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京都大など4大学の入試問題が試験中にインターネットの質問サイト「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、京都府警察本部は平成23年3月3日、仙台市の19歳の男子予備校生を、京都大学の入学試験で業務を妨害した偽計業務妨害罪の疑いで逮捕しました。調べに対して予備校生は「自分1人で携帯電話で投稿した。合格したかった」と供述しているということで、警察は単独で投稿したものとみて、調べを進めることにしています。



1.報道記事を幾つか。

(1) 時事通信(2011/03/03-22:11)

19歳予備校生逮捕=「1人でやった」、偽計業務妨害容疑-入試問題投稿・京都府警

 京都大など4大学の入試問題が試験中にインターネットの掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、京都府警は3日午後、投稿に使われた携帯電話の契約者の息子で、仙台市の予備校生(19)を偽計業務妨害容疑で逮捕した。
 府警によると、予備校生は「間違いありません」と逮捕容疑を認めた上で、動機を「合格したかった」と説明。掲示板には「aicezuki」のハンドルネームで書き込み、投稿は「1人でやった」と供述しているという。
 逮捕容疑は、先月26日に行われた京大入試の英語の試験中に、携帯電話でヤフー知恵袋に試験問題を投稿。閲覧者から解答を得るなどし、入試の公正さを害して混乱させ、同大の業務を妨害した疑い。
 府警によると、京大の調査の結果、予備校生の答案用紙の英語の解答と、掲示板に記載された問題への回答内容は似ていたという。投稿方法について、府警は「トイレも含めた試験会場から送信した」としている。
 予備校生は一時所在不明になっていたが、府警などの捜査員が3日午前、仙台市内の路上にいるところを発見、同市内の警察署に任意同行した。この際、携帯電話1台を所持しており、府警が押収した。スマートフォンではないという。(2011/03/03-22:11)」



(2) NHKニュース(3月4日 18時22分)

“机の下で携帯操作”と供述
3月4日 18時22分

 大学入試の問題が試験中にインターネットの質問サイトに投稿された事件で、京都大学の業務を妨害した疑いで逮捕された男子予備校生は「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」と供述していることが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。

 仙台市に住む19歳の男子予備校生は、先月26日に行われた京都大学の入学試験で携帯電話を使ってインターネットの質問サイトに英語の問題の一部を投稿し、大学の業務を妨害したとして3日、偽計業務妨害の疑いで京都府警察本部に逮捕されました。警察は、4日から予備校生の本格的な取り調べを始めています。

 調べに対して予備校生は「受験した座席は教室の前方の左隅で、試験監督からは見えにくい場所だった。机の下で股の間に隠し持った携帯電話を操作して質問サイトに投稿した」と供述していることが捜査関係者への取材で新たに分かりました。

 予備校生の携帯電話からは、京都大学の英語の試験の際、開始から7分後と15分後に日本語の文章の英訳問題が1問ずつ投稿されています。また、前日に行われた文系の数学の試験の際には5分から10分ほどの間隔で質問サイトにあわせて6回の投稿があり、記号なども含めてほぼ正確に問題が打ち込まれていました。

 警察は、具体的な投稿方法について解明を進めるとともに、大学側からも話を聞いて予備校生がいた教室の監督態勢についても調べることにしています。」



カンニング[cunning]とは、「試験のとき、他人の答案や隠し持った本・メモなどを見るなどの不正行為をすること 」を言います(三省堂「大辞林 第二版」より)。この事件での予備校生は、インタ-ネットに問題を投稿し、不特定多数の者による回答を見たという行為をしたのですから、いわゆるカンニングに当たる行為です。

インターネットを利用した点で目新しいとはいえ、「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」のですから、<1>試験監督の死角を狙って行うという極めて古典的なカンニング方法であり、<2>股下・机の下にカンニング-ペーパー(カンニング用に隠し持つ紙片)を隠して答えを写したのと殆ど変わりがなく、これまた、古典的なカンニング方法にすぎないのです。

カンニングは昔からある行為であり、「万引き」よりも多くの人が行っており、身近な人にも必ずいるものです。何年か真面目に試験監督をしてみれば、カンニングをする者が多数いることはよく分かるはずです。

