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小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、強制起訴すべきと議決された民主党の小沢一郎元代表側が、「議決内容に欠陥があり無効だ」として、行政事件訴訟法に基づく無効確認、強制起訴を行う弁護士の指定の差し止めなどを求める訴訟を、国を相手取って平成22年10月15日に東京地裁に起こすとのことです。

この問題については、色々と論じられているようですが、とりあえず、次の朝日新聞の記事を紹介しておきます。一言でいえば、色々調べて記事にしたものの、問題点をよく理解できないまま、ダラダラと無意味な内容をこねくり回して書いたものになっていますので、これで読者が正しい理解をすることはできません。どうしようもないとはいえ、新聞記者は、法律問題について理解できずに書いているという証拠を示すために、引用しておきます。



1.朝日新聞平成22年10月15日付朝刊37面「もっと知りたい!」

検察審議決ひっくり返せるの?

 強制起訴されることになった小沢一郎・民主党元代表が15日、手続きを止めるため行政訴訟を起こす。検察審査会の議決の有効性が裁判に持ち込まれたことはあるが、強制起訴を決めた議決が法廷で争われるのは初めて。起訴前に市民の判断を覆すことはできるのか。(延与光貞)

 「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えられるのか――。東京第五審査会が4日に公表した起訴議決について、弁護団は「審査の範囲を超えており、違法だ」と主張している。

 小沢氏は、資金管理団体「陸山会」の政治資金収支報告書にうその記載をしたとする容疑で告発された。「告発事実」は、陸山会が土地を約3億5千万円で購入したのに、2004年分ではなく05年分の収支報告書に支出を記載した容疑だった。しかし、議決では土地購入の原資となった「小沢氏からの借入金4億円」を04年分の報告書に記載しなかったとする容疑まで「犯罪事実」に含めた。

 ただ、「追加分」は、小沢氏の元秘書らの起訴内容には含まれている。刑事訴訟法には「同一の事実なら、起訴内容の追加・変更ができる」という規定があることから、法務・検察の中では「同じ年の虚偽記載なら同一性があり、追加してもかまわないのでは」という見方が強い。

 別の論点もある。慎重を期すために強制起訴には2度の議決が必要だ。その趣旨を踏まえれば、「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えることは許されるのか。「この点は議論の余地がある」とみるベテラン裁判官もいる。

   ●   ●   ●

 「起訴は違法だ」と主張する場合、ふつうは刑事裁判の中で訴える。だが、刑事訴訟法ではその判断は判決で示すことになっており、起訴自体を止める効果はない。

 そこで、刑事手続き以外の方法として小沢氏の弁護団が考えたのは、国の行為の違法性を争う行政訴訟だった。

 今後は、検察官役として小沢氏を起訴し、公判に立ち会う「指定弁護士」を東京地裁が選ぶ。弁護団は、それを「行政処分」ととらえて、差し止めを求めるとみられる。手続きを止めるには「重大な損害が生ずるおそれがある」ことが要件とされる。

 ただ、行政訴訟に詳しい裁判官は「議決がおかしいというなら、選任を問題にするのは違和感がある」という。

 行政訴訟にはほかに、処分の無効確認や取り消しを求める方法がある。この裁判官は「審査会の議決を行政処分ととらえ、有効性を争うほうが自然だ」とみる。小沢氏の弁護団も検討はしたようだ。

 これらの方法にも、「重大な損害を避けるため、緊急の必要がある場合」には、判決前に処分の効力を止められる規定がある。審査会の議決が行政処分にあたることが前提だが、起訴を止めることも理屈上はできる。

 指定弁護士の選任を問題にするなら、刑事手続きの中で争う余地もありそうだ。選任が刑事訴訟法にいう判決前の「決定」にあたるなら、「抗告」という手段で不服を申し立てられるからだ。

 いずれにせよ、「強制起訴」の仕組みができてからは初めての事態となる。

   ●   ●   ●

 行政訴訟が起こされた場合の大きな争点は、「選任や議決が行政処分と言えるかどうか」だ。具体的には「小沢氏の法的権利に直接の影響を与えたといえるか」が問題になる。審査会の議決が行政訴訟で争われた例は過去にいくつかあるが、いずれも議決を覆すことには否定的な判断が出ている=表

 判決内容をみると、検察審査会法に異議申し立ての仕組みがないことに加え、刑事裁判で審査する前に、起訴・不起訴の妥当性に踏み込めば「干渉」になると消極的になっていることがうかがえる。

