟の対象になるのかが問題となるわけです。


 ロ:刑訴法自体は、起訴するかどうかについては、検察官の権限としており(起訴便宜主義。刑訴法248条)、検察官は訴訟の当事者としてその起訴された内容について立証する責任があります。となれば、裁判所としては、起訴の是非については検察官の専権ですので、裁判所としては介入しないのが原則であり、あくまでも検察官が当事者として訴訟に存在する、刑事裁判で判断するのが適切であるといえます。

しかし、検察審査会の強制起訴は、検察官の意思に反して起訴するわけです。となると、起訴便宜主義の例外であり、裁判所としては介入しないのが原則とはいえず、裁判所が起訴の是非自体に介入することも可能といえます。


 ハ:また、検察官による起訴であれば、慎重な判断をした上での起訴、すなわち、有罪判決を得られる高度な見込みがある上での起訴です。とすれば、実質的にも、検察官による起訴自体の妥当性をあえて、行政訴訟で判断する必要はありません。

しかし、今回の議決要旨では、有罪の見込みがなくても、「国民は裁判所によって本当に無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利がある。検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと、検察審査会の制度にない意義まで創設しているのです。このような、市民による「私刑(リンチ)」を公然と肯定するほどの傍若無人ぶりを示す以上、起訴自体の妥当性を、行政訴訟で判断する必要性があります。

検察官による起訴と異なり、第五検察審査会の起訴議決のような無責任な起訴の妥当性は、本来の刑事裁判で判断するのではなく、それだけを行政訴訟で行うのが筋というべきでしょう。もちろん、無責任な起訴の尻拭いまでも、刑事裁判で行うという判断もあり得るでしょうが。


 ニ:また、通常、刑事訴訟か行政訴訟か争われる場合、刑訴法430条で抗告によるとの規定があるように、行政法を排除するような規定があるのです。ところが、検察審査会法では、旧法では、行政法を排除する規定があったのですが、改正によりそのような規定が削除されたようです。このような改正の経緯があるとすれば、検察審査会法の議決は、行政訴訟の対象となるのが筋といえます。


 ホ:このようなことから、違法な審査会の議決に対しては、行政訴訟を提起することができると考えられるわけです。

なお、1966年1月の最高裁判例によれば、「(当時の検察審査審査会法の制度では)議決が具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない」としていました。現在では、強制起訴となり、被告人として重大な権利侵害が生じる以上、議決は「権利や法律関係に影響を与える」ことになります。それゆえ、最高裁判例上は、検察審査会の起訴相当議決は、行政訴訟の対象となりうるわけです。




3.小沢一郎氏側が、行政訴訟を提起するに至ったのは、第五検察審査会の議決に重大な瑕疵があったからです。重大な瑕疵がなければ、行政訴訟を提起する必要性なぞなかったのですから。

第五検察審査会は、証拠を改ざんした前田恒彦検事が関わった事件であるのに、その証拠を妥当性を疑問視するなどの、通常人であれば誰もがあるべき常識的な判断もありませんでした。小沢氏を起訴するには「共謀」が最も大事であるのに、「検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと誤魔化すだけで、共謀の判断さえもしていないのです。

小沢氏の元秘書らの起訴内容をそのまま引き写すことをするなどの杜撰な議決だったのですから、単なる「アヤシイ」という感情論で起訴を決定したのであって、証拠で判断したものとは到底思えません。こうした杜撰な議決を行い、審査補助員を務めた吉田繁実弁護士(第2東京弁護士会)がその杜撰な議決かどうかを判断できるだけの能力に欠けていたからこそ、審査会の議決に重大な瑕疵が生じてしまったのです。

このように、第五検察審査会と吉田繁実弁護士が杜撰な判断をしたために、無用な争いが生じることになったのです。

検察審査会は、「検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと、他人を刑事裁判の苦痛に追いこんでおきながら、現行法上は、何らの責任を負う規定になっていません。補助弁護士に対する責任も規定がないのも問題です。

検察審査会が杜撰な判断をしないために、また、無知な補助弁護士が杜撰な判断をしないためには、検察審査会の審査員の氏名・住所を公開し、損害賠償責任を負わせる規定を設け、また、無能な弁護士を排除するために、補助弁護士に対する損害賠償責任を明記するべきです。もちろん、吉田繁実弁護士に対しては、補助弁護人の責任としての損害賠償責任を明記しなくても、弁護士会に懲戒請求をすることが可能です。

民意を反映するという名目で、強制起訴をも可能とした検察審査会の意義を認めるのであれば、自己責任を負わせることの方が民主主義に合致するものというべきです。杜撰な行動によって、他人を刑事裁判という多大な苦痛を与えておきながら、何ら責任を負わないことを容認する方が不合理です。