それなのに、全国紙(朝日、読売、毎日)は、国家の一大事かのように連日一面に掲載するなど大騒ぎでした。しかも、今回の事件は、単なる古典的なカンニング方法にすぎないのです。ですから、これほどまでに大々的に騒ぐ必要はなかったのです。マスコミはインターネットが絡むとすぐに大騒ぎしますが、それは「ネットが苦手なおっさんがオロオロして喚き立てている醜態を晒している」だけのことです。

たかがカンニングなのですから、インターネットが絡んだくらいで一々騒ぐのは、いい加減に止めにしてほしいものです。全くマスコミはなんて馬鹿なのだろうかと呆れてしまいます。(これだけ馬鹿騒ぎをしているマスコミを見ると、カンニングをしていた記者様、官僚様、弁護士様、検察官様、裁判官様の実名を暴露したくなります。)



2.このように余りにもよくあるカンニング行為、しかも古典的なカンニング方法にすぎなかったのですから、試験監督は当然に発見すべきでした。こうしたお粗末な試験監督の有り様であったゆえに批判が生じています。

(1) スポーツ報知:2011年3月5日10時57分

京大に「大騒ぎするな」批判殺到149件…入試投稿問題

 京大には批判電話が相次いだ。予備校生が逮捕された3日以降、「被害届を取り下げて予備校生を釈放すべき」「たかがカンニングで大騒ぎするな。本人を不合格にすればいいだけ」など大学の対応を批判する電話やメールが、4日夕までに計149件あった。

 大学側を非難する意見は全体の約9割。中には「あんな問題だからカンニングする。もっと、自分で考えるような問題を作るべき」と設問方式自体への批判もあった。予備校生が出身の東北地方からの電話も多いという。

 京大広報課は「対応は万全だった」と強調。「基本的に受験生を信頼している。机の下をのぞき込むなど、プレッシャーを与える行動はしていない」と説明したが、ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると、(試験監督官が)寝ていたと言われても仕方ない」と指摘する。京大は、投稿が確認された英語の試験で、受験者約8000人に対し、監督官約400、数学は約2500人に対し、約120人を配置していた。

(2011年3月5日10時57分 スポーツ報知)」



(2) 日経新聞平成23年3月4日付朝刊39面

“古典的”手口に関係者戸惑いも 「普通気付くと思うが…」

 携帯電話を股の間に隠して手で打った――。入試問題の投稿問題で逮捕された予備校生(19)が京都府警に供述したとされる手口は“古典的”だった。試験官の目を盗んだとみられるが京都大は「対応は万全だった」と強調。他大学の入試担当者からは「普通は気付くと思うのだが……」と戸惑いの声も上がった。

 トイレから送信説、外部に中継役がいたとする説、眼鏡型などの小型カメラ説。発覚後さまざまな方法が取りざたされたが、ある大学の入試担当者は「ふたを開ければカンニングペーパーを持ち込むこれまでの手口と何も変わらない」と話す。

 京大の数学では6問が投稿された。ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると(試験官が)寝ていたと言われても仕方ない」と手厳しい。

 大阪大の入試担当者は「携帯電話を使えば、行動が不自然になり受験生の中ではかなり目立つのではないか」と指摘する。大阪市立大の担当者は「少なくとも周りの受験生は気付いていたのでは」。

 一方、学内の試験で「カンニングをした」と後に卒業生から告白されたことがある中国地方の大学の准教授は「見破る自信はあったが……。試験官は難しい」と打ち明けた。」



(3) 東京新聞平成23年3月5日付朝刊31面

未来ある子どもに逃げ道を 

 「夜回り先生」元定時制高校教諭 水谷修さん

 京都大が今回のカンニングで、業務妨害を受けたと警察に届けたのはあまりにも感情的だった。受験生が関与していると考えれば、悪人扱いはできない。子どもには逃げ道をつくってあげてほしい。

 一呼吸置いて、「やった人は名乗り出てください。警察には言いません」と呼び掛けるべきだった。名乗り出ないなら、一人多く合格させればいい。カンニングで合格した少年が自分の不正行為に苦しむだけだから。

 大学側は被害届を取り下げてほしい。カンニングは許せない行為だが、少年は反省している。子どもは不完全な存在だから、「君にも未来はある」と諭すことが教育者の態度。愛こそが必要だ。