 無効確認訴訟では最高裁まで争われた例もあるが、1966年の判決は「具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない」として門前払いにした。

 ただし、当時は「起訴相当」の議決が出ても検察官が最終的に起訴、不起訴を決める仕組みだった。新たに市民の判断による「強制起訴」が導入されたことで、前提は変わった。「権利や法律関係に影響を与える」とみる余地があり、ベテラン民事裁判官は「この点をつく訴訟は可能かもしれない」と話す。

 とはいえ、「準司法機関」とも言われる検察審査会の議決や指定弁護士の選任が「行政処分」にあたるとみる法曹関係者は少ない。検察審査会制度に詳しい神洋明弁護士は「市民の判断を行政処分とみるのは無理があるのではないか。起訴が問題だと考えるなら、刑事裁判の中で争うのが筋だ」と指摘する。」



■検察審査会の議決の効力が争われた過去の裁判例

判決年月――裁判所――審査会――訴えは適法?――判断内容

1952年11月――福岡地裁――福岡――×――裁判所と検察庁を区別した刑事訴訟制度の原則に照らすと、議決に対して行政訴訟で救済を求めることはできない

1966年1月――最高裁――鳥取――当時は×――(当時の検察審査審査会法の制度では)議決が具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない

1966年4月――横浜地裁(1審)――横浜――△――審査せずに放置するなど明らかな違法があれば取り消し請求は許されるが、内容の誤りを理由に取り消しは求められない

1967年11月――東京高裁(2審)――横浜――×――議決の取り消し請求を認めれば、裁判所が間接的に検察の処分の当否の審査をすることになり、裁判所の権限に属しない」


2.この事件についての問題点は、大きく2点あります。

(1) 1つ目は、東京第五審査会が、<1>「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えたこと、さらに、<2>「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えています。このように議決に瑕疵があることで、その審議会の議決は違法となるのかどうか、という点です。

 イ:検察審査会制度は、検察官のした不起訴処分に不服のある場合に、告発をした者等が、その処分の当否の審査を申し立てることができるというものです(検察審査会法30条。なお、同法2条3項)。告発があって審査をしているのに、告発内容と無関係に判断するのであれば、それは告発者の意思に反するものであって、許されないというべきです。

したがって、<1>「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えたことは、違法な議決であるというのが筋といえます。


 ロ:また、検察審査会が、第1段階の審査において、起訴相当の議決(同法39条の5第1項1号)をしたのに対し、検察官が当該議決に係る事件について、再度不起訴処分をしたときは、当該検察審査会は、改めて審査(第2段階の審査)を行わなければなりません(同法41条の2)。そして、その審査で改めて起訴を相当としたときは、起訴議決をします(同法41条の6第1項)。第2段階の審査では、審査の補助をするための弁護士が必ず付くことになっているのです(同法41条の4)(光藤・刑事訴訟法1(成文堂、2007年)205頁以下)。

このように、強制起訴が認められるには、【1】検察審査会が2度、起訴相当の議決を行い、検察庁が2度不起訴処分をすることと、【2】不当な議決にならないように、法律の専門家である弁護士が審査の補助をするようになっているのです。

もし、「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目の議決で加えることは、2度目の審査会の議決は、2度の審査を経ないで「強制議決」したことになりますし、また、検察庁の不起訴処分は、1度目と2度目と異なったものとなります。これでは、法が【1】検察審査会が2度、起訴相当の議決を行い、検察庁が2度不起訴処分をすることとを要求し、慎重な議決を要求した趣旨に反するものであって、妥当ではありません。

また、こうした瑕疵ある議決も許されるとするのであれば、【2】不当な議決にならないように、法律の専門家である弁護士が審査の補助を求めた法の趣旨にも反するといえます。

したがって、<2>「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えたことは、違法な議決であるというのが筋といえます。



(2) 2つ目は、違法な審査会の議決に対して、行政訴訟を提起することができるかどうか、です。

 イ:検察審査会は、検察官による不当な不起訴処分を審査するものであり、行政機関である検察庁(検察官)が有する公訴権(起訴する権限)をも有するのですから、行政機関の1つといえます。となると、行政機関の行った強制起訴という「処分」ですから、行政訴訟の対象となりうるわけです。