(無責任な起訴相当議決をもたらしたのは、常軌を逸した「小沢バッシング」を繰り広げるマスコミ報道に要因があります。作家の宮崎学さんが述べるように、小沢氏側は、マスコミに対して名誉毀損(民法709条)に基づく損賠賠償訴訟を起こすべきでしょう。いい加減に、常軌を逸した「小沢バッシング」は止めさせるべきです。)


なお、吉田繁実弁護士は、城山タワー法律事務所に所属しています。その経歴はそのHPによると、次のようになっています。

「(経 歴)
東京都生まれ 学習院大学法学部卒業
弁護士(第二東京弁護士会所属)
桐蔭横浜大学法科大学院客員教授(刑事弁護実務担当)
平成18年度、同21年度 第二東京弁護士会刑事弁護委員会委員長
同20年度 第二東京弁護士会副会長、関東弁護士会連合会常務理事当)

(その他の活動)

第二東京弁護士会常議員、日本弁護士連合会代議員等

主担当分野:不動産事件全般、刑事事件全般」


吉田繁実弁護士は、有罪の見込みがなくても起訴できるという、およそ不合理で人権保障を抹殺しかねない議決を容認しておきながら、桐蔭横浜大学法科大学院で、「刑事弁護実務担当」なのです。

桐蔭横浜大学法科大学院のHPによると、新司法試験の合格者は平成19年は9名、平成20年は8名、平成21年8名、平成22年は6名と、元々少ない合格者がますます減少しています。およそ、刑事弁護人にあるまじき議決を認めてしまうような弁護士が、「刑事弁護実務担当」であれば、桐蔭横浜大学法科大学院で学ぶ者は、およそ刑事弁護の理解が欠けることになるのですから、新司法試験に合格するのは困難でしょうし、将来において真っ当な刑事弁護を行うことは不可能です。

桐蔭横浜大学法科大学院において、合格者がますます減少している一因は、吉田繁実弁護士にもあるように思えてなりません。今後は、桐蔭横浜大学法科大学院への入学を避ける者が増えるとは思いますが、多額の借金を負いながらも、桐蔭横浜大学法科大学院で学んでいる学生は逃げられないのですから、哀れでなりません。



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【2010/10/15 08:09】 | 事件
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小沢一郎・元民主党代表(68)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件について、東京第5検察審査会は平成22年10月4日、小沢氏を起訴すべきだとする「起訴議決」をしたと公表しました。小沢氏は、東京地裁が指定する弁護士により、政治資金規正法違反(不記載、虚偽記入)で強制起訴されることになります。

「起訴議決」の公表は10月4日ですが、議決自体は民主党代表選当日の9月14日付でした。そうすると、代表選の選挙運動中に審理を行い、投票日当日に議決を行うことは、客観的みて最も冷静さを欠いたなかで行った議決ですから、冷静な決定であったのか根本的に疑問があります。


「起訴議決」となったことを受けて、小沢一郎・元民主党代表は10月4日、次のような談話を発表しています。

「この度の私の政治資金団体に関る問題で、お騒がせしておりますことに心からお詫び申し上げます。

 私は、これまで検察庁に対して、私が知る限りのことは全てお話をし、二度にわたり不起訴処分となっており本日の検察審査会の議決は、誠に残念であります。

 今後は、裁判の場で私が無実であることが必ず明らかになるものと確信しております。

 衆議院議員 小沢一郎

(2010年10月4日18時29分 読売新聞)」(YOMIURI ONLINE(2010年10月4日18時29分)




1.まずは、検察審査会の議決内容と弁護人のコメントを。

(1) NHKニュース(10月4日 19時12分)

小沢氏強制起訴へ 検察審査会議決
10月4日 19時12分

 民主党の小沢元代表の政治資金をめぐる事件で、東京第5検察審査会は小沢氏本人について、2回目の審査でも「起訴すべきだ」とあらためて議決し、小沢氏は、政治資金規正法違反の罪で強制的に起訴されることになりました。小沢元代表は「きょうの議決はまことに残念で、今後は、裁判の場で、無実であることが必ず明らかになるものと確信しています」というコメントを出しました。

 この事件では、小沢元代表の資金管理団体が土地の購入資金に充てた4億円をめぐり、平成16年と17年、それに19年分の収支報告書にうその記載をしたとして、東京地検特捜部は政治資金規正法違反の罪で元秘書ら3人を起訴する一方、小沢氏本人については不起訴にしました。

 このうち平成16年と17年分については東京第5検察審査会がことし4月、小沢氏を「起訴すべきだ」と1回目の議決をしましたが、特捜部が再び不起訴にしたため、2回目の審査が進められていました。その結果、先月14日付けで審査員11人のうち8人以上の賛成で、小沢氏を「起訴すべきだ」とあらためて議決しました。

