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小沢一郎元代表に近い比例代表選出で当選1、2回の衆院議員16人は平成23年17日午前、衆院の会派「民主党・無所属クラブ」からの離脱を党の事務局を通じ岡田克也幹事長に申し入れました。その後、横路孝弘衆院議長に新会派の結成届を出しました。これらの行動は、党執行部が反対意見を押し切って決めた小沢氏処分や菅直人首相の衆院選マニフェスト(政権公約)を無視する動きに反発したためです。

この後、2回生の渡辺浩一郎氏(66)=比例東京=らは衆院議員会館で記者会見し、「無原則に政策修正を繰り返す菅政権に正統性はない」と述べ、事実上菅政権の退陣を求めています(時事通信:2011/02/17-13:21)。

特例公債法案など2011年度予算関連法案の参院での否決が確実視される中、16人が倒閣も辞さず会派離脱の動きに出たことで、衆議院で3分の2以上の勢力を確保して再可決・成立させるのは絶望的となり、菅直人首相は、とうとう政権維持が絶望的になってきました。



1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成23年2月17日付夕刊1面

小沢系16人会派離脱届 民主分裂の兆し
2011年2月17日 夕刊

 民主党の小沢一郎元代表に近い衆院比例代表選出の若手議員十六人は十七日午前、元代表の処分に反発し、衆院の新会派結成届を衆院事務局に提出した。十六人は離党せず、党内で執行部批判を強める意向だが、元代表の処分問題で反党的な行動が表面化したのは初めて。執行部が元代表の処分に踏み切った場合、さらに反発を強めるのは必至で、民主党は分裂含みの局面を迎えた。ただ、会派離脱には代表者である岡田克也幹事長の了承が必要。岡田氏は「規約上できない。理解に苦しむ」と認めない方針だ。

 若手は渡辺浩一郎、川島智太郎両氏ら比例単独で当選した議員。会派離脱届を提出し、新会派名は「民主党政権交代に責任を持つ会」とし、代表に渡辺氏が就任。新会派結成宣言では、元代表の処分問題や衆院選マニフェストの見直し方針などを踏まえ、「菅政権は国民との約束、マニフェストを捨てた。マニフェストの実現に取り組むわれわれこそが、真の民主党だ」と強調した。

 渡辺氏は離脱届提出後、国会内で記者会見し、二〇一一年度予算案や関連法案への対応に関し「マニフェストに照らして判断したい」と述べ、反対することもあり得るとの考えを示した。

 一方、岡田氏は記者団に「どういう思いでやったのか、確認する必要はある。あまりに一方的で、少し戸惑っている」と述べた。また、枝野幸男官房長官は十七日午前の記者会見で、「同じ党で会派が別というのは常識的に考えられない」と不快感を示した。」



(2) 日刊ゲンダイ平成23年2月18日付(17日発行)3面

菅政権退陣秒読み 小沢系議員16人が会派離脱
2011年2月17日 掲載

衆院再可決は絶望

 国民の期待を裏切り続ける菅・民主党に対して、ついに身内から“クーデター”の火の手が上がった。17日午前、小沢系の衆院議員16人が岡田幹事長宛てに会派離脱届を提出したのである。
 行動を起こしたのは2009年の衆院選で比例ブロックから当選した議員らで、16人はただちに横路衆院議長に対し、新会派「民主党政権交代に責任を持つ会」の届け出も行った。新会派は渡辺浩一郎衆院議員(前列左から3人目)が会長に就任、豊田潤多郎氏が会長代行、幹事長には笠原多見子氏が就いた。16人は〈本来の民主党の姿とはかけ離れた今の菅政権にはもう黙ってはいられない。みすみす旧来からのしがらみにはまり込み、無原則に政策の修正を繰り返す菅政権に正当性はない。我々は今こそ、「国民生活が第一」の政策を発信し、国民の信頼を取り戻していかなければならない〉とのペーパーを配ったあと、記者会見に応じた。
 質疑では予算案への対応などの質問が飛んだが、「現時点では未定」「党と別の判断もありうる」(渡辺会長)とし、造反をにおわせた。
 新会派は民主党は「マニフェストの実行が目的」とし、「離党は国民のためにならない」としているが、ここまで言い切った以上、除名覚悟の確信的行動と見るべきだ。
 16人が離脱すれば、民主党はたとえ社民党の協力を得られても衆院で3分の2の勢力を確保できなくなる。ねじれ国会で衆院再可決の道は閉ざされ、菅政権は完全に追い詰められることになる。
 岡田幹事長は「驚いている。党の所属議員だけに会派離脱できないのは明白であり、理解に苦しむ」と言うのが精いっぱい。会派離脱は認めず、説得作業に乗り出すつもりだが、永田町では「ついにサイは投げられた」「菅はオシマイ」「執行部が突っ張れば、党分裂」との見方が飛び交っている。
 折しも小沢元代表は地域政党「減税日本」を立ち上げた河村たかし名古屋市長らと面談するなど、動きが急。親小沢の原口一博前総務相は橋下大阪府知事、河村名古屋市長らと連携、「日本維新の会」の設立を表明した。
 民主党内ではここ数日、にわかに分裂含みの動きが広がっており、そんな中、16人が離脱を宣言したのである。永田町は一気に液状化してきており、菅首相の退陣が秒読みになってきた。

●約束を果たす民主党への回帰宣言(要旨)

「今の菅政権は、国民との約束を果たす本来の民主党政権ではない」
 今、民主党議員の多くがそう感じている。総選挙では「国民生活が第一」の政治理念、「予算のムダを徹底的に削り、新たな政策の財源に充てる」としたマニフェストを掲げ政権交代を実現した。
 しかし菅政権は消費税に関し「来年度末までに法的な対応をしなければいけない」と増税の意欲をあらわにし、国民との約束、マニフェストを捨てた。政治主導で日本を立て直すはずが、国家戦略局の設置法案も実現せず、公務員制度改革も反古にし、政治主導の御旗も捨てた。
 我々は国民との約束の上に存在する比例代表の議員だからこそ、衆議院での民主党・無所属クラブとは分かれ、新たに院内会派を設立する。「国民の生活が第一」の政策を実行すべく今後、行動を展開していくこととする。

▽会長
 渡辺浩一郎/比例東京(2)
▽会長代行
 豊田潤多郎/比例近畿(2)
▽副会長
 三輪 信昭/比例東海(1)
 熊谷 貞俊/比例近畿(1)
 菊池長右ェ門/比例東北(1)
 高松 和夫/比例東北(1)
▽幹事長
 笠原多見子/比例東海(1)
▽幹事長補佐
 水野 智彦/比例南関東(1)
▽副幹事長
 渡辺 義彦/比例近畿(1)
 石田 三示/比例南関東(1)
 川口  浩/比例北関東(1)
▽事務局長
 石井  章/比例北関東(1)
▽事務局次長
 大山 昌宏/比例東海(1)
 小林 正枝/比例東海(1)
 相原 史乃/比例南関東(1)
▽事務局補佐
 川島智太郎/比例東京(1)」




(3) NHKニュース(2月17日 19時32分)

小沢氏に近い議員 会派離脱届
2月17日 19時32分

 民主党の小沢元代表に近い16人の衆議院議員は、今の菅政権は国民との約束を果たしていないなどとして、岡田幹事長宛てに民主党の会派の離脱を届け出ましたが、岡田幹事長ら党執行部は、会派離脱は認められないとしています。

 民主党の小沢元代表に近い議員の間で、小沢氏の処分を巡る党執行部の対応への反発が強まるなか、比例代表選出で当選1回と2回の小沢氏に近い衆議院議員は、17日午前、国会内の民主党の控え室を訪れ、岡田幹事長宛てに16人が衆議院の会派「民主党・無所属クラブ」を離脱することを届け出ました。続いて、横路衆議院議長宛てに、比例代表東京ブロック選出の渡辺浩一郎氏を会長とする新しい会派の結成届を提出しました。

 渡辺氏は記者会見で、「菅政権は国民との約束を果たす本来の民主党政権ではない。今こそ、『国民の生活が第一』の政策を発信し、国民の信頼を取り戻さなければならず、民主党の信頼が地に落ちても党を捨てるつもりはない。今回のわれわれの行動は、菅政権の党運営や政権公約の見直しに対するもので、小沢氏の処分の問題に対するものではない。今後、党内に会派への参加を呼びかけたい」と述べました。また、渡辺氏は、平成23年度予算案と関連法案への対応について、反対することもありうるという認識を示しました。衆議院の事務局によりますと、前例では、議員が会派を離脱する際は会派の代表者の了承が必要だということで、今回のようなケースは過去に例がなく、会派の代表者である岡田幹事長への確認が必要だとしています。

 一方、岡田氏ら党執行部は、16人が離党する考えはないとしていることから、1つの政党が2つの会派に分かれることはありえず、会派離脱は認められないとしています。岡田氏は記者会見で「民主党に所属しながら会派を離脱することはできず、ありえない。意味のないパフォーマンスだと言われてもしかたない行為だ。執行部や政策に不満があるなら、直接言ってもらえばいい。この期に及んで、おととしの衆議院選挙のマニフェストを全部やらなければならないと言っているとしたら、国民の意思からかけ離れていると言わざるをえない」と述べました。また、岡田氏は、予算関連法案の成立への影響について、「離脱届は無効であり、特に影響があるとは考えていない。党の議員であるかぎり、党の決めたことに従ってもらうのは当然だ」と述べました。

 一方、岡田氏は、16人が処分の対象になるかどうかについて、「離脱届が無効だと承知のうえでやっていることだと思うので、あまり目くじらを立てなくていいのではないかと思う。しかし、軽率な行為だとは言えるので、よく話を聞いてみたい」と述べました。

 民主党の小沢元代表は、17日朝、鳩山前総理大臣に電話し、「きょう聞いた。私も知らなかったが、自分のところから、こういう動きが出ていることを伝えておこうと思った。原点を忘れた民主党に対して、こういう動きが出たということだろう」と述べ、一定の理解を示したということです。」




2.(1) 政党政治や選挙制度の本来のあり方からすれば、政権を託された与党は、政権公約を遵守すべきです。有権者は政権公約を掲げる政党に票を投じて、与党として政策を実行することを託すのですから。

そうだとすると、政権公約を無視する行動に出ている菅直人を批判するのは正当性のある言動ですし、その結果、会派離脱をすることもまた正当性のある行動といえます。「約束を果たす民主党への回帰宣言」にはその正当性がある言葉が含まれています。

●約束を果たす民主党への回帰宣言(要旨)

「今の菅政権は、国民との約束を果たす本来の民主党政権ではない」
 今、民主党議員の多くがそう感じている。総選挙では「国民生活が第一」の政治理念、「予算のムダを徹底的に削り、新たな政策の財源に充てる」としたマニフェストを掲げ政権交代を実現した。
 しかし菅政権は消費税に関し「来年度末までに法的な対応をしなければいけない」と増税の意欲をあらわにし、国民との約束、マニフェストを捨てた政治主導で日本を立て直すはずが、国家戦略局の設置法案も実現せず、公務員制度改革も反古にし、政治主導の御旗も捨てた
 我々は国民との約束の上に存在する比例代表の議員だからこそ、衆議院での民主党・無所属クラブとは分かれ、新たに院内会派を設立する。「国民の生活が第一」の政策を実行すべく今後、行動を展開していくこととする。」



(2) ところが、驚くべきことに、岡田幹事長は、「この期に及んで、おととしの衆議院選挙のマニフェストを全部やらなければならないと言っているとしたら、国民の意思からかけ離れていると言わざるをえない」と述べています。

しかし、いつ有権者が、参院選の政権公約を承認したというのでしょうか? その後の選挙も民主党はずっと地方選挙で大敗を続けているという「選挙における民意」をなぜ、無視するのでしょうか? 菅一派は、4年間で政権公約を実行するという衆院選での政権公約を安易に変更していることこそ、民意に反することがなぜ、分からないのでしょうか? 