他方で、検察官が行う起訴などの処分は、形式的には行政庁の処分とはいえ、刑事手続の一環ですから、刑事訴訟で解決するべきものといえます。例えば、検察官などによる、弁護人と被疑者との接見交通に対する処分は、それに対する不服は準抗告によるとして、刑事訴訟法は行政法の適用を排除しています(刑訴法430条)。

このように、行政機関の行為であるがゆえに、刑事訴訟で判断するべきなのか、それとも行政訴訟の対象になるのかが問題となるわけです。


 ロ:刑訴法自体は、起訴するかどうかについては、検察官の権限としており(起訴便宜主義。刑訴法248条)、検察官は訴訟の当事者としてその起訴された内容について立証する責任があります。となれば、裁判所としては、起訴の是非については検察官の専権ですので、裁判所としては介入しないのが原則であり、あくまでも検察官が当事者として訴訟に存在する、刑事裁判で判断するのが適切であるといえます。

しかし、検察審査会の強制起訴は、検察官の意思に反して起訴するわけです。となると、起訴便宜主義の例外であり、裁判所としては介入しないのが原則とはいえず、裁判所が起訴の是非自体に介入することも可能といえます。


 ハ:また、検察官による起訴であれば、慎重な判断をした上での起訴、すなわち、有罪判決を得られる高度な見込みがある上での起訴です。とすれば、実質的にも、検察官による起訴自体の妥当性をあえて、行政訴訟で判断する必要はありません。

しかし、今回の議決要旨では、有罪の見込みがなくても、「国民は裁判所によって本当に無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利がある。検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと、検察審査会の制度にない意義まで創設しているのです。このような、市民による「私刑(リンチ)」を公然と肯定するほどの傍若無人ぶりを示す以上、起訴自体の妥当性を、行政訴訟で判断する必要性があります。

検察官による起訴と異なり、第五検察審査会の起訴議決のような無責任な起訴の妥当性は、本来の刑事裁判で判断するのではなく、それだけを行政訴訟で行うのが筋というべきでしょう。もちろん、無責任な起訴の尻拭いまでも、刑事裁判で行うという判断もあり得るでしょうが。


 ニ:また、通常、刑事訴訟か行政訴訟か争われる場合、刑訴法430条で抗告によるとの規定があるように、行政法を排除するような規定があるのです。ところが、検察審査会法では、旧法では、行政法を排除する規定があったのですが、改正によりそのような規定が削除されたようです。このような改正の経緯があるとすれば、検察審査会法の議決は、行政訴訟の対象となるのが筋といえます。


 ホ:このようなことから、違法な審査会の議決に対しては、行政訴訟を提起することができると考えられるわけです。

なお、1966年1月の最高裁判例によれば、「(当時の検察審査審査会法の制度では)議決が具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない」としていました。現在では、強制起訴となり、被告人として重大な権利侵害が生じる以上、議決は「権利や法律関係に影響を与える」ことになります。それゆえ、最高裁判例上は、検察審査会の起訴相当議決は、行政訴訟の対象となりうるわけです。




3.小沢一郎氏側が、行政訴訟を提起するに至ったのは、第五検察審査会の議決に重大な瑕疵があったからです。重大な瑕疵がなければ、行政訴訟を提起する必要性なぞなかったのですから。

第五検察審査会は、証拠を改ざんした前田恒彦検事が関わった事件であるのに、その証拠を妥当性を疑問視するなどの、通常人であれば誰もがあるべき常識的な判断もありませんでした。小沢氏を起訴するには「共謀」が最も大事であるのに、「検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと誤魔化すだけで、共謀の判断さえもしていないのです。

小沢氏の元秘書らの起訴内容をそのまま引き写すことをするなどの杜撰な議決だったのですから、単なる「アヤシイ」という感情論で起訴を決定したのであって、証拠で判断したものとは到底思えません。こうした杜撰な議決を行い、審査補助員を務めた吉田繁実弁護士(第2東京弁護士会)がその杜撰な議決かどうかを判断できるだけの能力に欠けていたからこそ、審査会の議決に重大な瑕疵が生じてしまったのです。

このように、第五検察審査会と吉田繁実弁護士が杜撰な判断をしたために、無用な争いが生じることになったのです。

検察審査会は、「検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと、他人を刑事裁判の苦痛に追いこんでおきながら、現行法上は、何らの責任を負う規定になっていません。補助弁護士に対する責任も規定がないのも問題です。