 4日に公表された議決書の中で検察審査会は、収支報告書を提出する前に、小沢氏に報告・相談したという元秘書で衆議院議員の石川知裕被告(37)の捜査段階の供述について「特捜部の再捜査でも同じ供述をしており、信用できる」と指摘しました。また「小沢氏に土地代金を計上することを報告し、了承を得た」という元秘書の池田光智被告(33)の捜査段階の供述についても、「師として仰いでいる小沢氏の関与を、実際より強める方向で、うその供述をするとは考えがたく、信用できる」と指摘しました。

 小沢氏の供述については「土地の購入資金に充てた4億円の出どころについての小沢氏の説明は、不合理で到底信用できない。小沢氏は4億円を自分の手持ち資金から出したと供述しているが、それならば銀行から4億円を借り入れる必要はまったくない。銀行からの融資を了承し、みずから署名・押印した以上、当然、うその記載についても了承していたと認められる」と指摘しました。

 そして「検察が起訴する基準に照らしても検察の判断は肯定できない。検察審査会の制度は、検察が起訴をちゅうちょした場合に、国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で無罪なのか有罪なのか判断してもらう制度だ」と結んでいます。これによって小沢氏は、検察官に代わって裁判所が指定した弁護士により、強制的に起訴されることになりました。」



(2) NHKニュース(10月4日 16時37分)

議決書“検察の捜査は形式的”
10月4日 16時37分

 東京第5検察審査会の議決書では、民主党の小沢元代表を起訴すべきであるという判断をした理由として、「検察官は再捜査で小沢氏や3人の元秘書を再度取り調べているが、いずれも形式的な取り調べの域を出ておらず、本件を解明するために十分な再捜査が行われたとは言い難い」としています。

 そして小沢氏の供述の信用性については「本件の土地の購入資金4億円の出どころについて小沢氏の当初の説明は著しく不合理なものであって、到底、信用することができない。その後、説明を変えているが、変更後の説明も、到底、信用することができないものである」としています。さらに「小沢氏が4億円の出どころを明らかにしようとしないことは小沢氏に収支報告書に記載しなかったことなどにかかわる動機があったことを示している」としています。そのうえで「検察官が本件を不起訴処分にしたことには疑問がある」としています。

 さらに「検察官は起訴するためには的確な証拠によって有罪判決を得られる高度の見込みがあることが必要だと説明しているが、この起訴基準に照らしても本件を嫌疑不十分として不起訴にした検察官の判断は認めがたい」としています。

 また「検察審査会の制度は有罪の可能性があるのに検察官の判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって、ほんとうに無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして嫌疑不十分として検察官が起訴をちゅうちょした場合に、いわば国民の責任において公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度である」としています。」



(3) NHKニュース(10月4日 19時12分)

小沢氏の弁護士“まことに遺憾”
10月4日 19時12分

 検察審査会が民主党の小沢元代表を起訴すべきだと議決したことについて、小沢元代表の弁護士は「議決は、まことに遺憾だ。あれだけのキャリアのある人を起訴すべき事案なのか、議決書を読んでも、どこにも理由は書いていない。小沢氏本人も事情聴取に応じて、きちんと説明してきており、意外だと感じているようだ」と話しました。

 また、議決書の中で、元秘書が小沢氏に報告や相談をしたとする供述は信用できると指摘したことについて、「検察官の取り調べのあり方が問題となっているこのご時世で、調書の信用性は大丈夫なのか疑問に思う」と述べて、裁判で争う姿勢を示しました。」




2.検察審査会に関して知識のある識者のコメントも幾つか。

(1) NHKニュース(10月4日 19時28分)

江川紹子氏 厳密評価と思えず
10月4日 19時28分

 民主党の小沢元代表が政治資金規正法違反の罪で強制的に起訴されることになったことについて、ジャーナリストの江川紹子さんは「とても驚いている。大阪地検の証拠改ざん事件で特捜部の捜査が問題になっているさなかで、検察審査会はもっと慎重な対応をすると思っていた」と述べました。

 今回の議決については「供述の信用性について審査員の想像で判断したとみられる部分が含まれ、厳密に証拠を評価したとは思えない。審査員は、報道などで伝えられる小沢氏のイメージによって判断した可能性もある。検察が総力をあげて起訴できなかったものが、裁判で有罪になる可能性は非常に低いと思う」と指摘しました。

 そのうえで、江川さんは「検察審査会が、今回のように政治的に利用される可能性がある事件を審査することは、想定されていなかったのではないか。審査会は強大な権限を持ったのに、議論が明らかにされない不透明さがあり、新たなシステムをつくる必要がある」と述べ、現在の制度を批判しました。」



(2) NHKニュース(10月4日 19時28分)