先の参議院選挙において、衆議院での政権公約を無視した政策に変えたために、有権者は、民主党大敗という選択をしたのです。ですから、岡田幹事長の言い分こそ、「国民の意思からかけ離れている」言い分であって、全く間違っているのです。

菅直人一派は、その参院選での大敗の責任をとることなく、居座るという民意に反する行動に出ているだけなのに、岡田幹事長らは国民から承認されたなどと勝って言いつのるのは、頭がおかしくなっているとしか思えないのです。



(3) 確かに菅直人自身は、認知症なのでしょう。何も分からなくなってしまった菅直人が、政権という金にたかる銀蠅(朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員銀)の言いなりなるのは、あり得ることです。

しかし、そればかりか岡田幹事長まで公然と「民意」を無視するとは……。ここまで菅一派が無知無能で、恥知らずだとは思いませんでした。これでいよいよ、菅政権は、総辞職が目前に迫ってきたようです。

ほかにも、岡田幹事長は「意味のないパフォーマンスだと言われてもしかたない行為だ」と強がりを言っています。しかし、そんなことを行ったところで16人を処分することはないのです。もし、16人を処分すれば、それこそ予算関連法案に反対するでしょうから、16人を処分することはできず、傍観とお願いをするしかないのです。岡田氏の発言の方が「意味のないパフォーマンス」なのです。岡田氏は頭がおかしいのではないでしょうか?




3.(1) それにしても、銀蠅(朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員)は、この事態に至ったことをどう言い訳するのでしょうか? 

おそらくこれらの銀蠅どもは、

「社民党や公明党は、いくらかアメを与えれば、予算関連法案に賛成する。我々マスコミも小沢に対する集団リンチに参加するから、小沢を必ず離党に追い込め。小沢を離党させても、誰も付いていかないから、余裕で予算関連法案は成立する。小沢切りをすれば、国民はバカだからきっとまた支持率が上がってくる。」

などと、菅直人に悪魔のささやきをしてきたはずなのです。

ところが、社民党や公明党は予算関連法案に反対していますし、さらには、小沢氏に近い議員らが会派の離脱という形で予算関連法案に対する反対表明をしてしまいました。これでは、もはや予算関連法案の成立は絶望的です。このように、銀蠅どもの予想は、全く間違ってしまったのです。

連合赤軍のように仲間内で「殺し合い」をすれば、賛同者が減ってしまうことは明らかですから(小沢氏と無所属になった石川知裕議員の2人が賛成しないと、元々衆議院で3分の2を占めることができない)、予算菅関連法案の成立が不可能になっていくとすぐに分かるのです。それなのに、なぜか、バカな銀蠅どもは、菅直人に連合赤軍ばりの「殺し合い」を奨励したため、結局は、このような結果に至ってしまったのです。

所詮は、銀蠅どもが考えることは、その程度なのです。(小沢氏憎しの私怨で判断しているから、冷静な判断ができず、間違ってしまうのでしょう。)



(2) 4年間でマニフェストを実行する、情報公開をする、政治主導の政治を行う、予算のムダを徹底的に削り、新たな政策の財源に充てる、国民の生活が第一を実現する――。いまだ、この民主党のマニフェストは、何一つ実行できてないのです。それを、菅一派は、今の段階で公然と捨て去ろうとしているのですから、有権者はもちろん、民主党に批判が殺到していますし、誠実な民主党議員であれば、猛反発して倒閣に動くのは、当然に予想できる行動です。(「銀蠅」どもは、なぜか、予想できなかったようですが。)

また、無罪推定の原則(憲法31条)があるのにもかかわらず、そして無罪となることが確実な事件であるのに、小沢氏を処分する行動にでるというのは、根拠のない言いがかりでの処分であって全く合理性がありません。こうした点は、当然ながら国民の支持もあるのです。となれば、小沢氏への処分があれば、小沢氏に近い議員による反発がでるのは、誰もが当然に予測できる行動です。(「銀蠅」どもは、なぜか、予想できなかったようですが。)

このように、誰もが当然に予測できる行動であるのに、なぜか、銀蠅(朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員)どもには、分かりませんでした。

銀蠅どもは、頭のおかしくなった菅直人を擁護するために、社説でこの16人に対して猛烈に批判をしているようです。しかし、銀蠅どもは、菅直人に対して、「自らの間違い」をどうやって言い訳するのでしょうか?


菅直人は早期に総辞職するべきあり、菅直人とともに、これら銀蠅(朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員)どもも、無意味に日本の政治・社会に混乱と御悪影響を与えた責任をとって新聞社を退社し、ジャーナリストという立場も辞めるべきです。

 


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【2011/02/18 06:53】 | 政治問題
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菅政権発足後、平成23年2月9日になってやっと初めての党首討論が開かれました。菅直人首相が社会保障・税一体改革で与野党協議に応じない自民党を激しく攻撃したのに対し、同党の谷垣禎一総裁や公明党の山口那津男代表は民主党の「マニフェスト違反」を攻め立て衆院解散・総選挙を要求するという様子に終始しました。

 「「(社会保障・税一体改革の)議論もしないまま『まず解散だ』というのは、国民の利益より党の利益を優先している提案としか思えない」
 首相は谷垣氏への敵意をむきだしにして、与野党協議を拒否する自民党を批判。野党時代と変わらぬ攻撃的な姿勢を見せた。」(東京新聞平成23年2月10日付3面「核心」)




1.報道記事を幾つか。

(1) 毎日新聞 2011年2月10日 東京朝刊

クローズアップ2011:党首討論 首相、打つ手なし

 ◇税と社会保障改革、与野党協議は絶望的

 菅直人首相と自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表との間で行われた9日の党首討論で、首相は税と社会保障の一体改革で与野党協議への参加を呼び掛けた。しかし、谷垣氏は「消費税率の引き上げを含む新しい公約を(民主党が)作り、国民の声を聞くことが必要だ」と拒否。山口氏も首相がまずマニフェスト違反の責任を明確にするよう求め、与野党協議の実現は絶望的になった。社民党との11年度予算案と関連法案の修正協議の先行きも不透明で、首相はねじれ国会を乗り切る糸口さえつかめない状況に追い込まれた。【中田卓二、横田愛】

 ◇谷垣氏・山口氏、提案突き放す

 谷垣氏は、民主党の09年衆院選マニフェストの破綻をあぶり出すことに35分の持ち時間の大半を割いた。論旨は1月26日の衆院代表質問と同じだったが、そのとき連発した「衆院解散」をこの日は封印。「国民の声をお聞きになることが必要だ」と言い換えることで、自民党が世論の不満を代弁していると印象づける作戦に出た。8日の事前打ち合わせで幹部から「解散一辺倒では印象が悪い」とアドバイスされたためだ。

 追及の焦点は税と社会保障の一体改革。谷垣氏は、与野党協議を呼びかける首相を「マニフェスト違反の共犯になってくれ(というようなもので)、冗談じゃない」と突き放した。

 首相は10年参院選マニフェストに「消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と明記したことを挙げ、「国民に対するごまかしにはまったく当たらない」と反論したが、その選挙で民主党は惨敗しており、逆に谷垣氏から「国民はそういうふうに思っていない」と切り返された。

 公明党の山口代表はさらに辛辣(しんらつ)だった。民主党が掲げる年金制度の一元化や、全額税による最低保障年金創設について、これまでの国会論戦で具体的な中身がないことが明らかになったと指摘。「民主党の案ができないから(4月にまとめる)政府の案を隠れみのにして逃げおおせようと考えているのではないか」と批判した。マニフェストについても「実現できなければ国民との契約違反。国民には契約を解除する権利がある。契約違反の責任をどのように取るか」と、首相に退陣を迫った。

 一方、首相は谷垣氏に「逆にお尋ねしたい。改革案を出した時には、ちゃんと与野党協議に乗っていただけるんでしょうね」と逆質問で応酬したが、「総裁は協議には応じないと腹を固めた」(自民党幹部)という谷垣氏はとりあわず、議論はかみ合わないまま。野党党首に自ら論戦を挑む首相の姿は、同様に「ねじれ国会」で苦しんだ自民党の福田康夫首相(当時)が民主党の小沢一郎代表(同)に「だれと話せば信用できるのか」「かわいそうなくらい苦労している」とかみついた08年4月の党首討論と重なった。

 首相は9日夕、首相官邸で記者団に「首相就任から初めての党首討論が行われたことは大変よかった。これからも建設的な議論をしていきたい」と語ったが、与野党協議のきっかけすらつかめなかった論戦の内容には触れなかった。

 ◇予算修正、日程綱渡り 「社民3要求」を調整

 11年度予算案と関連法案の修正協議に向け、政府・民主党は社民党の全国幹事長会議が開かれる14日までに大枠を固め、来週中にも合意にたどり着きたい考えだ。予算案の年度内成立を確実にするには3月2日までの衆院通過が必要。予算案本体に絡む修正作業となれば1~2週間程度かかるため、リミットが迫る。過去に予算修正したケースはいずれも成立が年度をまたいでおり、綱渡りの作業となるのは必至だ。

 民主党の城島光力政調会長代理は9日、社民党の阿部知子政審会長と国会内で会談。社民党が掲げる、普天間関連経費の取り下げ▽法人税率5%引き下げの撤回▽成年扶養控除縮小の見直し--の3要求を中心に、修正の意向を探った。

