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大相撲の野球賭博事件に絡み、警視庁が家宅捜索で押収した現役十両力士数人の携帯電話に、数十万円で勝ち星の売買が日常的に行われていたことをうかがわせるメールの記録が残っていたことが平成23年2月2日、明らかになりました。


1.「今日はまっすぐぶつかっていく」などと、取組内容を打ち合わせたような記録もあったことから、勝負事で、真剣に争っているように見せながら、前もって示し合わせたとおりに勝負をつけている可能性があります。だとすれば、いわゆる「八百長」という行為に当たりそうです。

この「八百長疑惑」については、衆院予算委員会で2月3日、大相撲八百長疑惑について自民党の斎藤健氏の質問に対して、菅直人首相は、「相撲は国技だ。八百長があったとすれば、大変重大な国民に対する背信行為だ」などと述べて息巻いています。枝野幸男官房長官や高木文部科学相もまた2月3日、八百長疑惑に関連し、日本相撲協会の公益法人認可取り消しもあり得るなどと、勇ましく吠えています。

では、これら首相や閣僚がやたら息巻いたり、勇ましく吠えて批判するほど、大相撲の「八百長」は重大な犯罪なのでしょうか。この点について触れた記事を紹介します。 



2.東京新聞平成23年2月4日付夕刊9面

八百長問題 逮捕は?直接の法規定なし
2011年2月4日 夕刊

 大相撲の八百長は罪に問われることはないの? 結論から言うと可能性はかなり低い。

 競馬や競輪、Jリーグなど合法的な賭け事の対象となる競技にはそれぞれ対象の法律で八百長が禁じられている。競馬法では「競走について財産上の利益を得、または他人に得させるため競走において馬の全能力を発揮させなかった騎手」は三年以下の懲役または三百万円以下の罰金に処する-と規定している。

 警察庁によれば相撲の八百長の場合、直接取り締まる法律はないものの、懸賞金がかかっている一番であれば詐欺の疑いが、相撲が業務であれば偽計業務妨害容疑の適用も考えられるという。

 ただ、同庁幹部は「捜査した警視庁はあらゆる法的な考察を加えた上で、立件の可能性をうかがわせる証拠はないと判断した」としている。

 同庁は、問題の力士間で交わされたメール情報を文部科学省に提供した。これは立件のためではなく、公益性があるとし、行政機関が一体となって機能することを義務付けている国家行政組織法に基づいて提供した。

 では、勝ち星の売買に伴い金銭の授受があったとすれば、課税上の問題はどうか。

 単純に現金のやりとりだけなら、受け取った側に贈与税の納付義務が生じる。何らかの対価を伴う役務の提供と認定されれば、雑所得の対象になる可能性が出てくる。しかし、それぞれの力士にどれだけの現金が蓄積されているか判断するのは容易でなく、対価性の認定にも困難が予想され、ハードルは高そうだ。」



「相撲の八百長の場合、直接取り締まる法律はない」のです。この八百長疑惑が出た当初から、「八百長は犯罪行為にあたらない」と指摘されてきたことではありますが、大事なポイントです。

仮に、「懸賞金がかかっている一番であれば詐欺の疑い」が出てきますが、十両力士数人のであれば、懸賞金がかかっていることはまずありませんので、詐欺罪になりません。その他にも、「相撲が業務であれば偽計業務妨害容疑の適用も考えられる」わけですが、「相撲の業務性」、八百長が「偽計」にあたるのか、幾つかの取り組みだけの八百長に過ぎないのに「業務妨害」とまでいえるのかどうか、なかなか業務妨害罪の成立を肯定することは難しいでしょう。

要するに、大相撲の八百長は、何等犯罪行為にはならず、いうなれば、いうなれば、大相撲の八百長は適法行為なのです。そうだとすれば、菅直人はやたら息巻いて批判をし、高木文部科学相は勇ましく吠えて批判していましたが、大相撲の「八百長」は何等犯罪ではない以上、そうした批判は過剰反応し過ぎたものであって、単なる感情論にすぎないのです。騒ぎ過ぎは禁物なのです。