元検事“結論きわめて危険”
10月4日 19時28分

 政府の司法制度改革推進本部で検察審査会のあり方について検討した元検事の高井康行弁護士は「前回の議決に比べると感情を排して冷静に議論しているようにみえるが、『供述に具体性や迫真性がなくてもいい』として判断された結論は、きわめて危険だ。小沢氏も否認しており、秘書の捜査段階の供述しか支えがないなかで無罪の可能性は十分にある」と指摘しました。

 また、今後、指定された弁護士が捜査を指揮することについて「検察官が専従で捜査してもたいへんな事件であり、ほかの仕事も抱える弁護士が低い報酬で密度の濃い立証をできるのか。制約が多いなかで十分な立証をするのは難しいだろう」と話しています。」



3.今回の「起訴議決」とした判断を知った法律関係者は、認知症を患っていないのであれば、そのほとんどが「無実の者を感情的に起訴することを決断してしまうなんて、やっぱり日本の市民は馬鹿なんだなぁ」と感じたことでしょう。


(1) 前回の検察審査会の審査では、「市民目線からは許し難い」「(小沢氏を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべき)……これこそが善良な市民としての感覚」などと、自らを「善良」と声高にに称して「市民」の名の下にいわゆる「感情論」むき出しで――証拠裁判主義や無罪推定の原則は頭の中から抜けてしまったまま――起訴相当と判断していました(「小沢一郎氏「起訴相当」と議決、陸山会事件で検察審査会~検察審査会は「陶片追放」制度と化してしまったのでは?」(2010/05/05 [Wed] 18:29:42)参照)。

今回の検察審査会では、感情論向き出しの部分は削除されました。しかし、特捜部が収集した証拠資料のうち、検察側に有利な証拠を過大評価し、不利な証拠にまるで関心を持たず、容疑をかけられた者の言い分をまるで信用しないという、これもまた冷静さを欠いた感情的な決断をしてしまっているのです。

ジャーナリストの江川紹子さんは「今回の議決については「供述の信用性について審査員の想像で判断したとみられる部分が含まれ、厳密に証拠を評価したとは思えない。審査員は、報道などで伝えられる小沢氏のイメージによって判断した可能性もある。」とコメントし、元検事の高井康行弁護士は「前回の議決に比べると感情を排して冷静に議論しているようにみえるが、『供述に具体性や迫真性がなくてもいい』として判断された結論は、きわめて危険だ。」とコメントしています。このように、やはり、結論ありきで感情論や想像で勝手に、調書を過大評価してしまっているとの批判がなされているのです。



(2) 特捜部が行った――強要された――供述は信用できると判断してしまうなど、「調書の信用性は大丈夫なのか疑問」はまるでありません

「4日に公表された議決書の中で検察審査会は、収支報告書を提出する前に、小沢氏に報告・相談したという元秘書で衆議院議員の石川知裕被告(37)の捜査段階の供述について「特捜部の再捜査でも同じ供述をしており、信用できる」と指摘しました。また「小沢氏に土地代金を計上することを報告し、了承を得た」という元秘書の池田光智被告(33)の捜査段階の供述についても、「師として仰いでいる小沢氏の関与を、実際より強める方向で、うその供述をするとは考えがたく、信用できる」と指摘しました。」


この「自白調書の全面肯定」の議決を見ると、実に恐ろしいと感じます。石川知裕氏は、再三にわたり『小沢氏に土地代金を計上することを報告し、了承を得た』とは言っていない」と述べているにもかかわらず、まったく受け入れることなく、「信用できる」と即断してしまうのです。冤罪事件の典型は、強要された自白がある点ですが、無罪推定の原則や冤罪の防止という、ごくごく当たり前の刑事裁判の原則が、市民の頭にはまるで入っていないのです。

障害者割引郵便制度の悪用に絡む厚生労働省の偽証明書発行事件では、起訴に持ち込むためには、前田恒彦・主任検事(43)は証拠改ざんさえも行っていました。この“捏造”検事である前田恒彦・主任検事は、民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件では、東京地検特捜部に応援として派遣され、逮捕した公設秘書(当時)の取り調べも担当したのですから、当然ながら、供述の信用性は認め難いと判断するのが合理的です。

こうした状況にありながら、無邪気に特捜部が作成した調書を全面的に信用してしまうのですから、「やっぱり日本の市民は馬鹿なんだなぁ」と、法律関係者は誰もが感じたことでしょう。

ただし、議決は9月14日になされたのですから、証拠改ざんの経緯は考慮できなかったことは確かです。しかし、起訴の結果生じる刑事裁判は被告人にとって重大な人権侵害であるという点を忘れ去り、安易に思慮に欠けた起訴相当の議決をしてしまったのですから、早く議決してしまったという言い訳は通用しません。「まぬけな議決だ」との批判は受忍するしかないのです。