 政府・民主党は、膨大な作業が必要となる予算案本体の修正は避けたいのが本音。民主党国対幹部は「(予算の)項目を落とすのはしんどい。執行の凍結などで対応できないか」と語る。だが、社民党は3要求の実現を求めており、民主党側の譲歩を促す姿勢に変化はない。

 政府の予算案が修正されたのは戦後13回。近年では、世論の反発を浴びた住宅金融専門会社(住専)処理への財政支出を事実上凍結した96年度予算が最後で、本格修正作業は15年ぶりとなる。

 96年は、予算支出の基本ルールを定める予算総則に条件を加える「国会修正」で与野党が合意し、翌日、衆院を通過した。一方、91年度予算では、湾岸戦争を戦う多国籍軍への支援のため、歳出削減で財源を捻出。政府が閣議決定して国会に修正を求める「内閣修正」の手法を使い、修正要求から衆院通過まで半月以上かかった。91、96年度とも成立は4月以降にずれ込んだ。

 社民党の14日の全国幹事長会議は修正の成否を左右する山場となるが、地方組織は民主党への不信が強い。民主党幹部は「14日の前に『これなら』という案をまとめ、社民党執行部の説得材料にしなければ」と急ピッチで調整を進める考えだ。

毎日新聞 2011年2月10日 東京朝刊」



(2) 東京新聞平成23年2月10日付【社説】

初の党首討論 消費増税ありきを憂う
2011年2月10日

 菅直人首相と谷垣禎一自民党総裁らとの党首討論。言葉の応酬こそ激しいが、消費税率引き上げに向けて互いの協力を必要とする点では足並みをそろえた。政策論議を深めるに至らないのは残念だ。

 党首討論は鳩山由紀夫前首相当時の昨年四月以来。与野党どちらが応じなかったのかは水掛け論になろうが、「熟議の国会」を掲げながら、就任後半年以上も野党党首との討論に臨もうとしなかった首相の怠慢をまず指摘したい。

 自民、民主両党首が向き合った約四十分間、通奏低音のように流れていたのは、消費税率引き上げでは協力するという共通認識だ。

 谷垣氏が、早期の衆院解散に踏み切れば、総選挙後は自民、民主両党のどちらが政権に就いても消費税率引き上げで協力し合える、と言えば、首相は衆院解散前に与野党協議をしたいと呼び掛ける。

 言葉が激しいから対立に見えても、選挙後に協力するか、選挙前に協力するかだけの違いなのだ。みんなの党の渡辺喜美代表は、これを「増税一門の八百長討論」と揶揄(やゆ)した。妙に納得がいく。

 国民が党首討論に期待したのは社会保障制度のあるべき姿や政府の役割など、国の在り方をめぐる骨太の議論ではなかったか。

 将来も持続可能で、世代間の不公平感の少ない年金、医療、介護とは何か。その財源をどうするのかという大きな制度設計だ。

 最終的に消費税増税が避けられないとしても、国民の理解を得るにはどうすればいいのか。増税前にやるべきことがあるのではないか。民主党だけで行政の無駄を削れないのなら、与野党で協力して対応すべきではないか、など。

 例えば年金では、税方式か社会保険方式か、国民、厚生、共済の公的年金を一元化するのか否かは制度の根幹にかかわる問題だ。

 首相は四月に社会保障のあるべき姿を示すとして明言を避けた。基本的な考え方すら示さないのなら、党首討論の意味がない。

 愛知県知事選、名古屋市長選など「名古屋トリプル投票」で明らかになったように、税金の集め方や使い道に対する有権者の目はより厳しくなっている。

 ともに敗者の党首二人だから、政策論議が深まらなかったのかもしれない。公明党の山口那津男代表も持ち時間十分では足りなかろう。国会は消費税増税派ばかりではない。ほかの野党党首にも出番を与えれば、より深い党首討論になるのではないか。一考を。」




2.正常な感覚をもっている人であれば、菅直人の言動は支離滅裂だとして理解することは不可能です。

衆議院・参議院で過半数、あるいは衆議院で3分の2の賛成がなければ法律が成立しないのですから、本来、正常な感覚を持っている首相であれば、2011年度予算関連法案を年度内に成立させるためには、野党の協力が不可欠なのです。ところが、菅直人は、「けんか腰」とも言える姿勢で討論を仕掛けたのです。これでは、自民党が与野党協議に応じるはずがありません。これだけでも、菅直人は頭がおかしくなっている証左といえるでしょう。


(1) 菅直人は、なぜか、やたらと与野党協議に執着しています。

「追及の焦点は税と社会保障の一体改革。谷垣氏は、与野党協議を呼びかける首相を「マニフェスト違反の共犯になってくれ(というようなもので)、冗談じゃない」と突き放した
 首相は10年参院選マニフェストに「消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と明記したことを挙げ、「国民に対するごまかしにはまったく当たらない」と反論したが、その選挙で民主党は惨敗しており、逆に谷垣氏から「国民はそういうふうに思っていない」と切り返された
 公明党の山口代表はさらに辛辣(しんらつ)だった。民主党が掲げる年金制度の一元化や、全額税による最低保障年金創設について、これまでの国会論戦で具体的な中身がないことが明らかになったと指摘。「民主党の案ができないから(4月にまとめる)政府の案を隠れみのにして逃げおおせようと考えているのではないか」と批判した。マニフェストについても「実現できなければ国民との契約違反。国民には契約を解除する権利がある。契約違反の責任をどのように取るか」と、首相に退陣を迫った。
 一方、首相は谷垣氏に「逆にお尋ねしたい。改革案を出した時には、ちゃんと与野党協議に乗っていただけるんでしょうね」と逆質問で応酬したが、「総裁は協議には応じないと腹を固めた」(自民党幹部)という谷垣氏はとりあわず、議論はかみ合わないまま。」(毎日新聞)


今、ありもしない政府案を前提にして、与野党協議に応じるかどうか確約を求めても、一体、何の意味があるのでしょうか。あまりにひどい内容の政府案であれば、そもそも与野党協議に応じる前提を欠くと言い捨てられてしまうはずです。

存在していないものを前提して、その存在していないものへの協力を確約するなんて、そんな危うい「詐欺」みたいなものに引っ掛かるほど、自民党は馬鹿ではありません。谷垣氏が拒絶するのも当然でしょう。

そもそも、与野党協議に乗ることは、菅一派の“延命”に手を貸すことになるのですから、協力なんてするはずがありません。いくら菅直人が与野党協議に執着しようとも、谷垣氏は、「まず解散」として対決色を強調しつつ、「解散」を強調することで協議の拒否を正当化するのも当然の発言といえるのです(東京新聞平成23年2月10日付朝刊)。



(2) それにしても、菅直人は、与野党協議への執着はもちろん、消費税増税を前提とした発言をしているのには、どうしても納得ができません。

 「最終的に消費税増税が避けられないとしても、国民の理解を得るにはどうすればいいのか。増税前にやるべきことがあるのではないか。民主党だけで行政の無駄を削れないのなら、与野党で協力して対応すべきではないか、など。
 首相は四月に社会保障のあるべき姿を示すとして明言を避けた。基本的な考え方すら示さないのなら、党首討論の意味がない。
 愛知県知事選、名古屋市長選など「名古屋トリプル投票」で明らかになったように、税金の集め方や使い道に対する有権者の目はより厳しくなっている
 ともに敗者の党首二人だから、政策論議が深まらなかったのかもしれない。公明党の山口那津男代表も持ち時間十分では足りなかろう。国会は消費税増税派ばかりではない。」(東京新聞)


消費税増税が前提であれば、その前に衆議院を解散して、民意を問うべきです。もちろん、私は、菅直人が首相である限り、民主党には投票しません。民主党には壊滅的な敗北を、そして、野党第1党の座からも落ちてもらうしかありません。政権公約を安易に破ってそれを何とも思わないのですから、それでは、政党政治・選挙制度が成り立たないからです。

愛知県のトリプル選挙の結果を見れば分かるように、日本の市民は、政権公約を破り続ける菅直人に見切りをつけただけでなく、「民主党憎し」の意識が強いことがよく分かったはずです。全国紙が菅直人を支援し続けていることは、かえって菅直人及び民主党に対して不信感を抱く結果になっているのです。ですから、野党は民主党への協力は一切するべきではありませんし、民主党議員も菅一派の“延命”に手を貸すことは一切止めるべきです。2011年度予算関連法案が不成立になることを希望します。



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【2011/02/10 23:59】 | 政治問題
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アメリカの格付け会社「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」が、日本の国債の信用度を示す格付けを1段階引き下げました。 1月27日、菅直人首相は記者団に感想を問われ、あのヘラヘラ笑いをしながら、「今、初めて聞いた。(衆院)本会議から出てきたばかりなので。そういうことに疎いので(コメントは)改めてにさせて下さい」と述べたのです。この対応について触れてみたいと思います。



1.まず、報道記事を。

(1) 時事通信(2011/01/27-20:26)

菅首相「そういうことに疎い」=国債格付け引き下げ

 菅直人首相は27日夜、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズが日本国債の長期格付けを引き下げたことについて、首相官邸で記者団に「そういうことに疎いので、(コメントは)改めてにさせてほしい」と述べた。
 格付け引き下げは、長期金利の上昇など景気に悪影響を与える可能性もある。そうした状況への認識の乏しさを自ら認めたとも受け取れる発言で、野党などから批判を受けそうだ。
 枝野幸男官房長官は記者会見で「民間会社の格付けに逐一コメントすることは控えたい。市場の信用を維持するためにも、財政健全化を進めていく方針を徹底したい」と強調。首相の発言に関しては、「国債の信認を首相は日頃から強く意識している。金利などの動向も非常に注視している」と語った。(2011/01/27-20:26)」



(2) TBS-ニュースi(1月27日21:41)

国債格下げ 菅首相「そういうこと疎いので」

 27日、アメリカの格付け会社が日本の長期国債の格付けを1段階引き下げました。ところが、この格付けに対する菅総理の発言で波紋が広がっています。

 「ちょっとそういうことに疎いので・・・」(菅直人総理大臣)

 この発言に、政府内からは思わず、「コメントすべきでなかった」との声が漏れました。

 きっかけは27日午後、アメリカの格付け会社「S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)」が日本の長期国債の格付けを8年9か月ぶりに1ランク引き下げたことです。

 「民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けている。社会保障と税制の見直しを行うというが、これにより政府の支払い能力が大幅に改善する可能性は低い」(S&P)

 一般的に国債の格付けが上の場合、その国の信用力が高いことを意味し、経済の安定につながります。今まで、日本の格付けは上から3番目の「AA(ダブルエー)」。これが「AA-(ダブルエーマイナス)」に引き下げられたのです。これは中国やサウジアラビアと同じ水準で、金融不安がささやかれるスペインよりも下となります。