3.大相撲の八百長は、適法行為であると官僚から指摘されたためでしょうか、なぜか政府は2月4日、一転して、慎重姿勢に変わりました。

(1) 朝日新聞平成23年2月4日付夕刊1面

相撲協会の公益法人取り消し、官房長官が一転慎重姿勢
2011年2月4日11時53分

 枝野幸男官房長官は4日の記者会見で、日本相撲協会が受けている公益法人(財団法人)の認可の取り消しについて「民法には取り消しという制度もあるが、そこに向けて幾つもの手続きがあり、解散には至らないという手続きも定められている。一足飛びにいく話ではない」と語り、慎重な姿勢を示した。

 枝野氏は3日の会見で、公益法人の認可取り消しについて「可能性としてはあり得る」と述べていた。高木義明文部科学相も4日の会見で「取り消しに至るまでは手続きを踏まないといけない。まずは速やかに報告を受け、その後に検討されるべきと思っている」と指摘。これに関連し、蓮舫行政刷新相も4日の閣僚懇談会で「公益法人取り消しがメディアで取りざたされているが、ハードルは高い」などと語った。」



(2) 公益法人の解散をさせるとなれば、その公益法人はもちろん、公益法人の関係者は多大な損害を受けるのですから、公益法人が解散に当たるほどの重大な行為を(組織的に)犯した場合でなければなりません。もし、犯罪行為でもないのに、単に「スポーツはフェアーであるべき」(朝日新聞の西村欣也・編集委員)といった抽象論で公益法人の解散をさせててしまうと、当然ながら、裁判において、比例原則(憲法13条)違反として、解散は否定されることになることは必至です。

ですから、枝野幸男官房長官が、公益法人(財団法人)の認可の取り消しについて「民法には取り消しという制度もあるが、そこに向けて幾つもの手続きがあり、解散には至らないという手続きも定められている。一足飛びにいく話ではない」と語り、慎重な姿勢を示すのは、あまりにも当然なのです。

むしろ、枝野氏は、通常の弁護士としての能力はないとしても、少なくとも弁護士資格はあるのですから、当初から「公益法人(財団法人)の認可の取り消しはできない」と言うべきだったのです。高木義明文部科学相も、法律論が分からないのですから、軽々に公益法人の取り消しなどと言うべきではなかったのです。

公益法人の取り消しがほとんどあり得ない事例において、軽々に「公益法人の取り消しがあり得る」などと言うことは、それは政府による脅迫・強要行為であって、それこそ不法行為(民法709条)に当たり得ます。




4.「ガチンコ勝負」という言葉があります。この「がちんこ」とは、「(相撲界で)真剣勝負。また真剣勝負の稽古をすること。」を意味します。要するに、相撲には、「ガチンコ勝負」とそうでない「勝負」――すなわち八百長勝負――があることを、「語句」が図らずも示しているわけです。

相撲には、元々八百長があったわけで、今でも八百長のことを「注射」というなどと、八百長の伝統を今でも引き継いでいる可能性は十分にあるわけです。相撲に深く関わっているメディア関係者であれば、八百長の話は、分かっていたはずです。

「八百長疑惑」については、やたらと興奮して批判しているメディア(朝日新聞など)が目につきます。しかし、メディアは、八百長疑惑があることをうすうす知っていながら、批判を繰り広げるのは、滑稽でなりません。今回の事例のように十両力士たちが八百長に及ぶような大相撲の構造を知っていながら、八百長を批判をするのは実に無責任です。

「大相撲の八百長を処罰する規定はない」というように、今回の東京新聞のように冷静な記事を掲載するべきです。いくらメディアが日本相撲協会に対して、やたらと興奮して激しく批判を繰り広げようとも、市民の側は、よく考え、冷静な判断をするべきです。

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3.大相撲の八百長は、適法行為であると官僚から指摘されたためでしょうか、なぜか政府は2月4日、一転して、慎重姿勢に変わりました。

(1) 朝日新聞平成23年2月4日付夕刊1面

相撲協会の公益法人取り消し、官房長官が一転慎重姿勢
2011年2月4日11時53分

 枝野幸男官房長官は4日の記者会見で、日本相撲協会が受けている公益法人(財団法人)の認可の取り消しについて「民法には取り消しという制度もあるが、そこに向けて幾つもの手続きがあり、解散には至らないという手続きも定められている。一足飛びにいく話ではない」と語り、慎重な姿勢を示した。

 枝野氏は3日の会見で、公益法人の認可取り消しについて「可能性としてはあり得る」と述べていた。高木義明文部科学相も4日の会見で「取り消しに至るまでは手続きを踏まないといけない。まずは速やかに報告を受け、その後に検討されるべきと思っている」と指摘。これに関連し、蓮舫行政刷新相も4日の閣僚懇談会で「公益法人取り消しがメディアで取りざたされているが、ハードルは高い」などと語った。」