(3) 小沢氏の供述への評価を見ると、多くの方が何度説明しても理解できていないことが分かります何度説明しても知識がこぼれてしまう認知症患者の言動のようで、悲しくなります。

「小沢氏は4億円を自分の手持ち資金から出したと供述しているが、それならば銀行から4億円を借り入れる必要はまったくない。銀行からの融資を了承し、みずから署名・押印した以上、当然、うその記載についても了承していたと認められる」と指摘しました。」


銀行取引をしたことがある者であれば、手持ちの資金があっても、銀行から4億円の定期預金を担保にして銀行から 同額の融資を受けること、すなわち、「預金担保貸付」を行うことはよくあることだと分かるはずです。そうした銀行取引の常識さえも分からないまま、「借り入れる必要はまったくない」と勝手な判断をしてしまうのです。

また、「銀行からの融資を了承し、みずから署名・押印した」からといって、それは銀行取引があったというだけです。それなのに、なぜ、それが土地取引終了後になされる、政治資金規正法上の収支報告書への記載に直結するのでしょうか。

しかも、収支報告書への虚偽記載に関する共謀がなければ、小沢氏は「共犯」として処罰されないのに、一体、どの時点で、「共謀」があったというのでしょうか。その点への言及は不可欠なのですが、その言及がないのであれば、「共犯」としての有罪立証は不可能です。記事や要旨を見る限り、検察審査会はその「共謀」の立証にとって不可欠な、共謀の内容・日時が全くないのですから、「共謀」の重要性が全く分かっていないのです。

もし、安易に「共謀」を肯定するようになれば、ちょっとした言動でも「共謀」が認定され、刑事裁判に持ち込まれてしまう以上、表現の自由(憲法21条)や自己決定権などの行動の自由(憲法13条)が大きく減殺されてしまうのですが、その危険性を分かっているのでしょうか。小沢氏が信用できないというメディアの報道を妄信し、起訴へ突き進んでしまっているのですから、まるで無謀な戦争へ突き進んだ、戦前の日本のメディアと世論と全く変わらないのです。



(4) 検察審査会は、一体、どういう取り調べをすればいいと思っているのでしょうか。

「東京第5検察審査会の議決書では、民主党の小沢元代表を起訴すべきであるという判断をした理由として、「検察官は再捜査で小沢氏や3人の元秘書を再度取り調べているが、いずれも形式的な取り調べの域を出ておらず、本件を解明するために十分な再捜査が行われたとは言い難い」としています。」


取り調べに「形式的」か否かの違いがあるなんて初耳ですが、その趣旨は、「いつものように自白を強要するような取り調べをするべきだった」ということでしょう。

ここまであからさまに「自白の強要」を迫るなんて、検察審査会は、常軌を逸しているとしか思えません。冤罪事件の典型は、自白の強要があったのですが、冤罪の防止なんて、まるで頭にないことが良く分かる決議書といえます。

小沢一郎・元民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件では、東京地検特捜部は、1年にわたり執拗に捜査を行い、石川知裕氏などへ長時間にわたり自白を強要したり(「石川知裕衆院議員が告白~裏献金話を捏造し、私を貶めた水谷建設は許さない」(2010/02/20 [Sat] 18:12:51)参照)、多くのゼネコンの関係者をなかば監禁状態にして事情聴取を行うことまで行ったのです。このように違法捜査と判断できるようなことまで行うなど、もはや捜査し尽くしたのです。

やりすぎなほどに捜査をし尽くしたという事情は誰もが分かっているのに、なぜか、検察審査員だけが「本件を解明するために十分な再捜査が行われたとは言い難い」というのですから、不可解としか言いようがありません。



(5) 検察審査会の議決のうち、法律上う、最も問題のある部分は、裁判制度のあり方へ言及した部分です。

「「検察審査会の制度は有罪の可能性があるのに検察官の判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって、ほんとうに無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして嫌疑不十分として検察官が起訴をちゅうちょした場合に、いわば国民の責任において公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度である」としています。」


 イ:「検察審査会の制度は有罪の可能性があるのに~」と述べているようです。しかし、今回の審議会の議決では、最も重要な「共謀」の立証について具体的な言及がない点からすれば、この議決程度の判断では、有罪の可能性すらありません。

要するに、有罪の可能性があろうとなかろうと、「国民は裁判所によって、ほんとうに無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利がある」といいたいだけなのです。以前の検察審査会の考えも、刑事裁判を「世間に対する情報公開の場所」と同じように考え、検察審査会は、「有罪無罪にかかわらず、法廷で事実関係を明らか」にすべきとしています。