 携帯電話を使ったカンニングは韓国でもあったし、日本の大学でも試験中に起きているが、警察に訴えることはしていない。京都大の対応は「名門で社会的影響が大きい」からだろうし、警察の逮捕は少年の命を守るためだったと思う。起訴はされないでほしい。

 カンニングをされたのは試験官のミス。大学側が不正を誘発しない環境をつくれなかった非を認めず、少年に全ての責任を押しつけるのはあまりにも自己保身。少年を犯罪者にしたのは私たち大人で、少年を社会から追放するような仕打ちは絶対に避けるべきだ。」



 イ:試験監督の任務は、<1>試験のスムーズな運営(試験問題と解答用紙の速やかな配布・回収)とともに、<2>試験の公平性を図るために、不正行為を未然に防ぎ、不正行為を摘発することにもあります。

 「トイレから送信説、外部に中継役がいたとする説、眼鏡型などの小型カメラ説。発覚後さまざまな方法が取りざたされたが、ある大学の入試担当者は「ふたを開ければカンニングペーパーを持ち込むこれまでの手口と何も変わらない」と話す。
 京大の数学では6問が投稿された。ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると(試験官が)寝ていたと言われても仕方ない」と手厳しい。」(日経新聞)


カンニングの方法には、色々ありますが、特に、カンニングペーパーや類似の行為だけは阻止するよう、気を配るのが、一般的な試験監督でしょう。カンニングペーパーは、不正行為であることが証拠上明らかであり、また、正解であることが可能性が高いことから、参考書の持ち込みに等しいからです。

特に、試験監督からみて死角にあると思われる受験生に対しては、その受験生がカンニングの誘惑にかられやすいことから、特に気を配り、カンニングを刺せないように注意をするが「試験監督の鉄則」といえます。

ところが、今回の事件では、、「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」のであり、しかも何度も投稿していたのですから、試験監督は明らかに任務を怠っていたと言わざるを得ず、試験監督の責任は重く、試験監督もまた大学内部において厳しい処分に値するといえます。

不正を行ったという受験生が一番悪いことは確かですが、大学側の試験監督の無責任さにも問題があったのです。それなのに、大学側はすぐに警察に被害届を出すなど被害者を装うのは、まったく無責任だと呆れます。


 ロ:「夜回り先生」と言われる水谷さんは、次のように述べています。

「カンニングをされたのは試験官のミス。大学側が不正を誘発しない環境をつくれなかった非を認めず、少年に全ての責任を押しつけるのはあまりにも自己保身。少年を犯罪者にしたのは私たち大人で、少年を社会から追放するような仕打ちは絶対に避けるべきだ。」(東京新聞)


カンニングをした受験生の対応は、合格取り消しのみでそれ以上の行為をしないのが一般的です。また、大学での学部の定期試験においては、建前上は、停学、受験していた試験は無効となり、それ以降の試験を受けることができない(受験資格喪失)にするのが一般的です。

ただし、大学の定期試験での実情は、カンニングに対する対応は、厳重注意かあるいは「見逃し」が一般的でしょう。それは、大学では、学生や受験生は「お客様」だからなのです。ですから、暗に、カンニングの摘発はしないようにしているのです。

何年も試験監督をしていれば分かることですが、カンニングの摘発も、それなりの技術を必要とします。ですから、真剣に取り組むという意欲とともに技術がなければ、カンニングの摘発はできません。しかし、大学側は、カンニングを摘発する気がないので、カンニング摘発の技術を磨くことをせず、(経費節減のため)多数の受験生に対して少人数の試験監督で対応してしまうのです。

そうしただらしない対応をしている大学が、なぜか、今回の事件については、警察に被害届を出し、「万全を対応委をしていた」などと言うのですから、呆れてしまいます。「あまりにも自己保身」だと言わざるを得ないのです。(マスコミが、大学でのこうしたカンニングへの対応の実情を知らないことも、馬鹿騒ぎの一因でしょうが。) (カンニングをした受験生の対応は、合格取り消しのみでそれ以上の行為をしないのが一般的なのに、逮捕にまで至ったのも驚きです。まさか起訴はしないでしょうが。)



<3月7日付追記>

2つの記事を追記します。2つとも、「業務妨害」だと声高に叫んでいる大学自体を批判している記事です。

(1) 読売新聞:2011年3月4日15時02分

居眠り・私語・「雑用」公言…試験監督に問題も

 京都大や早稲田大など4大学の入試問題がインターネット掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、入試会場での監督態勢の甘さを問う声が出ている。