検察審査会が杜撰な判断をしないために、また、無知な補助弁護士が杜撰な判断をしないためには、検察審査会の審査員の氏名・住所を公開し、損害賠償責任を負わせる規定を設け、また、無能な弁護士を排除するために、補助弁護士に対する損害賠償責任を明記するべきです。もちろん、吉田繁実弁護士に対しては、補助弁護人の責任としての損害賠償責任を明記しなくても、弁護士会に懲戒請求をすることが可能です。

民意を反映するという名目で、強制起訴をも可能とした検察審査会の意義を認めるのであれば、自己責任を負わせることの方が民主主義に合致するものというべきです。杜撰な行動によって、他人を刑事裁判という多大な苦痛を与えておきながら、何ら責任を負わないことを容認する方が不合理です。

(無責任な起訴相当議決をもたらしたのは、常軌を逸した「小沢バッシング」を繰り広げるマスコミ報道に要因があります。作家の宮崎学さんが述べるように、小沢氏側は、マスコミに対して名誉毀損(民法709条)に基づく損賠賠償訴訟を起こすべきでしょう。いい加減に、常軌を逸した「小沢バッシング」は止めさせるべきです。)


なお、吉田繁実弁護士は、城山タワー法律事務所に所属しています。その経歴はそのHPによると、次のようになっています。

「(経 歴)
東京都生まれ 学習院大学法学部卒業
弁護士(第二東京弁護士会所属)
桐蔭横浜大学法科大学院客員教授(刑事弁護実務担当)
平成18年度、同21年度 第二東京弁護士会刑事弁護委員会委員長
同20年度 第二東京弁護士会副会長、関東弁護士会連合会常務理事当)

(その他の活動)

第二東京弁護士会常議員、日本弁護士連合会代議員等

主担当分野:不動産事件全般、刑事事件全般」


吉田繁実弁護士は、有罪の見込みがなくても起訴できるという、およそ不合理で人権保障を抹殺しかねない議決を容認しておきながら、桐蔭横浜大学法科大学院で、「刑事弁護実務担当」なのです。

桐蔭横浜大学法科大学院のHPによると、新司法試験の合格者は平成19年は9名、平成20年は8名、平成21年8名、平成22年は6名と、元々少ない合格者がますます減少しています。およそ、刑事弁護人にあるまじき議決を認めてしまうような弁護士が、「刑事弁護実務担当」であれば、桐蔭横浜大学法科大学院で学ぶ者は、およそ刑事弁護の理解が欠けることになるのですから、新司法試験に合格するのは困難でしょうし、将来において真っ当な刑事弁護を行うことは不可能です。

桐蔭横浜大学法科大学院において、合格者がますます減少している一因は、吉田繁実弁護士にもあるように思えてなりません。今後は、桐蔭横浜大学法科大学院への入学を避ける者が増えるとは思いますが、多額の借金を負いながらも、桐蔭横浜大学法科大学院で学んでいる学生は逃げられないのですから、哀れでなりません。

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2.この事件についての問題点は、大きく2点あります。

(1) 1つ目は、東京第五審査会が、<1>「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えたこと、さらに、<2>「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えています。このように議決に瑕疵があることで、その審議会の議決は違法となるのかどうか、という点です。

 イ:検察審査会制度は、検察官のした不起訴処分に不服のある場合に、告発をした者等が、その処分の当否の審査を申し立てることができるというものです(検察審査会法30条。なお、同法2条3項)。告発があって審査をしているのに、告発内容と無関係に判断するのであれば、それは告発者の意思に反するものであって、許されないというべきです。

したがって、<1>「告発事実」が審査対象のはずなのに、それを超えた容疑まで「犯罪事実」に加えたことは、違法な議決であるというのが筋といえます。


 ロ:また、検察審査会が、第1段階の審査において、起訴相当の議決(同法39条の5第1項1号)をしたのに対し、検察官が当該議決に係る事件について、再度不起訴処分をしたときは、当該検察審査会は、改めて審査(第2段階の審査)を行わなければなりません(同法41条の2)。そして、その審査で改めて起訴を相当としたときは、起訴議決をします(同法41条の6第1項)。第2段階の審査では、審査の補助をするための弁護士が必ず付くことになっているのです(同法41条の4)(光藤・刑事訴訟法1(成文堂、2007年)205頁以下)。

このように、強制起訴が認められるには、【1】検察審査会が2度、起訴相当の議決を行い、検察庁が2度不起訴処分をすることと、【2】不当な議決にならないように、法律の専門家である弁護士が審査の補助をするようになっているのです。