(2) 公益法人の解散をさせるとなれば、その公益法人はもちろん、公益法人の関係者は多大な損害を受けるのですから、公益法人が解散に当たるほどの重大な行為を(組織的に)犯した場合でなければなりません。もし、犯罪行為でもないのに、単に「スポーツはフェアーであるべき」(朝日新聞の西村欣也・編集委員)といった抽象論で公益法人の解散をさせててしまうと、当然ながら、裁判において、比例原則(憲法13条)違反として、解散は否定されることになることは必至です。

ですから、枝野幸男官房長官が、公益法人(財団法人)の認可の取り消しについて「民法には取り消しという制度もあるが、そこに向けて幾つもの手続きがあり、解散には至らないという手続きも定められている。一足飛びにいく話ではない」と語り、慎重な姿勢を示すのは、あまりにも当然なのです。

むしろ、枝野氏は、通常の弁護士としての能力はないとしても、少なくとも弁護士資格はあるのですから、当初から「公益法人(財団法人)の認可の取り消しはできない」と言うべきだったのです。高木義明文部科学相も、法律論が分からないのですから、軽々に公益法人の取り消しなどと言うべきではなかったのです。

公益法人の取り消しがほとんどあり得ない事例において、軽々に「公益法人の取り消しがあり得る」などと言うことは、それは政府による脅迫・強要行為であって、それこそ不法行為(民法709条)に当たり得ます。




4.「ガチンコ勝負」という言葉があります。この「がちんこ」とは、「(相撲界で)真剣勝負。また真剣勝負の稽古をすること。」を意味します。要するに、相撲には、「ガチンコ勝負」とそうでない「勝負」――すなわち八百長勝負――があることを、「語句」が図らずも示しているわけです。

相撲には、元々八百長があったわけで、今でも八百長のことを「注射」というなどと、八百長の伝統を今でも引き継いでいる可能性は十分にあるわけです。相撲に深く関わっているメディア関係者であれば、八百長の話は、分かっていたはずです。

「八百長疑惑」については、やたらと興奮して批判しているメディア(朝日新聞など)が目につきます。しかし、メディアは、八百長疑惑があることをうすうす知っていながら、批判を繰り広げるのは、滑稽でなりません。今回の事例のように十両力士たちが八百長に及ぶような大相撲の構造を知っていながら、八百長を批判をするのは実に無責任です。

「大相撲の八百長を処罰する規定はない」というように、今回の東京新聞のように冷静な記事を掲載するべきです。いくらメディアが日本相撲協会に対して、やたらと興奮して激しく批判を繰り広げようとも、市民の側は、よく考え、冷静な判断をするべきです。

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【2011/02/04 21:27】 | 刑法
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rice_shower
これ警察-山口組問題、なんですよね。
昨年、唐突に発覚した(とされている)維持員席、野球賭博問題のターゲットは名古屋の弘道会、現在収監中の司忍山口組六代目の出身母体。
同組長が今年春には出所予定なので、警察がこれに備え、山口組の中枢に手を突っ込んで揺さ振りを掛けた、ということで、これは昨年後半No.2(若頭)、No.3(本部長)が相次いで逮捕される、という、かつてなら有り得ない展開に続いています。
警察が正義に目覚めて頑張っているのなら良いのですが、“利権に目覚めて”気合が入っている、それにメディアが利害を共有して、バカ騒ぎをしている、としか感じられないのは、私だけでしょうか?

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これ警察-山口組問題、なんですよね。
昨年、唐突に発覚した(とされている)維持員席、野球賭博問題のターゲットは名古屋の弘道会、現在収監中の司忍山口組六代目の出身母体。
同組長が今年春には出所予定なので、警察がこれに備え、山口組の中枢に手を突っ込んで揺さ振りを掛けた、ということで、これは昨年後半No.2(若頭)、No.3(本部長)が相次いで逮捕される、という、かつてなら有り得ない展開に続いています。
警察が正義に目覚めて頑張っているのなら良いのですが、“利権に目覚めて”気合が入っている、それにメディアが利害を共有して、バカ騒ぎをしている、としか感じられないのは、私だけでしょうか?
2011/02/05(Sat) 16:04 | URL  | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集]
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