 逮捕された男子予備校生(19)は「一人でやった」と供述しており、試験会場で断続的に携帯電話を操作していたとみられるが、試験監督らがこうした不審な動きを見逃していた可能性があるからだ。大学側は「不正防止に万全の態勢をとってきた」とするが、試験監督態勢の不十分さや、先端電子機器への対応の遅れを指摘する声もある。

 京都府警の調べでは、予備校生は2月26日、京都大の英語の試験中に携帯電話で掲示板に投稿した上、寄せられた回答も閲覧していた疑いが持たれている。

 京大によると当時、受験生約8000人に対し、監督約400人を配置。受験生も椅子を一つずつ空けて座らせるなどしており、京大幹部は不正発覚直後の会見で「十分な数の監督を置いていた」としていた。

 しかし、長年、センター試験の大学責任者を務めていた60歳代の国立大学の元教授は、「監督の数が多ければいいというわけではない。試験監督を『雑用』と呼んではばからず、いいかげんにやる教員も多い」と証言する。

 センター試験では会場に2人以上の教授を試験監督として配置。しかし、元教授によると、試験中に自分の講義のテスト採点を行ったり、いびきをかいて眠ったりする教授もおり、試験後、「試験監督のおしゃべりがうるさかった」と、苦情を寄せられたこともあった、という。

(2011年3月4日15時02分 読売新聞)」



(2) 毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊

入試問題ネット投稿:京大対応、強まる批判 抗議殺到、「監督は万全」に疑問符

 入試問題投稿事件で逮捕された仙台市の予備校生(19)の“幼稚”ともいえるカンニングの手口が明らかになるにつれ、京都大への批判が強まっている。不正行為を防げなかったばかりか、声高に「被害者」の立場を強調したとの見方からだ。

 事件に関し、京大へ4日までに寄せられた電話は170件を超え、ほとんどが苦情や抗議。捜査を進める京都府警内部にも大学の対応を疑問視する声がある。京大広報課によると、電話は3日夕までに約30件、4日は午後5時半までに144件に上った。

 うち十数本は激励だったが、その他は「監視が甘かったのではないか」「被害届を出して逮捕させたのは間違い」「カンニングで逮捕はやりすぎ」といった意見。「予備校生がかわいそう」という同情の声もあった。

 一方、府警内部でも京大の対応に違和感を覚えるという声が出ている。監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした形になったためだ。

 事件発覚から6日目の3日、初めて記者会見した松本紘学長は「監督はちゃんとやっている」と時に声を荒らげて強調。「(京大の監督の)範囲の外で起こるようなネット犯罪であれば、対策を取らなければいけない」とまで述べた。

 ところが、予備校生は府警の調べに、試験会場の自席に着き「机の下で携帯電話を操作した」と説明。会場の隅の席は試験監督から死角になるので何回もやったとも話し、一夜にして「監督は万全」との大学側主張に疑問符がついた。

 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」。府警幹部の一人はこうつぶやいた。【広瀬登、太田裕之、林哲平】

毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊」



読売新聞の記事は、「業務妨害」だと声高に叫んでいる大学教員自体が、カンニングを防止すべき試験監督の任務をさぼっている実態がはびこっていることを指摘しています。ある元教授は、「試験監督を『雑用』と呼んではばからず、いいかげんにやる教員も多い」とか、「試験中に自分の講義のテスト採点を行ったり、いびきをかいて眠ったりする教授もおり、試験後、『試験監督のおしゃべりがうるさかった』と、苦情を寄せられたこともあった」と証言しています。試験監督を長年行っていれば、誰でも知っている内容でしょう。

毎日新聞の記事は、警察による京大への批判的な評価を内容としています。 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」と府警幹部は述べているようです。「監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした」点からすれば、大学自ら試験監督業務を怠っていた以上、業務「妨害」に値しないのではないか、と言えるわけです。

試験監督業務をいい加減にやっている教員の存在があり、京大の場合も試験監督としての不手際が明白です。このように自ら業務を怠っている以上、業務の妨害を受けたと批判する資格はないと評価できることから、捜査機関側、警察の方としては、業務妨害罪で起訴する行為には値しないと評価できそうです。