もし、「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目の議決で加えることは、2度目の審査会の議決は、2度の審査を経ないで「強制議決」したことになりますし、また、検察庁の不起訴処分は、1度目と2度目と異なったものとなります。これでは、法が【1】検察審査会が2度、起訴相当の議決を行い、検察庁が2度不起訴処分をすることとを要求し、慎重な議決を要求した趣旨に反するものであって、妥当ではありません。

また、こうした瑕疵ある議決も許されるとするのであれば、【2】不当な議決にならないように、法律の専門家である弁護士が審査の補助を求めた法の趣旨にも反するといえます。

したがって、<2>「起訴相当」とした1度目の議決に含まれない「4億円」を2度目で加えたことは、違法な議決であるというのが筋といえます。



(2) 2つ目は、違法な審査会の議決に対して、行政訴訟を提起することができるかどうか、です。

 イ:検察審査会は、検察官による不当な不起訴処分を審査するものであり、行政機関である検察庁(検察官)が有する公訴権(起訴する権限)をも有するのですから、行政機関の1つといえます。となると、行政機関の行った強制起訴という「処分」ですから、行政訴訟の対象となりうるわけです。

他方で、検察官が行う起訴などの処分は、形式的には行政庁の処分とはいえ、刑事手続の一環ですから、刑事訴訟で解決するべきものといえます。例えば、検察官などによる、弁護人と被疑者との接見交通に対する処分は、それに対する不服は準抗告によるとして、刑事訴訟法は行政法の適用を排除しています(刑訴法430条)。

このように、行政機関の行為であるがゆえに、刑事訴訟で判断するべきなのか、それとも行政訴訟の対象になるのかが問題となるわけです。


 ロ:刑訴法自体は、起訴するかどうかについては、検察官の権限としており(起訴便宜主義。刑訴法248条)、検察官は訴訟の当事者としてその起訴された内容について立証する責任があります。となれば、裁判所としては、起訴の是非については検察官の専権ですので、裁判所としては介入しないのが原則であり、あくまでも検察官が当事者として訴訟に存在する、刑事裁判で判断するのが適切であるといえます。

しかし、検察審査会の強制起訴は、検察官の意思に反して起訴するわけです。となると、起訴便宜主義の例外であり、裁判所としては介入しないのが原則とはいえず、裁判所が起訴の是非自体に介入することも可能といえます。


 ハ:また、検察官による起訴であれば、慎重な判断をした上での起訴、すなわち、有罪判決を得られる高度な見込みがある上での起訴です。とすれば、実質的にも、検察官による起訴自体の妥当性をあえて、行政訴訟で判断する必要はありません。

しかし、今回の議決要旨では、有罪の見込みがなくても、「国民は裁判所によって本当に無罪なのか有罪なのかを判断してもらう権利がある。検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと、検察審査会の制度にない意義まで創設しているのです。このような、市民による「私刑(リンチ)」を公然と肯定するほどの傍若無人ぶりを示す以上、起訴自体の妥当性を、行政訴訟で判断する必要性があります。

検察官による起訴と異なり、第五検察審査会の起訴議決のような無責任な起訴の妥当性は、本来の刑事裁判で判断するのではなく、それだけを行政訴訟で行うのが筋というべきでしょう。もちろん、無責任な起訴の尻拭いまでも、刑事裁判で行うという判断もあり得るでしょうが。


 ニ:また、通常、刑事訴訟か行政訴訟か争われる場合、刑訴法430条で抗告によるとの規定があるように、行政法を排除するような規定があるのです。ところが、検察審査会法では、旧法では、行政法を排除する規定があったのですが、改正によりそのような規定が削除されたようです。このような改正の経緯があるとすれば、検察審査会法の議決は、行政訴訟の対象となるのが筋といえます。


 ホ:このようなことから、違法な審査会の議決に対しては、行政訴訟を提起することができると考えられるわけです。

なお、1966年1月の最高裁判例によれば、「(当時の検察審査審査会法の制度では)議決が具体的な権利義務や法律関係に直接の影響を与えない」としていました。現在では、強制起訴となり、被告人として重大な権利侵害が生じる以上、議決は「権利や法律関係に影響を与える」ことになります。それゆえ、最高裁判例上は、検察審査会の起訴相当議決は、行政訴訟の対象となりうるわけです。