 格下げが市場に伝わった午後5時前、為替市場では円相場が83円20銭前後まで一気に1円近く急落しました。

 「民間会社の評価なので直接のコメントは差し控える。財政規律を守るんだというメッセージを、そのつど出していくことが大事」(野田佳彦財務大臣)

 淡々とコメントする経済閣僚。こうした中、菅総理は・・・

 「そのニュース、今、初めて聞きまして。今、本会議から出てきたばかりなので。ちょっとそういうことに疎いので、改めてにさせてください」(菅直人総理大臣)

 「そういうことに疎い」・・・世界が日本をどう評価しているかという点を軽視しているとも取られかねない発言だけに早くも波紋が広がりました。

 「考えられない発言、いやはや すごい総理をいただいたものだ」(日銀幹部)
 「財政赤字の削減が必要だと言いながら格下げについて疎いという発言が、一国の首相から出るという事態はあまり考えられないやや非常識な発言。政府の財政再建に対する信用を失わせる意味がある。非常に大きな問題になる」(第一生命経済研究所・嶌峰義清氏)

 「あまり総理大臣が発言すべき問題ではない。だから“疎い”と言ったことは正解だと思います」(与謝野馨経済財政担当大臣)

 与謝野経済財政担当大臣はこう擁護しますが、国会でこの問題が取り上げられるのは避けられない情勢で、菅総理は自ら、また一つ火種を抱えた格好です。(27日21:41)」



 イ:この問題に関する菅直人の対応に対する的確な感想は、日銀幹部の発言でしょう。

「考えられない発言、いやはや すごい総理をいただいたものだ」(日銀幹部)

この菅直人の発言を聞いて、もはや誰もが分かったはずです。「菅直人は、頭がおかしくなっている」と。菅直人は、少し前まで財務大臣だったのですから、まさか、こんな発言をするとは、誰もが思ったはずです。

多少の批判的な説明としては、第一生命経済研究所・嶌峰義清氏が述べるように、「財政赤字の削減が必要だと言いながら格下げについて疎いという発言が、一国の首相から出るという事態はあまり考えられないやや非常識な発言。政府の財政再建に対する信用を失わせる意味がある。非常に大きな問題になる」ということでしょう。しかし、誰もがこんな批判さえももはや不要と感じているのではないでしょうか。


 ロ:日本の市民の誰もが、「菅直人を擁護することは不可能になった」と分かっているのに、なぜか、朝日新聞は菅直人は、擁護しています。

 「一体改革に「政治生命をかける」と言った菅直人首相が格下げについて聞かれ、「そういうことに疎い」と答えたのは情けない。「改革で、財政再建も経済成長も必ず成し遂げます」と、力強く言うべきだった。

 だが、首相の言葉尻を問うことが本質的な問題ではない。財政危機への対処よりも政権を解散・総選挙に追い込むことにこだわり、一体改革についての協議に応じる姿勢を見せない自民党などを含む政治全体の機能不全が、今回の格下げの根底に横たわる。」(朝日新聞平成23年1月29日付「社説」)


「考えられない発言、いやはや すごい総理をいただいたものだ」と思うほどの発言であるのに、朝日新聞は単なる「言葉尻」の問題にすぎないとして発言を無意味化しようとするのです。ここまで、無茶苦茶な擁護は、痛々しい感じさえしてきます。


 ハ:与謝野馨経済財政担当大臣の発言も、朝日の擁護と同類です。与謝野氏は、「“疎い”と言ったことは正解だと思います」とまで言って、菅直人を擁護しているのです。そこまでシラフで擁護できるとは、いやはやすごいものです。

この発言を聞いて、与謝野氏の過去の発言を思い出しました。それは、リーマン・ブラザーズ (Lehman Brothers) が経営破綻したとき、与謝野氏は、「日本にももちろん影響はあるが、ハチが刺した程度。これで日本の金融機関が痛むことは絶対にない。」と言い切ったのです。しかし、その発言内容は大外れであり、見事にその見識のなさを披露したのは、誰もが知っていることでしょう。さすが、与謝野氏は「(自称)経済通」です(苦笑)。



2.痛々しいほどの朝日新聞の社説と異なり、東京新聞の社説はごくごく真っ当です。紹介します。

(1) 東京新聞平成23年1月29日付【社説】

国債格下げ 市場にスキを与えるな
2011年1月29日

 米国の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げた。財政悪化に対する警告である。金融市場の「日本売り」を招かぬように、財政再建に向けて、政府も与野党も地に足のついた議論が必要だ。

 格付けとは、企業や政府などが発行する債券の信用度を評価して、投資家の参考にする仕組みだ。一般に格付けが高いほど信用があり、発行コストも低くなる。

 そんな格付け会社の一つであるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本国債の格付けを従来の「AA」から「AAマイナス」に一段階引き下げた。これで日本国債の信用度は中国や台湾、クウェートなどと同じ水準になった。

 二年連続で借金が税収を上回り、巨額赤字が積み上がった財政の実態をみれば、格下げもやむをえない。ただ、これで日本の信用ががた落ちになって危機に陥るわけではない。実際、国債取引も為替も株式相場でも、金融市場は総じて平静に受け止めている。

 市場の一部には「ギリシャの次は日本を標的にして、空売りでひともうけしよう」という向きもあった。そんな商売の思惑が背景に絡んでいた可能性もなくはない。格下げを商売の種にしたい人々にとっては当てが外れた格好だ。

 与謝野馨経済財政相は「消費増税を早くやりなさい、という催促」と解説し、増税論議の追い風にしようという意図を吐露した。だが、先の世界金融危機では格付け会社の営利優先姿勢が厳しく批判されたばかりだ。民間会社の格下げを頼りに増税を宣伝するのは、かえって逆効果ではないか。

 お粗末さがにじみ出たのは、菅直人首相の「いま初めて聞いた。そういうことには疎いので」という発言だ。首相は国債の格下げがどういう意味を持つのか、理解していないのだろうか。

 先の参院選では、ギリシャの財政危機を引き合いに消費税引き上げを訴えたのに、財政赤字と国債格下げの関係すら「疎い」とあっては首相の見識が問われる。

 とはいえ、国と地方の基礎的財政収支は高水準の赤字を続け、二〇二〇年度までの黒字化達成目標ははるか彼方(かなた)だ。

 赤字の裏側には、国と地方の二重、三重行政のような無駄と非効率が根雪のように残っている。公約の国家公務員総人件費二割削減や国会議員の定数削減も進まない。財政再建に着手するには、まず政府と国会議員が身を切る姿勢を示すことが最優先である。」



(2)イ:読むと分かるでしょうが、ごくごく真っ当な社説です。

お粗末さがにじみ出たのは、菅直人首相の「いま初めて聞いた。そういうことには疎いので」という発言だ。首相は国債の格下げがどういう意味を持つのか、理解していないのだろうか

 先の参院選では、ギリシャの財政危機を引き合いに消費税引き上げを訴えたのに、財政赤字と国債格下げの関係すら「疎い」とあっては首相の見識が問われる。」


菅直人は、あれほど、先の参院選から、財政危機とか、財政赤字の解消をする必要があると主張していても、本当は少しも理解できていないのではないか、おそらく、ただ原稿を暗記して吐き出していただけではないのか、何も理解できていないのでは首相としての資質は全くない、という厳しい批判を行っているのです。

この東京新聞の社説は、ごく当たり前の内容でしょう。しかし、なぜか、こういう当たり前の社説が、朝日、読売、毎日、日経という全国紙にはないのです。「考えられない発言、いやはや すごい総理をいただいたものだ」(日銀幹部)というほどの発言なのに、なぜか、厳しい批判を行わないのですから、おそらく、菅直人と共謀して、「いかなる発言も擁護する」という約束をしているのでしょう。そうとしか考えられません。


 ロ:東京新聞は、与謝野氏の発言にも批判を加えています。

 「与謝野馨経済財政相は「消費増税を早くやりなさい、という催促」と解説し、増税論議の追い風にしようという意図を吐露した。だが、先の世界金融危機では格付け会社の営利優先姿勢が厳しく批判されたばかりだ。民間会社の格下げを頼りに増税を宣伝するのは、かえって逆効果ではないか。」


国家財政の行方は、その国自身が主体的に決定するべきものですから、「民間会社の格下げを頼りに増税を宣伝する」べきではないのです。しかも、この格付け会社は、不動産関連の債券を過大評価して、それがバブルの片棒を担ぎ、破綻の規模を大きくしてしまったという「前科」もあるのです。ですから、なぜ、格付け会社の評価ごときに左右されて、日本政府・国会が行動しなければならないのか、不思議でなりません。

とすれば、もし与謝野氏が「真っ当な経済通」であったのであれば、「『消費増税を早くやりなさい、という催促』」と解説し、増税論議の追い風にしようという意図を吐露」するはずはないのです。与謝野氏は、やはり「自称経済通」のままのようです。


 ハ:過去、菅直人は、「菅直人公式サイト」において、国債の格下げについて自ら触れています。

格付け

2002年5月31日 00:00 :
 日本の国債に対するムーディーズの格付けが二段階下がった。景気回復が見込めず財政悪化に歯止めがかからないと見られた結果。日本の国債はほとんどが日本国内で消化されその多くは銀行が買っている。通常なら格付けが下がれば国債も下がるのだが銀行は資金運用先が国債以外に無いため、国債の価格が下がらないという奇妙なことになっている。外国に資金が流出し始めれば一挙に国債は暴落する恐れがある。能天気な総理や財務大臣には分かっているのだろうか。」(http://www.n-kan.jp/2002/05/post-1294.php)


この頃は、まだ国債の格下げについて理解していたのでしょうか。分かっていながら、今は(認知症によって)すっかり記憶を失ってしまったのでしょうか。それとも、このエントリーは、ゴーストライターが書いたものであって、この頃から国債の格下げにつき全く理解していなかったのでしょうか。

この菅直人のエントリーを読んで、今の菅直人の状態をみると、痛々しい感じがしてきます。人はここまで壊れてしまうのかと。いずれにせよ、今現在、菅直人が首相としての能力がないことは確かです。はやく菅直人を辞職に追い込むことこそが、日本の国益にかなうといえます。民主党以外の政党の頑張りに期待します。



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【2011/01/31 03:55】 | 政治問題
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「子ども貧国(2)~東京新聞平成23年1月4・5日付掲載分」(【2011/01/06 22:42】)の続きを紹介します。