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2.このように余りにもよくあるカンニング行為、しかも古典的なカンニング方法にすぎなかったのですから、試験監督は当然に発見すべきでした。こうしたお粗末な試験監督の有り様であったゆえに批判が生じています。

(1) スポーツ報知:2011年3月5日10時57分

京大に「大騒ぎするな」批判殺到149件…入試投稿問題

 京大には批判電話が相次いだ。予備校生が逮捕された3日以降、「被害届を取り下げて予備校生を釈放すべき」「たかがカンニングで大騒ぎするな。本人を不合格にすればいいだけ」など大学の対応を批判する電話やメールが、4日夕までに計149件あった。

 大学側を非難する意見は全体の約9割。中には「あんな問題だからカンニングする。もっと、自分で考えるような問題を作るべき」と設問方式自体への批判もあった。予備校生が出身の東北地方からの電話も多いという。

 京大広報課は「対応は万全だった」と強調。「基本的に受験生を信頼している。机の下をのぞき込むなど、プレッシャーを与える行動はしていない」と説明したが、ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると、(試験監督官が)寝ていたと言われても仕方ない」と指摘する。京大は、投稿が確認された英語の試験で、受験者約8000人に対し、監督官約400、数学は約2500人に対し、約120人を配置していた。

(2011年3月5日10時57分 スポーツ報知)」



(2) 日経新聞平成23年3月4日付朝刊39面

“古典的”手口に関係者戸惑いも 「普通気付くと思うが…」

 携帯電話を股の間に隠して手で打った――。入試問題の投稿問題で逮捕された予備校生(19)が京都府警に供述したとされる手口は“古典的”だった。試験官の目を盗んだとみられるが京都大は「対応は万全だった」と強調。他大学の入試担当者からは「普通は気付くと思うのだが……」と戸惑いの声も上がった。

 トイレから送信説、外部に中継役がいたとする説、眼鏡型などの小型カメラ説。発覚後さまざまな方法が取りざたされたが、ある大学の入試担当者は「ふたを開ければカンニングペーパーを持ち込むこれまでの手口と何も変わらない」と話す。

 京大の数学では6問が投稿された。ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると(試験官が)寝ていたと言われても仕方ない」と手厳しい。

 大阪大の入試担当者は「携帯電話を使えば、行動が不自然になり受験生の中ではかなり目立つのではないか」と指摘する。大阪市立大の担当者は「少なくとも周りの受験生は気付いていたのでは」。

 一方、学内の試験で「カンニングをした」と後に卒業生から告白されたことがある中国地方の大学の准教授は「見破る自信はあったが……。試験官は難しい」と打ち明けた。」



(3) 東京新聞平成23年3月5日付朝刊31面

未来ある子どもに逃げ道を 

 「夜回り先生」元定時制高校教諭 水谷修さん

 京都大が今回のカンニングで、業務妨害を受けたと警察に届けたのはあまりにも感情的だった。受験生が関与していると考えれば、悪人扱いはできない。子どもには逃げ道をつくってあげてほしい。

 一呼吸置いて、「やった人は名乗り出てください。警察には言いません」と呼び掛けるべきだった。名乗り出ないなら、一人多く合格させればいい。カンニングで合格した少年が自分の不正行為に苦しむだけだから。

 大学側は被害届を取り下げてほしい。カンニングは許せない行為だが、少年は反省している。子どもは不完全な存在だから、「君にも未来はある」と諭すことが教育者の態度。愛こそが必要だ。

 携帯電話を使ったカンニングは韓国でもあったし、日本の大学でも試験中に起きているが、警察に訴えることはしていない。京都大の対応は「名門で社会的影響が大きい」からだろうし、警察の逮捕は少年の命を守るためだったと思う。起訴はされないでほしい。

 カンニングをされたのは試験官のミス。大学側が不正を誘発しない環境をつくれなかった非を認めず、少年に全ての責任を押しつけるのはあまりにも自己保身。少年を犯罪者にしたのは私たち大人で、少年を社会から追放するような仕打ちは絶対に避けるべきだ。」



 イ:試験監督の任務は、<1>試験のスムーズな運営(試験問題と解答用紙の速やかな配布・回収)とともに、<2>試験の公平性を図るために、不正行為を未然に防ぎ、不正行為を摘発することにもあります。