しかし、検察審査会法は、1条において「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため」としているだけであって、それ以上の権利や制度でもありません。要するに、「裁判所によって、ほんとうに無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利」を国民に付与したものではなく、また、「嫌疑不十分として検察官が起訴をちゅうちょした場合に、いわば国民の責任において公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」でもないのです。

誰もがすぐに分かるほど間違った考えなのに、最近、なぜ、こうした珍妙な法律論がはびこるのか、実に不可解です。「やっぱり日本の市民は馬鹿なんだなぁ」ということなのかもしれません。


 ロ:こうした珍妙な法律論は、憲法上、採用しえない点が最も注意すべき点です。

刑事裁判を「世間に対する情報公開の場所」と同じように考え、「有罪無罪にかかわらず、法廷で事実関係を明らか」にすべきと考えば、多くの無罪判決がでることになりますが、そのような有罪の見込みない起訴は、日本国憲法17条及び40条によって認められません(「有罪の見込みがない起訴を認めてよいのか?~検察審査会の強制起訴を巡って」(2010/09/07 [Tue] 20:43:09)も参照)。

日本国憲法

第17条  何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第40条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。



  (イ) 最高裁判例(最判昭和53年10月20日判決民集32巻7号1367頁)によれば、検察官の行為も(憲法17条に基づく)国家賠償法1条の対象となります。ただし、無罪判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴提起・追行、起訴後の勾留が違法となるわけではありませんが、<1>逮捕・勾留は、その時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められる限りは適法であり、<2>起訴・公訴追行時の検察官の心証は、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば適法といえるとしています(桜井=橋本「行政法」(第2版)(弘文堂、平成21年)380頁以下)。

このように、長年刑事裁判での事実認定を行ってきたという、検察官というプロによって、「各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑」があれば適法となるわけです。

とすれば、有罪の見込みがないのに強制起訴となれば、「各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑」があるとはいえず、当然に違法な起訴と判断され、国家賠償責任が生じることは確実です。このように、国家賠償責任が発生することが確実といえる違法な起訴は、憲法17条に反するものであって、認めるわけはいかないのです。

  (ロ) また、無実になった者は、憲法40条により国に対して刑事補償を受ける権利がある以上、無罪となる者の増加は、多額の税金が投下されることになって、他の市民の経済的負担として跳ね返ってくるのです。

もし、「有罪無罪にかかわらず、法廷で事実関係を明らかする」べきと考えると、有罪の見込みがない起訴が多数なされることになりますが、それは、無意味に刑事補償を増加させるだけです。それは、明らかに憲法40条の存在を無視した考えであって、不当というべきです。憲法40条は拘禁された者を救済する規定であって、「金を払えば、どんな起訴でもできる」という人権を抑圧する規定ではないのですから。

ですから、検察庁が証拠を吟味して慎重な起訴を行うのは、憲法40条に適合するものであって妥当な判断なのであって、「有罪の疑いがある以上、国民の前で有罪か無罪か明らかにすべきだ」「国民は裁判所によって、ほんとうに無罪なのか有罪なのかを判断してもらう」とする考え自体が、憲法40条に反するのです。


 ハ:刑事裁判は、「黒か白か」を決めるのではなく、「黒か黒でないか」を決める場所であるというのが、法治国家における訴訟理念(合理的な「疑い」があれば罰しない、「疑わしきは」被告人の利益に判断する)なのです(田宮裕「刑事訴訟法(新版)」429頁)。ですから、「刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などという検査審査会の考えは、法治国家において共通する訴訟理念を否定するものであって、およそ採り得ないのです。




4.最後に。

(1) 元検事の高井康行弁護士も「無罪の可能性は十分にある」と指摘しているように、認知症を患っている法律関係者でなければ、そのほとんどが小沢氏は無罪になるだろうと予想しているはずです。

なぜなら、<1>法律論として政治資金規正法違反(虚偽記載)を認めることが困難であること(「強制起訴可能となった検察審査会法は妥当か?~疑問を呈した小沢発言を契機として」(2010/09/05 [Sun] 16:56:01)参照)、<2>この“捏造”検事である前田恒彦・主任検事は、民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件では、東京地検特捜部に応援として派遣され、逮捕した公設秘書(当時)の取り調べも担当したのですから、当然ながら、供述の信用性は認め難いと判断するのが合理的であり、そうすると、「共謀」の証拠が全くないといえるからです。

そして、検察という組織は、有罪にできると判断すれば必ず起訴します(秋山賢三・元裁判官の発言)。その検察官は1年にもわたって起訴しようと画策したのにも関わらず、有罪の証拠がなく、不起訴に終わった以上、有罪にできないと判断することが極めて合理的な判断です。