1.東京新聞平成23年1月6日付朝刊24面「子ども貧国(5) 第1部 未来が泣いている」

国立受験費すら苦慮 「夢への借金」

 岐阜県内の高校に通う三年の美香さん(18)の父親は、中学生のころ、突然、いなくなった。

 関東地方の出稼ぎ先から仕送りがなくなった。家賃も払えず、美香さんと妹2人の母子4人は路頭に迷いそうになった。

 そこで手を差し伸べてくれたのが「あの人」だった。お母さんの会社の同僚。「面倒みてやるよ」。やさしい言葉につられ、お母さんは再婚し、美香さんたちはあの人のマンションに転がり込んだ。

 そこからが大変だった。「おまえはだめだ、おまえはだめだ」。お母さんにあの人は何時間も怒鳴り続けた。

 耳をふさいで勉強した。「もう終わったかな」と手を離しても、まだ続いていた。「今は、勉強しよう。集中しよう」。そう言い聞かせた。

 「もう、やめて」。半年が過ぎたある日、美香さんが叫んだ。母子は再び、家を出た。

 行き場所のない母子を保護し、自立支援する母子生活支援施設へ、2年間だけ身を寄せた。

 美香さんは今、大学受験の真っただ中にいる。志望は国立大学の医学部。将来は顕微鏡で細胞をチェックし、病気を探る検査技師になりたい。

 中学二年の入所時、何度も続いた転校で、学校の勉強が分からなくなった。大好きだった数学でも最低点を取った。悔しかった。

 「勉強ができないと大学に行って就職できない。これから家族を支えるのは私なのに」

 妹2人と3人で六畳部屋を分け合いながら、高校受験を前に夜中まで勉強した。職員にも勉強を教えてもらった。そのおかげで、県内屈指の進学校に進めた。

 同級生はみな、毎日のように塾に行く。美香さんは、三年の夏休みもファストフード店へアルバイトに行った。「少しでも進学資金をためたかった」。だけど、教材費や生活費にすべて消えてしまった。

 希望する大学は、自宅から通えない。家賃、生活費、授業料…。契約社員のお母さんの月給は13万円。とても進学資金など出せない。働きながら短大を卒業したお母さんも「どれくらいかかるか想像つかない」と言う。

 貸し付け型の奨学金はすでに申し込んだ。だが、受験に行くお金さえもひねり出すのが難しいのだ。ホテル代と交通費で3万円ぐらい。自立支援する施設の職員は「他にも受けたいところがあるだろうけど、経済的に一校しか受験できない。入学前にかかる費用を支援する制度はほとんどない」と指摘する。

 「はあ」。公営住宅の一室で、お母さんがため息をついた。最近、頻繁に一人で施設を訪れる。当面のお金のやりくりを職員に相談しているのだ。

 お母さんは、美香さんに「大丈夫だから、好きなようにしなさい」と言ってくれる。でも、好きなようにできないことは、美香さんが一番よく分かっている。

 「どうしても国立。私立には行けない。浪人なんて考えられない」

 一度しかないチャンスの日が、近づいている。(文中仮名)」



奨学金未返済 797億円

 貸し付け型奨学金を最大限利用すると、大学卒業時には数百万円の借金を背負うことになる。最近は不安定な雇用環境を反映し、社会人になっても奨学金が返せない若者が増えている。

 日本学生支援機構の2009年度の調査によると、返済が半年以上遅れている人の88%が年収300万円未満。延滞者の半分以上は無職やアルバイトだった。09年度時点で未返済額は過去最高とみられる797億円。返済猶予の申し出も相次いでいることを受け、機構は1月から、一定期間、減額して返還できる新制度を始める。」



「ご意見や体験談をお寄せください。連絡先は明記し、〒100 8505 (住所不要) 東京新聞社会部「子ども貧国」取材班へ。ファクスは03(3595)6919。メールアドレスはshakai@tokyo-np.co.jp」



(1) この家族、子どもが貧困に陥った理由は何でしょうか。

「岐阜県内の高校に通う三年の美香さん(18)の父親は、中学生のころ、突然、いなくなった。
 関東地方の出稼ぎ先から仕送りがなくなった。家賃も払えず、美香さんと妹2人の母子4人は路頭に迷いそうになった。
 そこで手を差し伸べてくれたのが「あの人」だった。お母さんの会社の同僚。「面倒みてやるよ」。やさしい言葉につられ、お母さんは再婚し、美香さんたちはあの人のマンションに転がり込んだ。
 そこからが大変だった。「おまえはだめだ、おまえはだめだ」。お母さんにあの人は何時間も怒鳴り続けた。
 耳をふさいで勉強した。「もう終わったかな」と手を離しても、まだ続いていた。「今は、勉強しよう。集中しよう」。そう言い聞かせた。
 「もう、やめて」。半年が過ぎたある日、美香さんが叫んだ。母子は再び、家を出た。
 行き場所のない母子を保護し、自立支援する母子生活支援施設へ、2年間だけ身を寄せた。」


父親の突然の失踪によって、事実上、母子家庭となり、その結果、「母子4人」が路頭に迷いそうになるほど貧困に陥ったのです。その後、母親に再婚相手が出てきたのですが、その母親の再婚相手がDVを行うような性格であったことから、精神的にも多大な苦痛を生じるようになったわけです。

母子家庭の母親は、なかなか、正社員に就職できていないケースが目につきます。この家族の場合も「契約社員のお母さんの月給は13万円」とあるので、やはり契約社員であり、しかも月給は13万円ということですから、これでは4人の生活を支えることはかなり難しいといえます。


(2) こうした家庭の子供は、金銭的な問題から、どうしても自分の人生を選ぶことが困難になってきます。そうした様子が記事に出ています。

 「美香さんは今、大学受験の真っただ中にいる。志望は国立大学の医学部。将来は顕微鏡で細胞をチェックし、病気を探る検査技師になりたい。(中略)
 同級生はみな、毎日のように塾に行く。美香さんは、三年の夏休みもファストフード店へアルバイトに行った。「少しでも進学資金をためたかった」。だけど、教材費や生活費にすべて消えてしまった。
 希望する大学は、自宅から通えない。家賃、生活費、授業料…。契約社員のお母さんの月給は13万円。とても進学資金など出せない。働きながら短大を卒業したお母さんも「どれくらいかかるか想像つかない」と言う。
 貸し付け型の奨学金はすでに申し込んだ。だが、受験に行くお金さえもひねり出すのが難しいのだ。ホテル代と交通費で3万円ぐらい。自立支援する施設の職員は「他にも受けたいところがあるだろうけど、経済的に一校しか受験できない。入学前にかかる費用を支援する制度はほとんどない」と指摘する。(中略)
 お母さんは、美香さんに「大丈夫だから、好きなようにしなさい」と言ってくれる。でも、好きなようにできないことは、美香さんが一番よく分かっている。」


この子どもが志望する学部は医学部です。医学部では、大学進学をする場合にもっとも学費がかかることは確かです。親が医師であるといった相当に裕福な家庭であれば学費に困ることはないのでしょうが、そうでなければ、相当に学費の確保に困ることは確かですし、貧困家庭ではなおさらといえます。

そうであっても、「入学前にかかる費用を支援する制度はほとんどない」点こそが問題です。

奨学金制度自体も充実しているとは言い難いことはあるにしても、奨学金は、基本的には入学した後の費用を賄うものです。しかし、入学前にかかる費用を支援する制度、そのうち特に受験前の費用を支援する制度は、―――色々探してみると分かりますが――、教育ローンしか見あたらないのです。

高額な受験料・受験校を受けるまでに必要な費用を出すことができなければ、入学する機会が与えられないことになり、そもそも奨学金を得る機会さえも与えられません。子どもが貧困に陥れば、結果として、大学進学が著しく制限されてしまうのです。日本の学費支援制度には、相当な不備があるように思えます。



2.東京新聞平成23年1月7日付朝刊26面「子ども貧国(6) 第1部 未来が泣いている」

無心できず借金苦 払わない「怪物」

 名古屋市内の定時制高校に通う四年生の勝(21)の母親は“怪物”だ。いわゆる「モンスターペアレント」と、学校側から分類されている。

 修学旅行の積み立てや教材費などの学校納入金を、昨年4月から一度も支払っていない。学校側は「定職にもついているし、払えるのに払わない」とみる。ひとり親の母親は看護師だ。

 修学旅行を目前に控えた11月。教室で勝の担当の佐藤公一教諭が切り出した。「このままじゃ修学旅行にも行けんし、卒業もできんぞ。お母さん、なんで払ってくれんのだ」

 「先生、母さんの病院に行くのやめてよ。おれが怒られる。お金はなんとかする」と勝は言った。

 入学以来、自分の学費はバイトで稼いできた。毎月数万円、母親にも渡していた。「家にお金をいれなさいと言われていたから」

 父親は知らない。母さんが姉と勝を育ててきた。「仕事が疲れる」と言っては、アルコールをあおるように飲む母さん。勝が救急車を呼んだこともあった。

 しつけのためだと、激しくたたかれたこともある。「母子家庭だから大変なんだ」。ずっとそう思ってきた。定時制高校へ進学する時も「母さんには負担をかけない」と心に決めていた。

 勝は最近、同じ定時制高校で出会った彼女と一緒に暮らし始めた。彼女の両親も学費を払わない“怪物”だ。

 「二人とも行く場所がなかった」。勝は少しうれしそうだ。まるで同志と出会ったかのよう。4万5千円の家賃は勝が払い、カーテンも冷蔵庫もない部屋で、一日一食、白米一合を分け合って暮らす。

 「先生、お金貸して」。勝は結局、佐藤教諭に助けを求めた。修学旅行代金と家賃の6万5千円を、3ヶ月の分割返済の約束で借りた。

 佐藤はほかの生徒にもお金を貸す。みな、親に頼まず、佐藤のところに来る。最近の親子を見て感じる。「親子のきずなが希薄になっているんじゃないか」。勝の母親にきちんと支払うよう談判したこともあるが、「私には関係ない」と一蹴された。

 勝は今春、卒業する。行き詰った生活からの「出口」を見つけるのは厳しい。過去最低水準の高校生の求人倍率。佐藤は「昼間の生徒にくる求人の10分の1しか、夜間にはこない」と嘆く。定時制の生徒だと告げただけで、会社訪問さえ断られることもある。

 分割返済の1回目の期限。佐藤は牛丼を手みやげに、部屋を訪ねた。勝はバイトをクビになっていた。レジの金が売り上げと合わないことが理由だった。

 「あのままいったら、犯罪者かホームレスになる」。佐藤は卒業後が心配でならない。金を貸す自分は、その場限りのセーフティーネットだ。

 「これからどうするんだ?」と佐藤。勝は、牛丼を一気に口にかき込みながら言った。「夢とか言ってる場合じゃないでしょ。とりあえずバイト、バイト」(文中仮名)」


給食費未納 26億円

 公立小中学校では給食費の未納問題が深刻化している。文部科学省によると、2009年度の給食費未納総額は約26億円(推計)とされ、前回の05年度調査より約4億円増えた。学校側が挙げた一番の理由は「保護者の責任感や規範意識の欠如」だ。