3.小沢一郎氏側が、行政訴訟を提起するに至ったのは、第五検察審査会の議決に重大な瑕疵があったからです。重大な瑕疵がなければ、行政訴訟を提起する必要性なぞなかったのですから。

第五検察審査会は、証拠を改ざんした前田恒彦検事が関わった事件であるのに、その証拠を妥当性を疑問視するなどの、通常人であれば誰もがあるべき常識的な判断もありませんでした。小沢氏を起訴するには「共謀」が最も大事であるのに、「検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと誤魔化すだけで、共謀の判断さえもしていないのです。

小沢氏の元秘書らの起訴内容をそのまま引き写すことをするなどの杜撰な議決だったのですから、単なる「アヤシイ」という感情論で起訴を決定したのであって、証拠で判断したものとは到底思えません。こうした杜撰な議決を行い、審査補助員を務めた吉田繁実弁護士(第2東京弁護士会)がその杜撰な議決かどうかを判断できるだけの能力に欠けていたからこそ、審査会の議決に重大な瑕疵が生じてしまったのです。

このように、第五検察審査会と吉田繁実弁護士が杜撰な判断をしたために、無用な争いが生じることになったのです。

検察審査会は、「検察審査会は国民の責任で公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」などと、他人を刑事裁判の苦痛に追いこんでおきながら、現行法上は、何らの責任を負う規定になっていません。補助弁護士に対する責任も規定がないのも問題です。

検察審査会が杜撰な判断をしないために、また、無知な補助弁護士が杜撰な判断をしないためには、検察審査会の審査員の氏名・住所を公開し、損害賠償責任を負わせる規定を設け、また、無能な弁護士を排除するために、補助弁護士に対する損害賠償責任を明記するべきです。もちろん、吉田繁実弁護士に対しては、補助弁護人の責任としての損害賠償責任を明記しなくても、弁護士会に懲戒請求をすることが可能です。

民意を反映するという名目で、強制起訴をも可能とした検察審査会の意義を認めるのであれば、自己責任を負わせることの方が民主主義に合致するものというべきです。杜撰な行動によって、他人を刑事裁判という多大な苦痛を与えておきながら、何ら責任を負わないことを容認する方が不合理です。

(無責任な起訴相当議決をもたらしたのは、常軌を逸した「小沢バッシング」を繰り広げるマスコミ報道に要因があります。作家の宮崎学さんが述べるように、小沢氏側は、マスコミに対して名誉毀損(民法709条)に基づく損賠賠償訴訟を起こすべきでしょう。いい加減に、常軌を逸した「小沢バッシング」は止めさせるべきです。)


なお、吉田繁実弁護士は、城山タワー法律事務所に所属しています。その経歴はそのHPによると、次のようになっています。

「(経 歴)
東京都生まれ 学習院大学法学部卒業
弁護士(第二東京弁護士会所属)
桐蔭横浜大学法科大学院客員教授(刑事弁護実務担当)
平成18年度、同21年度 第二東京弁護士会刑事弁護委員会委員長
同20年度 第二東京弁護士会副会長、関東弁護士会連合会常務理事当)

(その他の活動)

第二東京弁護士会常議員、日本弁護士連合会代議員等

主担当分野:不動産事件全般、刑事事件全般」


吉田繁実弁護士は、有罪の見込みがなくても起訴できるという、およそ不合理で人権保障を抹殺しかねない議決を容認しておきながら、桐蔭横浜大学法科大学院で、「刑事弁護実務担当」なのです。

桐蔭横浜大学法科大学院のHPによると、新司法試験の合格者は平成19年は9名、平成20年は8名、平成21年8名、平成22年は6名と、元々少ない合格者がますます減少しています。およそ、刑事弁護人にあるまじき議決を認めてしまうような弁護士が、「刑事弁護実務担当」であれば、桐蔭横浜大学法科大学院で学ぶ者は、およそ刑事弁護の理解が欠けることになるのですから、新司法試験に合格するのは困難でしょうし、将来において真っ当な刑事弁護を行うことは不可能です。

桐蔭横浜大学法科大学院において、合格者がますます減少している一因は、吉田繁実弁護士にもあるように思えてなりません。今後は、桐蔭横浜大学法科大学院への入学を避ける者が増えるとは思いますが、多額の借金を負いながらも、桐蔭横浜大学法科大学院で学んでいる学生は逃げられないのですから、哀れでなりません。

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【2010/10/15 08:09】 | 事件
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