 「トイレから送信説、外部に中継役がいたとする説、眼鏡型などの小型カメラ説。発覚後さまざまな方法が取りざたされたが、ある大学の入試担当者は「ふたを開ければカンニングペーパーを持ち込むこれまでの手口と何も変わらない」と話す。
 京大の数学では6問が投稿された。ある公立大職員は「あそこまで何度も投稿されていると(試験官が)寝ていたと言われても仕方ない」と手厳しい。」(日経新聞)


カンニングの方法には、色々ありますが、特に、カンニングペーパーや類似の行為だけは阻止するよう、気を配るのが、一般的な試験監督でしょう。カンニングペーパーは、不正行為であることが証拠上明らかであり、また、正解であることが可能性が高いことから、参考書の持ち込みに等しいからです。

特に、試験監督からみて死角にあると思われる受験生に対しては、その受験生がカンニングの誘惑にかられやすいことから、特に気を配り、カンニングを刺せないように注意をするが「試験監督の鉄則」といえます。

ところが、今回の事件では、、「受験した座席は試験監督から見えにくい場所で、机の下に隠し持っていた携帯電話を操作して問題を投稿した」のであり、しかも何度も投稿していたのですから、試験監督は明らかに任務を怠っていたと言わざるを得ず、試験監督の責任は重く、試験監督もまた大学内部において厳しい処分に値するといえます。

不正を行ったという受験生が一番悪いことは確かですが、大学側の試験監督の無責任さにも問題があったのです。それなのに、大学側はすぐに警察に被害届を出すなど被害者を装うのは、まったく無責任だと呆れます。


 ロ:「夜回り先生」と言われる水谷さんは、次のように述べています。

「カンニングをされたのは試験官のミス。大学側が不正を誘発しない環境をつくれなかった非を認めず、少年に全ての責任を押しつけるのはあまりにも自己保身。少年を犯罪者にしたのは私たち大人で、少年を社会から追放するような仕打ちは絶対に避けるべきだ。」(東京新聞)


カンニングをした受験生の対応は、合格取り消しのみでそれ以上の行為をしないのが一般的です。また、大学での学部の定期試験においては、建前上は、停学、受験していた試験は無効となり、それ以降の試験を受けることができない(受験資格喪失)にするのが一般的です。

ただし、大学の定期試験での実情は、カンニングに対する対応は、厳重注意かあるいは「見逃し」が一般的でしょう。それは、大学では、学生や受験生は「お客様」だからなのです。ですから、暗に、カンニングの摘発はしないようにしているのです。

何年も試験監督をしていれば分かることですが、カンニングの摘発も、それなりの技術を必要とします。ですから、真剣に取り組むという意欲とともに技術がなければ、カンニングの摘発はできません。しかし、大学側は、カンニングを摘発する気がないので、カンニング摘発の技術を磨くことをせず、(経費節減のため)多数の受験生に対して少人数の試験監督で対応してしまうのです。

そうしただらしない対応をしている大学が、なぜか、今回の事件については、警察に被害届を出し、「万全を対応委をしていた」などと言うのですから、呆れてしまいます。「あまりにも自己保身」だと言わざるを得ないのです。(マスコミが、大学でのこうしたカンニングへの対応の実情を知らないことも、馬鹿騒ぎの一因でしょうが。) (カンニングをした受験生の対応は、合格取り消しのみでそれ以上の行為をしないのが一般的なのに、逮捕にまで至ったのも驚きです。まさか起訴はしないでしょうが。)



<3月7日付追記>

2つの記事を追記します。2つとも、「業務妨害」だと声高に叫んでいる大学自体を批判している記事です。

(1) 読売新聞:2011年3月4日15時02分

居眠り・私語・「雑用」公言…試験監督に問題も

 京都大や早稲田大など4大学の入試問題がインターネット掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件で、入試会場での監督態勢の甘さを問う声が出ている。

 逮捕された男子予備校生(19)は「一人でやった」と供述しており、試験会場で断続的に携帯電話を操作していたとみられるが、試験監督らがこうした不審な動きを見逃していた可能性があるからだ。大学側は「不正防止に万全の態勢をとってきた」とするが、試験監督態勢の不十分さや、先端電子機器への対応の遅れを指摘する声もある。