 就学援助と生活保護の家庭が7割にも達する名古屋市内の小学校で勤務経験のある事務職員は「計画的にお金を使うことが不得手だったり、気が回らなかったりというケースが多い。一概にモンスターペアレントと片付けるのは乱暴だ」と指摘する。」



「ご意見や体験談をお寄せください。連絡先は明記し、〒100 8505 (住所不要) 東京新聞社会部「子ども貧国」取材班へ。ファクスは03(3595)6919。メールアドレスはshakai@tokyo-np.co.jp」



(1) この子どもが貧困に陥った理由は何でしょうか。

「名古屋市内の定時制高校に通う四年生の勝(21)の母親は“怪物”だ。いわゆる「モンスターペアレント」と、学校側から分類されている。
 修学旅行の積み立てや教材費などの学校納入金を、昨年4月から一度も支払っていない。学校側は「定職にもついているし、払えるのに払わない」とみる。ひとり親の母親は看護師だ。
 修学旅行を目前に控えた11月。教室で勝の担当の佐藤公一教諭が切り出した。「このままじゃ修学旅行にも行けんし、卒業もできんぞ。お母さん、なんで払ってくれんのだ」
 「先生、母さんの病院に行くのやめてよ。おれが怒られる。お金はなんとかする」と勝は言った。
 入学以来、自分の学費はバイトで稼いできた。毎月数万円、母親にも渡していた。「家にお金をいれなさいと言われていたから」
 父親は知らない。母さんが姉と勝を育ててきた。「仕事が疲れる」と言っては、アルコールをあおるように飲む母さん勝が救急車を呼んだこともあった
 しつけのためだと、激しくたたかれたこともある。「母子家庭だから大変なんだ」。ずっとそう思ってきた。定時制高校へ進学する時も「母さんには負担をかけない」と心に決めていた。(中略)
 佐藤はほかの生徒にもお金を貸す。みな、親に頼まず、佐藤のところに来る。最近の親子を見て感じる。「親子のきずなが希薄になっているんじゃないか」。勝の母親にきちんと支払うよう談判したこともあるが、「私には関係ない」と一蹴された。 」


表面的には、「モンスターペアレント」ゆえ、子どもが自らバイトして学費を稼いでいるともいえます。しかし、母子家庭で家族を養う精神的負担が、そして、最も負担の大きい職業である「看護師」ゆえに、この母親がアルコールに逃げ道を作る結果をもたらしているように思われます。「勝が救急車を呼んだこともあった」というほどなのですから、相当重度のアルコール依存症と判断できそうです。

こうしたアルコール依存症ゆえに、この母親が、子どもの学費を払わないということだけでなく、養育放棄にまで結び付いているように思えます。このように母親がアルコール依存症になってしまい、精神的な問題を生じさせてしまうと、子ども自身が貧困に陥ってしまっているのです。

この子どもは21歳です。この年齢であれば、高校を卒業していてよい年齢なのですが、「名古屋市内の定時制高校に通う」とのことですから、何らかの事情――記事には何も書いていませんが――があったと思われます。定時制高校に通うまでの間にも、この子どもにはつらい出来事があったのではないでしょうか。



(2) この記事では、この子どもの将来への見通しがまるで立っていないことが分かります。

「勝は今春、卒業する。行き詰った生活からの「出口」を見つけるのは厳しい。過去最低水準の高校生の求人倍率。佐藤は「昼間の生徒にくる求人の10分の1しか、夜間にはこない」と嘆く。定時制の生徒だと告げただけで、会社訪問さえ断られることもある。
 分割返済の1回目の期限。佐藤は牛丼を手みやげに、部屋を訪ねた。勝はバイトをクビになっていた。レジの金が売り上げと合わないことが理由だった。
 「あのままいったら、犯罪者かホームレスになる」。佐藤は卒業後が心配でならない。金を貸す自分は、その場限りのセーフティーネットだ。」


この子どもがバイト先を解雇された理由は、レジの金を盗んだ疑いがあったからのようです。本当に盗んだのかどうかは分かりませんが、将来を目指す目的もなく、バイト先を転々とするようですと、それこそ「犯罪者かホームレス」になりかねません。

こうした子供、すでに21歳ですから本当は子供とはいえない年齢ですから、このまま過ごしていくようであれば、より厳しい現実が待っています。ただ、この子どもは、未成年の時に養育放棄をされ続けてきたために、こうした状況になっているのです。ですから、成人後であっても、未成年者と同様に、救いの手立てを行う必要があることは確かであるように思われます。




3.最後に、共同通信の記事を1つ。

(1) 共同通信(2011/01/25 17:45)

児童扶養手当、減額へ 物価下落で5年ぶり

 ひとり親家庭を支給対象とする児童扶養手当が、2011年度は物価下落に伴って0・3%程度減額される見通しとなった。減額は06年度以来5年ぶり。

 厚生労働省によると、子どもが1人で満額支給の場合、月額4万1720円から130円減り4万1590円となる。

 10年の全国消費者物価指数が判明した段階で、確定する。児童扶養手当は年金と同様、法律で物価と連動する決まり。10年の全国消費者物価指数は基準となる05年の約0・3%マイナスとなる見通し。

 児童扶養手当はもともと低所得の母子家庭のみが対象だったが、政権交代で支援を拡大するため法改正され、10年8月から父子家庭も支給対象となった。親1人子ども1人の場合、年間収入365万円未満で支給される。

 特別児童扶養手当、障害児福祉手当などほかの福祉手当も同じ比率で引き下げられる。

2011/01/25 17:45 【共同通信】」



(2) この記事によると、菅政権は、児童扶養手当の引下げだけでなく、特別児童扶養手当、障害児福祉手当などほかの福祉手当も、同様に引き下げるようです。そうすると、相当多くの国民に影響する措置といえます。

確かに、「物価の下落」が続いているという判断が一般的でしょう。「物価の下落」が続いているために、春闘において賃金の引き上げがなされていないとの報道もあるくらいです。しかし、野菜といった不可欠な食料品については、値段が下がっているという実感を持っている人はどれほどいるのでしょうか。

菅政権は、こうした社会的な弱者から真っ先に給付を減らしていくのですから、相当に悪辣です。

ちなみに、世界的に農産物の国際価格が高騰しており、日本にも影響しています。こうした報道があるなかで、菅政権は、福祉手当の値下げに踏み切るのですから、心の底から怒りを感じます。

農産物:国際価格が高騰、食卓を直撃…食料危機、再燃か

 農産物の国際価格が高騰し、世界の食卓を直撃し始めた。新興国の需要増大や異常気象、農産物市場への投機資金流入が要因で、国連食糧農業機関が算出する主要食料価格指数は昨年12月に過去最高を更新した。(中略)
 食料価格の高騰は日本にも波及してきている。キーコーヒーは3月から、家庭向けのコーヒー豆やレギュラーコーヒーなどの出荷価格を平均15%前後引き上げる。値上げは06年4月以来、約5年ぶり。
 日清オイリオとJ-オイルミルズは、大豆と菜種価格の高騰を受け、食用油の出荷価格を今月分から15%程度値上げした。両社とも家庭用が1キロあたり30円程度の値上げ。円高は輸入品の価格を低下させるが、「原料価格高騰の影響は、円高効果をはるかに上回る」(日清オイリオ)という。
 三井製糖も砂糖の出荷価格を昨年10月に1キロあたり6円、11月には同7円と立て続けに値上げした。」(毎日新聞 2011年1月17日





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【2011/01/27 00:19】 | 政治問題
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第177通常国会が平成23年1月24日召集され、参院本会議場に天皇陛下を迎えて開会式が行われました。会期は6月22日までの150日間です。

横路孝弘衆院議長、西岡武夫参院議長、菅直人首相と閣僚、衆参両院議員が出席し、横路氏は式辞で「内政、外交の各般にわたり議論を尽くし、合意形成に努力して必要な施策を講じ、国民生活の安定、向上に万全を期さなければならない」と述べています(2011/01/24 13:33【共同通信】)。

菅直人首相は平成23年1月24日午後の衆参両院の本会議で、初めての施政方針演説を行いました。首相は、2国間や地域内の経済連携を推進する「平成の開国」に向け「今年は決断と行動の年だ」と決意を表明し、演説の冒頭、国造りの理念として、(1)平成の開国、(2)最小不幸社会の実現、(3)不条理を正す政治、の三つを明示しています。



1.報道記事と社説を。

(1) 東京新聞平成23年1月25日付朝刊1面

首相、国会協議呼び掛け 開国、最小不幸、不条理ただす 

■ねじれ かすむ理念

 第177通常国会は24日、菅直人首相が衆参両院本会議で施政方針演説を行い、150日間の論戦が開けた。首相は「ねじれ国会」を切り抜けようと、2011年度予算案と関連法案の成立に向けて、野党に協議を呼びかけた。ただ、野党は、小沢一郎元代表の国会招致問題や与謝野馨経済財政担当相を起用した首相の任命責任を徹底追及する方針。首相が力説した。「三つの理念」は早くもかすみがちだ。

 衆参両院本会議は26日から3日間の日程で、首相の施政方針演説に対する各党代表質問を行う。与党は31日から衆院予算委員会で予算案の実質審議に入りたい考えで、年度内成立が確定する3月2日までの衆院通過を目指す。

 一方、予算執行に欠かせない関連法案を成立させるためには、野党の協力が必要。野党を協議の場に引き込むため、政府・与党は予算案の修正も視野に入れている。首相は施政方針演説で「平成の開国」「最小不幸社会」「不条理を正す政治」のの三つの理念を掲げ、与野党協議を強く呼びかけた。だが、野党は4月の統一地方選をにらみ、小沢氏の問題や与謝野氏の起用を材料に攻勢を強めており、予算関連法案が成立しなかった場合、首相は窮地に追い込まれる。

 民主、自民両党の国対委員長は24日、与野党幹事長会談を27日に開くことで合意した。野党側は民主党が小沢氏の衆院政治倫理審議会(政倫審)議決を断念した経緯をただし、証人喚問を迫る構えだ。」