そうしたなかで、今後、指定された弁護士が、有罪を立証するのは極めて困難です。



(2) 弁護士会のなかでは、前々から、誰が指定弁護士となるのか、話題になっていました。今回の事件については、弁護士の誰もがやりたくないのです。

<1>無罪であることは誰もが分かっているのですから、それなのに有罪を立証しなければならないのですから、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」という弁護士法1条1項に反する行動をとらなければなりません。弁護士として、一生の汚点となる仕事になってしまうのです。

<2>東京地検特捜部の収集した証拠には、捏造した証拠も混じっているはずですから、その精査もしなければなりません。供述調書は、特に強要した疑いが濃厚なのですから、そのまま無批判に証拠として出すわけにはいかないのです。特捜部が事実上、機能停止している現在、一弁護士が、どうやって証拠の吟味を行い、まともな証拠をだせばいいのか分からないというのが実情でしょう。

さらに、<3>指定弁護士となれば、マスコミは、法律事務所ばかりか自宅にまでに押し掛けてくるのですから、仕事にならないばかりか、私生活さえも奪われかねないのです。いくらコメントしてもその通り報道するわけではなく、妙に歪んだ形で報道することが多く、何の利益ももたらさないのです。いわばマスコミは、単なるハエにすぎないと忌み嫌われれているとさえ言えるのです。

指定弁護士となりかねない弁護士は、そのほとんどが、「無実の者を感情的に起訴することを決断してしまうなんて、やっぱり日本の市民は馬鹿なんだなぁ」と感じたことでしょう。



(3) 翻って考えれば、日本の市民は、馬鹿な行動ばかりしています。

 イ:菅直人氏が、外交や経済問題について無知であることは分かっていたのに、民主党代表選において代表に選出し、案の定、沖縄県の尖閣諸島沖(中国名・釣魚島)の日本領海内で起きたで中国漁船と石垣海上保安部(沖縄県石垣市)の巡視船が衝突した事件で、中国に脅された揚句、船長を釈放するという土下座外交を行ってしまいました。

『ドーナツ化政権』の危機
2010年10月4日

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突問題によって、菅直人内閣が抱える本質的な弱点がはっきりしてきた。重要な政治判断を求められる局面で「逃げる」のだ。

 仙谷由人官房長官は船長釈放の際に「那覇地検の判断を了とする」と語った。地検の捜査は捜査として、中国との関係をどう扱うかは政治の仕事である。

 だが「今後の日中関係を考慮した」という地検の判断を含めて了解したとなれば、まさしく政治判断を地検に丸投げしたに等しい。

 それだけではない。釈放によって生じる政治責任も「あれは地検の判断」と言って巧妙に回避する意図が透けて見えるのだ。」(東京新聞平成22年10月4日付朝刊【私説・論説室から】


世論は、こうした菅直人政権の行動を批判しています。その非難は正当でしょうが、菅直人氏は無知無能なのですから、こうした事態になることは最初から分かっていたはずです。非難するくらいなら、民主党代表に選ぶべきではなかったのです。


 ロ:中国河北省石家荘市で軍事管理区域に許可なく侵入、撮影した疑いで身柄を拘束された建設会社フジタ社員4人のうち3人が釈放されましたが、これは、中国とパイプのある小沢氏のおかげで釈放されたことは明白です。

民主・細野氏が中国から帰国、水面下交渉か

<日テレ24: 2010年9月30日 23:10 >
 民主党・細野前幹事長代理が30日午後、訪問先の中国から帰国した。細野氏は、沖縄・尖閣諸島沖の漁船衝突事件で悪化した日中関係改善に向け、中国政府と水面下での交渉を行ったとみられる。

 細野氏は30日朝、あらためて個人的な訪問であることを強調したが、細野氏の周辺によると、今回の訪中は菅首相が指示したという。また、官邸で普天間基地の移設問題などにもかかわった民主党・須川専門調査員らが同行していることや、中国外務省の用意した車で移動していることなどから、水面下で事態打開のための交渉を行ったとみられる。」


 「中国国営新華社は同日、「政治資金問題は一貫して日本の政局に影響を与える重要な要素だ」との見方を伝えた。小沢氏は昨年末、民主党国会議員約140人を率いて訪中し、「中日関係に理解があり、影響力もある実力者」と見られている。このため、中国側では中国漁船衝突事件で悪化する両国関係修復に向けた「パイプ役」が不在となるとの懸念が出ている。」(2010年10月4日23時58分 読売新聞)


今回、小沢氏のおかげで3人を解放できたのですが、小沢氏が強制起訴となった以上、今後しばらくは、中国とのパイプが失われることになります。

そうなると、中国の脅しのままに左右されることになることが必至であり、パイプを失った以上、交渉さえも難しくなったのです。中国に遺された、建設会社フジタ社員の1名が、何時戻ってくるのか、不透明になってしまいました。検察審査会は、一時の、メディアに影響されたまま、小沢氏を怪しいと感情的に行動し、その結果、人命を危険にさらし、実に愚かで国益に反する行動に出てしまったのです。