 京都府警の調べでは、予備校生は2月26日、京都大の英語の試験中に携帯電話で掲示板に投稿した上、寄せられた回答も閲覧していた疑いが持たれている。

 京大によると当時、受験生約8000人に対し、監督約400人を配置。受験生も椅子を一つずつ空けて座らせるなどしており、京大幹部は不正発覚直後の会見で「十分な数の監督を置いていた」としていた。

 しかし、長年、センター試験の大学責任者を務めていた60歳代の国立大学の元教授は、「監督の数が多ければいいというわけではない。試験監督を『雑用』と呼んではばからず、いいかげんにやる教員も多い」と証言する。

 センター試験では会場に2人以上の教授を試験監督として配置。しかし、元教授によると、試験中に自分の講義のテスト採点を行ったり、いびきをかいて眠ったりする教授もおり、試験後、「試験監督のおしゃべりがうるさかった」と、苦情を寄せられたこともあった、という。

(2011年3月4日15時02分 読売新聞)」



(2) 毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊

入試問題ネット投稿:京大対応、強まる批判 抗議殺到、「監督は万全」に疑問符

 入試問題投稿事件で逮捕された仙台市の予備校生(19)の“幼稚”ともいえるカンニングの手口が明らかになるにつれ、京都大への批判が強まっている。不正行為を防げなかったばかりか、声高に「被害者」の立場を強調したとの見方からだ。

 事件に関し、京大へ4日までに寄せられた電話は170件を超え、ほとんどが苦情や抗議。捜査を進める京都府警内部にも大学の対応を疑問視する声がある。京大広報課によると、電話は3日夕までに約30件、4日は午後5時半までに144件に上った。

 うち十数本は激励だったが、その他は「監視が甘かったのではないか」「被害届を出して逮捕させたのは間違い」「カンニングで逮捕はやりすぎ」といった意見。「予備校生がかわいそう」という同情の声もあった。

 一方、府警内部でも京大の対応に違和感を覚えるという声が出ている。監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした形になったためだ。

 事件発覚から6日目の3日、初めて記者会見した松本紘学長は「監督はちゃんとやっている」と時に声を荒らげて強調。「(京大の監督の)範囲の外で起こるようなネット犯罪であれば、対策を取らなければいけない」とまで述べた。

 ところが、予備校生は府警の調べに、試験会場の自席に着き「机の下で携帯電話を操作した」と説明。会場の隅の席は試験監督から死角になるので何回もやったとも話し、一夜にして「監督は万全」との大学側主張に疑問符がついた。

 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」。府警幹部の一人はこうつぶやいた。【広瀬登、太田裕之、林哲平】

毎日新聞 2011年3月5日 大阪朝刊」



読売新聞の記事は、「業務妨害」だと声高に叫んでいる大学教員自体が、カンニングを防止すべき試験監督の任務をさぼっている実態がはびこっていることを指摘しています。ある元教授は、「試験監督を『雑用』と呼んではばからず、いいかげんにやる教員も多い」とか、「試験中に自分の講義のテスト採点を行ったり、いびきをかいて眠ったりする教授もおり、試験後、『試験監督のおしゃべりがうるさかった』と、苦情を寄せられたこともあった」と証言しています。試験監督を長年行っていれば、誰でも知っている内容でしょう。

毎日新聞の記事は、警察による京大への批判的な評価を内容としています。 「試験監督の不手際を棚に上げ、すぐに警察に持ってくるのはどうか。自ら検証もせず、批判や追及を受けないよう逃げているだけのように思える」と府警幹部は述べているようです。「監督の不備の可能性に目をつぶり、内部調査もしないまま警察に丸投げした」点からすれば、大学自ら試験監督業務を怠っていた以上、業務「妨害」に値しないのではないか、と言えるわけです。

試験監督業務をいい加減にやっている教員の存在があり、京大の場合も試験監督としての不手際が明白です。このように自ら業務を怠っている以上、業務の妨害を受けたと批判する資格はないと評価できることから、捜査機関側、警察の方としては、業務妨害罪で起訴する行為には値しないと評価できそうです。


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【2011/03/05 23:59】 | 刑法
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京大入試問題カンニングの予備校生逮捕した警察はやり過ぎです。カンニング行為にまで国家権力がしゃしゃり出てくるなんて異常です。 凶悪事件の犯人じゃあるまいし、連日一面トップで報道し、護送車に大勢...
2011/03/10(Thu) 16:36:03 |  Afternoon Cafe
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