(2) 毎日新聞 2011年1月25日 東京朝刊

菅首相:施政方針演説 「公約、今夏見直し」 目玉政策トーンダウン

 菅直人首相は24日行った施政方針演説で、09年衆院選で掲げた民主党マニフェスト(政権公約)に関し「実現したものもあるが、公表から2年を区切りに、国民の声を聞き検証する」と述べ、今夏に見直すと明言した。首相は演説で、税と社会保障の一体改革や貿易自由化などの実現に意欲を示したが、高速道路無料化や東アジア共同体など公約で掲げた目玉政策は抜け落ちたりした。野党は公約を撤回するよう強く求めており、首相が求める与野党協議入りの条件として公約見直しが焦点になりそうだ。(3面にクローズアップ、5面に関連記事、11面に施政方針演説全文)

 首相は演説を練るに当たり、各省から文案を集めるのでなく、首相や周辺が起草した文案を各省に示す「政治主導」方式を取った。昨年9月の内閣改造で「有言実行内閣」と命名したのを受け、演説では「有言実行を一つ一つ仕上げる」と強調。ベトナムの原発受注や法人税率引き下げ、硫黄島の遺骨収集などの実績も列挙した。

 しかし、政権交代の原動力となった年金記録問題は実績に触れず「解消に全力を尽くす」と述べるにとどめ、天下りあっせんも「温床の独立行政法人や公益法人改革に取り組む」と述べる程度。鳩山由紀夫前首相は昨年の施政方針で「(年金記録に)国家プロジェクトとして取り組む」「無駄遣いの最大の要因の天下りあっせんを根絶する」と意気込んだが、トーンダウンした形だ。鳩山氏は記者団に「(東アジア共同体の)メッセージが消えてしまった」と指摘した。

 民主党政権が一から編成した11年度予算案は、月2万6000円の子ども手当の完全実施を断念したほか、高速道路無料化も前年度並みにとどまった。公約実行に必要な財源不足は明らかで、仙谷由人代表代行は「麻生内閣(の09年度予算)と同じ46兆円の税収で(公約を)組み、前提が違う。修正を議論しなければ破綻する」と指摘する。

 マニフェストの影が薄くなった首相の演説に、共産、みんな、改革の各党は「自民党政権と変わらない」と酷評。自民党の谷垣禎一総裁も「マニフェストとずいぶん違ってきた。あれだけ言った『国民との契約』がうまくいかないならリセットすべきだ」と求め、公明党の山口那津男代表は「財源論も破綻しており、欺まんを国民におわびすべきだ」と批判した。共産党の志位和夫委員長は「国民の願いを反映した要素が完全になくなった」とし、首相が連携相手と期待する社民党の福島瑞穂党首でさえ「マニフェストから思えばはるか遠くに来たもんだ」と皮肉った。【田中成之】

毎日新聞 2011年1月25日 東京朝刊」



(3) 東京新聞平成23年1月25日付朝刊9面

政府4演説 「増税色」前面に
2011年1月25日 朝刊

 二十四日の政府四演説で、野田佳彦財務相や与謝野馨経済財政担当相らは、財政の危機的な状況を前面に訴え、消費税増税を含めた「社会保障と税の一体改革」への必要性を強調した。だが、国民に負担増を求めたことに比べ、マニフェスト(政権公約)の修正や無駄の削減など歳出抑制への具体的な言及には乏しかった。 (桐山純平)

■歳出減 乏しい具体策

 「税収を超える財源を国債発行で調達する現在の財政状況を放置すると、日本の国際的な信任が失われる」。与謝野経財相は経済演説で、自民党時代から最重視していた財政健全化の必要性に語気を強めた。

 国と地方を合わせた借金残高は、二〇一一年度末に約八百九十一兆円に膨らむ見通し。主要先進国の中で最悪の財政状況だ。

 野田財務相も「国債発行に過度に依存した財政運営はもはや困難」と懸念を表明。「政治主導による改革が国民から求められている」とした。

 一体改革の目的は「社会保障改革に必要な財源確保と、財政健全化を同時達成するため」(野田財務相)だ。その前に演説した菅直人首相は、「国民にある程度の負担をお願いをすることは避けられない」と踏み込んだ。

 だが、財務相も述べたように、一体改革を実現するには国民の理解が不可欠。その割に、消費税を念頭に置いた相次ぐ“増税宣言”を前に、政府演説では無駄削減に関する言葉に新鮮味はない。菅首相は公務員の人件費二割削減をあらためて掲げたが、民主党政権の発足以降、議論は進んでいないのが実情だ。

 高速道路無料化や子ども手当などのマニフェスト実行も、民主党政権以降で財政悪化に拍車をかけたとの指摘もある。だが「マニフェストの事業について国民の声を聞きながら検証する」(菅首相)と述べるにとどめた。

 政府演説について、大和総研の鈴木準経済調査部長は「民主党政権の行政改革への意欲が落ちていると国民が感じれば、増税の理解を得にくくなる」と指摘。その上で「一体改革と同時に、無駄削減の具体策を示す必要がある」と話した。」



(4) 東京新聞平成23年1月25日付【社説】

菅首相演説 変節批判に弁明がない
2011年1月25日

 行き詰まり感をぬぐって政治は前進できるかどうか。新しい年の国会が開幕した。軽い言葉の氾濫や与野党のなじり合いはもうたくさん。論戦を熟議へリードする責任は菅直人首相にある。

 年頭の施政万般にわたる演説は菅首相にとって初めて。年明けの内閣再改造と民主党人事に追われたとはいえ、草稿を周到に練る時間は十分あったようである。

 国民の耳目を多分に意識した作りとなった首相の演説は、野党、とりわけ自民と公明党との政策合意実現へ、ひたすら身をかがめて、すり寄ることで異彩を放っている。

 たとえば社会保障や税制の抜本改革で首相は、超党派の円卓会議や社会保障協議会の設置といった自公両党の提案を丁寧に紹介し、「問題意識と論点の多くは既に共有されている」として「各党が提案するとおり、与野党間で議論を始めよう」と呼び掛けている。

 足元の与党も含め内外に慎重論の根強い環太平洋連携協定(TPP)参加をめぐっても、六月をめどに結論を出すとして、与野党に意見を持ち寄るよう促した。

 四月には統一地方選があるし、参院の過半数を野党に握られた窮状は変わらない。負担増や社会的影響の大きい政策で「国民参加の議論を」と首相が訴える事情はわかる。しかし、殊勝な言葉にも多くの人が違和感を否めない。

 野党が声を荒らげている。マニフェストの変質と変節。それにどう始末をつけるのか、と。私たちも同感だ。無駄の排除で十数兆円の財源を作る約束と、二年続けて赤字国債が税収を上回る現状とに首相は説明を尽くしていない。

 与謝野馨氏を中枢に迎えて消費増税の旗振り役を委ねたのも同じことだ。野党は追及の手ぐすね引く。甘く考えない方がいい。

 政権交代からわずか一年半で、これといった弁明や反省もなく自公の政策に抱きつくようでは、何のための政権交代だったかと批判されても仕方なかろう。

 もう一つ、首相演説は小沢一郎氏の問題には直接触れず、政治資金透明化や企業・団体献金禁止も与野党協議を期待した。政治とカネにけりをつけるとの、あの意気込みはどうしたか。

 「国民の皆さま」とへりくだる文句がやたら目立つ演説は、世論の支持を回復できずにいら立つ首相の心境の裏返しでもある。

 本心で熟議を望むなら批判にさらされる覚悟と、ひたむきに理解を求める姿勢。それしかない。」





2.菅首相の施政方針演説を聞いて誰もが思うことは、一言で言えば、「騙された」という感覚でしょう。

 「▼きのう召集された通常国会の施政方針演説で、菅直人首相は消費税の増税論議に取り組む決意を表明。環太平洋連携協定(TPP)の国会での議論を提唱し「平成の開国」を訴えた▼いずれも政権交代時のマニフェストにはない重大な政策で、民主党政権の「質」が大きく変わってしまった印象を受ける▼政権交代を支持した人の中にはだまされたという思いを抱く人もいるだろう。」(東京新聞平成23年1月25日付「筆洗」


勝手に「公約の見直し」を主張して増税路線を掲げ、政権交代時のマニフェストにはない重大な政策を実行しようというのですから、それは明らかに「有権者と交わした約束を無造作に反古」にすることであり、有権者にとっては騙されたというしかありません。

「有権者は、政府の奴隷である」とでも思っている人でない限り、あるいは、菅直人に妙な入れ知恵をした大メディア幹部でない限り、菅直人の施政方針演説を支持する人はいないはずです。


(1) このブログでは、菅首相の施政方針演説は馬鹿馬鹿しいので引用しませんが、引用しなくても、与野党の批判を読めば、どういう内容かすぐに分かります。

 「政権交代の原動力となった年金記録問題は実績に触れず「解消に全力を尽くす」と述べるにとどめ、天下りあっせんも「温床の独立行政法人や公益法人改革に取り組む」と述べる程度。鳩山由紀夫前首相は昨年の施政方針で「(年金記録に)国家プロジェクトとして取り組む」「無駄遣いの最大の要因の天下りあっせんを根絶する」と意気込んだが、トーンダウンした形だ。鳩山氏は記者団に「(東アジア共同体の)メッセージが消えてしまった」と指摘した。(中略)
 マニフェストの影が薄くなった首相の演説に、共産、みんな、改革の各党は「自民党政権と変わらない」と酷評自民党の谷垣禎一総裁も「マニフェストとずいぶん違ってきた。あれだけ言った『国民との契約』がうまくいかないならリセットすべきだ」と求め、公明党の山口那津男代表は「財源論も破綻しており、欺まんを国民におわびすべきだ」と批判した。共産党の志位和夫委員長は「国民の願いを反映した要素が完全になくなった」とし、首相が連携相手と期待する社民党の福島瑞穂党首でさえ「マニフェストから思えばはるか遠くに来たもんだ」と皮肉った。」(毎日新聞)


 「思えば遠くへ/代わり映えない

 菅首相の施政方針演説には、野党から辛口のコメントが相次いだ。
◆「国民の生活が第一という姿勢からは、『本当に思えば遠くへ来たもんだ』という演説。平成の開国と言うが、『平成の国民生活破壊』だ」(社民党の福島瑞穂党首)
◆「国民の深刻な生活苦や切実な要求はまったく視野に入っていない」(共産党の志位和夫委員長)
◆「自民党政権の演説かと思った。完璧に官僚主導、しまいには増税を言い出す始末。もう1回解散をやるべきだ」(みんなの党の渡辺喜美代表)
◆「(離党した与謝野馨経済財政担当相の経済演説に触れて)斬新な意見を言うかと思ったら、代わり映えしなかった。残念な気持ちがした」(たちあがれ日本の平沼赳夫代表)
◆「民主党政権らしさはどこにあるんだろうというのが最大の疑問。ほとんど自民党政権と変わらない」(新党改革の舛添要一代表)」(東京新聞平成23年1月25日付朝刊2面)