中国としては、小沢氏というパイプがいなくなったせいで、自由にごり押しが可能になったのですから、大笑いという感じでしょう。そして、今後もまた、菅直人政権は、外交音痴の醜態をさらすことになるのです。


(4) 法律関係者はもちろん、他の分野の専門家の意見を聞けば誰もが同じことを言うはずです。

「メディアは間違ったことばかり書いている。間違っていると説明しても、まるで訂正しようとしないし、まったく馬鹿な奴らだ。メディアの間違いを妄信して過激な行動に出る日本の市民もどうかしている。少しは自分の頭で考えたらどうか。」

と。

日本の市民は、間違った報道に強く影響され、自分で自分の首を絞めてしまうのです。そして、ときどき、自分の首が閉まっていると悲鳴を上げるのです(菅直人氏の行動を非難するなど)。日本の市民は、いつ自分の首を絞めていることに気付き、自分の首を絞めることを止めるのでしょうか。

少なくとも、無実の者であっても起訴することを認めるような馬鹿げた検察審査会の行動を止めるために、無罪の場合には検察審査員の氏名を公表するべきです。これくらいは自己責任の範囲にすぎず、責任の重さを自覚させるのに相応しいものといえるからです。できれば、検察審査員に損害賠償責任を負担させるような法改正を行えば、少しは市民が、自己責任に目覚めることになるのではないでしょうか。




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【2010/10/05 05:47】 | 事件
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新規、おめでとう。
ゆうこ
春霞さん。
 TBありがとうございました。春霞さんからのTBは、弊ブログを補完してくださるので大変助かります。感謝です。
 TBをクリックしましたら、ここへ。新しいブログですね。おめでとうございます。コメント、一番乗りです!TBも、させて戴きます。
 新しいブログで、これからもよろしくおねがいします。

>非公開コメントの方へ:2010/10/05(Tue) 11:25
春霞
コメントありがとうございます。
「こちらの記事が阿修羅掲示板に転載」されているとのこと、ありがとうございます。
非公開コメントですので、修正した形で引用します。


>なお、コメントのなかに
>>検察審査会法第41条の7 検察審査会は、起訴議決をしたときは、議決書に、その認定した犯罪事実を記載しなければならない。
>>この場合において、検察審査会は、できる限り日時、場所及び方法をもつて犯罪を構成する事実を特定しなければならない。
>>以上に違反している議決なので直ちに起訴相当の議決は破棄されなければならない。
>というものがありますが、議決の破棄は可能でしょうか? 誰が破棄できるのでしょうか?
>起訴後であれば、裁判官が公訴棄却することができますが。

検察審査会法第41条の7は、刑訴法第256条2項「公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。 」との規定をそのまま持ってきたものです。強制起訴という効果が生じる以上、検察官による起訴と同じ程度の厳格な「訴因の特定」を、起訴前の「議決」の段階で要求したわけです。

小沢氏の場合は「共謀」の日時・場所などを特定する必要となります。「共謀」の訴因の特定の問題については、起訴時には日時・場所などを記載していなくてもよいのかどうかは、最高裁判例がなく、違法とするのは難しいかと思います。

もちろん、明示しないままでは被告人の防御の利益を害するので、起訴後の公判で共謀の日時・場所等を明らかにすることが求められます。そのため、訴因が違法の問題は生じないわけです。

こうした起訴後の取扱いを参考にすれば、起訴前の段階である、起訴議決の段階においても、犯罪事実の特定を欠くことを理由として起訴議決が違法であると判断するのは難しいかと思います。

もっとも、指定弁護士が、公判で、共謀の日時・場所等を明らかにすることができるとは思えませんので、訴因が不特定であるとして起訴は無効であり、公訴棄却(338条4号)の可能性が充分にあるでしょう。

なお、「議決の破棄」という効果は、行政訴訟において、起訴議決の無効が認められれば、同様の効果になるはずです。もちろん、前述したように、犯罪事実の特定を欠くことを理由とする「議決の破棄」は難しいでしょうが。


>ゆうこさん:2010/10/05(Tue) 12:08
春霞
「新規」へのお祝い、TBありがとうございます。

FC2のブログには色々な機能があるのですが、設定がおかしくなってしまって戻せなくなってしまったため、やむを得ず……という感じがありますが、心機一転、頑張っていきたいと思います。


>春霞さんからのTBは、弊ブログを補完してくださるので大変助かります。感謝です。

ありがとうございます。
おかしいことはおかしいと声を上げている、ゆうこさんに賛同して、TBしているだけです。「補完」というほどにも至っていないようにも思います。こちらこそ、今後ともTB及びコメントを宜しくお願いします。


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