選挙を経ることなく政権公約を反古にしているのですから、与野党から「国民の生活が第一という姿勢からは、『本当に思えば遠くへ来たもんだ』という演説」といった批判が出るのは当然でしょう。東京新聞も、社説で次のように述べています。

 「野党が声を荒らげている。マニフェストの変質と変節。それにどう始末をつけるのか、と。私たちも同感だ。無駄の排除で十数兆円の財源を作る約束と、二年続けて赤字国債が税収を上回る現状とに首相は説明を尽くしていない。
 与謝野馨氏を中枢に迎えて消費増税の旗振り役を委ねたのも同じことだ。野党は追及の手ぐすね引く。甘く考えない方がいい。
 政権交代からわずか一年半で、これといった弁明や反省もなく自公の政策に抱きつくようでは、何のための政権交代だったかと批判されても仕方なかろう。」




(2) 一人だけの家計に限らず、家族単位、会社単位、自治体単位というどんな組織であっても、赤字になったときに必ず行うことは、支出を減らすことです。支出を減らすことを最優先にしなければ、いかに収入を増やしたとしても、それはまた無駄な支出が増えていくことになるだけです。菅直人一派は、そんな当たり前のことがどうして分からないのでしょうか。

 「一体改革の目的は「社会保障改革に必要な財源確保と、財政健全化を同時達成するため」(野田財務相)だ。その前に演説した菅直人首相は、「国民にある程度の負担をお願いをすることは避けられない」と踏み込んだ。

 だが、財務相も述べたように、一体改革を実現するには国民の理解が不可欠。その割に、消費税を念頭に置いた相次ぐ“増税宣言”を前に、政府演説では無駄削減に関する言葉に新鮮味はない。菅首相は公務員の人件費二割削減をあらためて掲げたが、民主党政権の発足以降、議論は進んでいないのが実情だ。」(東京新聞)


菅政権は、無駄の削減など歳出抑制への具体的な言及することなく「消費税を念頭に置いた相次ぐ“増税宣言”」と言いますが、それは「俺(行政)が使う無駄遣いは減らすつもりもないが、おまえは俺にもっと金を渡せ! 有り金をはたけ!」というようなものです。こんな馬鹿げた主張は、不条理であって「国民に対する強盗」としか言いようがありません。

首相は昨年夏から「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と連呼していましたが、今回に至っては、「一に増税、二に増税、三に増税」ということなのでしょう。
 



3.有権者の一層の離反を招き、与野党から酷評を受けることが誰にでも分かるような内閣改造、施政方針演説ですが、なぜ、菅直人一派は、かえって政権を維持が困難になるような馬鹿げたことをしてしまったのでしょうか。

(1) 週刊ポストによると、どうやら、朝日新聞の編集委員が菅直人に「入れ知恵」したようです。

ああ、与謝野でしくじった 菅首相「起死回生」の一策だったのに!

■「入閣に朝日幹部が関与」証言

 菅内閣にとって正念場となる通常国会が始まった。主役はこの人だ。与党も野党も、本会議場のひな壇に座る与謝野馨・経財相の顔を見ると血が騒ぐ。

 まずは民主党の川内博史・代議士が、「与謝野さんは鳩山前首相を国会で『平成の脱税王』と罵り、民主党は日本経済を破壊するから打倒するといった人物だ。そんな方が閣僚として目の前で答弁するのは理解できない」と噛みつけば、自民党の石原伸晃・幹事長は、「変節は人の道で一番醜い。批判していた民主党に行くのなら自民党で得たバッジを外せ」と要求。

 野党側は早くも与謝野氏への問責決議案や議員辞職勧告決議案の提出方針で足並みを揃えつつある。国会は冒頭から、「与謝野処分」で騒然としている。

 野党政治家が与党に転じるのは、別に珍しいことではない。が、この人事が国民に強い和姦を抱かせるのは、菅首相が「日本の危機を乗り越えていくために最強の体制をつくる」と大見得を切って、民主党のマニフェストを批判してきた増税論者の与謝野氏を三顧の礼で大臣に迎え、消費税増税と社会保障改革の舵取り役を任せた点だ。いくら首相や与謝野氏が「日本の危機」を強調しても、民主党の政策を支持してきた有権者と、民主党を批判してきた与謝野氏に投票した有権者の両方を裏切るものだろう。

 しかし、そんな与野党、国民の反発さえも、当の菅首相は、“サプライズ人事にみんな驚いているぞ”とご満悦なのだ。

 菅首相の奇妙な自信には理由がある。実は、今回の内閣改造には大メディアが大きく関与している。与謝野氏が読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社社長と極めて近いことはよく知られている。だが、菅首相に直接、与謝野起用を進言したのは、読売のライバルの朝日新聞の編集幹部だという。菅側近が打ち明ける。

 「改造前に総理が最も憂慮していたのはメディアの風当たりが強くなっていることだった。そこで昨年末に各紙の幹部とお忍びで会談を重ねた。

 中でも総理が信頼する朝日の編集幹部は、消費税引き上げと環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加、小沢切りの3点セットを断行すれば菅内閣を社をあげて支援すると約束して、与謝野氏起用を強く進言した。読売がこの人事を歓迎するのは想定内だったが、“天下の朝日”の後押しが迷っていた総理を動かした」

 この編集幹部は紙面でも、民主・自民の大連立など、菅長期政権の可能性に言及している。

 実際、与野党から総スカン状態の与謝野氏の入閣が、大メディアは揃って歓迎した。内閣改造翌日の各紙の社説を見ると、読売新聞は、<与謝野氏が言うように、国の命運を左右するような課題には各党が「政争の場を離れて」取り組むべきだ>と書き、朝日新聞は与謝野氏起用を<目指す目標を明確にし、人事を通じ実行する態勢を整えようとした意図は理解できる>と評価したうえで、小沢一郎・元代表の政治倫理審査会出席問題について、<この問題を早急に処理しない限り、「最強の態勢」もつかの間の掛け声に終わるほかない>と「小沢切り」を促す書き方をしている。前出の菅側近の証言と一致するが、朝日新聞は編集幹部が菅首相に与謝野氏の起用を進言したことを否定した。(中略)

 しかし、この人事は、菅首相と大メディアの思惑とは裏腹に、政権崩壊への決定的な一撃となる。」(週刊ポスト2011年2月4日号(1月24日発売)


週刊ポストには、「朝日新部の編集幹部」の名前は出ていませんが、「昨年末に各紙の幹部とお忍びで会談を重ねた」という点からすれば、星浩氏でしょう。

首相動静―2010年12月23日

 【午後】6時35分、東京・芝公園の日本料理店「とうふ屋うかい」。朝日新聞の星浩編集委員、毎日新聞の岩見隆夫客員編集委員、読売新聞の橋本五郎特別編集委員と食事。」


朝日新聞は編集幹部が菅首相に与謝野氏の起用を進言したことを否定しているようです。しかし、「与野党から総スカン状態の与謝野氏の入閣が、大メディアは揃って歓迎」するような社説を出すなど、「政権を維持が困難になるような馬鹿げたこと」を歓迎しているのですから、週刊ポストの記事は、あながち外れてはいないと思えます。


(2) 朝日、読売、毎日が菅政権が擁護し続ければ、そのうち洗脳される国民を増えるでしょうから、菅直人としては、実に都合がいいのです。菅直人とすれば、朝日幹部が「消費税引き上げと環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加、小沢切りの3点セットを断行すれば菅内閣を社をあげて支援すると約束して、与謝野氏起用を強く進言した」というであれば、朝日新聞による批判はなくなるので、実に都合がよいわけです。元々、菅直人は、首相として何をしたかったわけではなく、ただ高級料理三昧の日々を送りたかっただけなのですから。

他方で、朝日新聞としても、菅直人に恩義を売っておけば、インタビューなどで様々な便宜を図ってもらえるという見返りが期待できるため、新聞・テレビ離れが加速している現在、その流れを止めることになり得ます。また、朝日編集幹部は、「小沢排除」を菅直人に行わせることができれば、菅政権が破綻したとしても、小沢一郎氏に対する私怨を晴らすことができるというメリットがあるのです。

こうして、朝日編集幹部と菅直人は、利害が一致して、消費税増税、与謝野氏の入閣、小沢排除を断行しようとしているわけです。しかし、これらの事柄は少しも国民のためではない点で問題です。

「社会保障と税の一体改革」と唱えたところで、社会保障制度と租税とは、法律上全く別の制度なのですから(憲法規定の当てはめれば、社会保障制度は生存権に関する25条、租税は租税法律主義を定めた84条ゆえ、全く違うことは分かるはず)、一体改革はあり得ないのです。歳出を減らすことをしていない以上、結局は、国民に対する社会保障が薄くなり、他方で、増税になるというのが「一体改革」の結果なのです。

要するに、菅直人と朝日新聞の星浩編集委員などは「一体改革」という名目で国民を騙しているのであって、国民により一層の不幸を撒き散らそうとしているのです。



(3) 「与謝野の会派入りで、衆院での法案再可決に必要な『3分の2』をギリギリ回復した」(日刊ケンダイ平成23年1月26日付3面)ようです。そのため、菅直人は側近に「3分の2を使えば、国会はどうにもなるんじゃないか」「こんな国会、バカでも乗り切れる」と言って、自信満々になっているとする報道もあったようです。

しかし、「3分の2」と言っても社民党が賛成に回る保証があるわけでもなく、また、小沢一郎氏を離党に追い込めば、当然ながら「3分の2」も使えなくなるわけです(日刊ケンダイ平成23年1月26日付(25日発行)3面)。小沢氏が離党に追い込まれれば、小沢氏に続いて離党する国会議員もいるでしょうし、そうなれば、「3分の2」は絶対に不可能になってきます。こんな簡単な計算は、誰にでもすぐに分かるはずです。

それなのに、なぜ、菅直人一派は「小沢排除」を行い、わざわざ「3分の2」のメリットを使えない方向にしているのか、不思議でなりません。菅直人が、本当に予算関連法案を成立させたいのであれば、「小沢排除」をするべきではないのです。

しかし、自ら「小沢排除」を繰り広げている結果、自ら予算関連法案を不成立の方向へ積極的に導いているのですから、支離滅裂な行動としか言いようがありません。

支離滅裂で、単純な計算さえもできないほど判断能力を失っている菅直人が首相のままでいれば、日本の市民がより不幸になっていくことだけは確実です。それとともに、朝日新聞の編集委員が菅直人に「入れ知恵」をしたことが暴露された以上、朝日新聞に対する批判がより一層強まり、販売数減少へつながることもまた確実といえます。




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【2011/01/26 04:19】 | 政治問題
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